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田舎暮らしの本 5月号

最新号のご案内

田舎暮らしの本 5月号

3月1日(金)
890円(税込)

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「良い」孤独、「悪い」孤独/自給自足を夢見て脱サラ農家37年(25)【千葉県八街市】

 大量の雨が何日も降り、最も喜んでいるのはこのサトイモであろう。雨が降らないとサトイモはほとんど成長しない。だから、当地では大型のスプリンクラーを回し続けて潅水するのがよく見られる風景である。半月前までは幼稚園児くらいのサイズだったのに、今はごらんの通り中学生ほどに育った。

 生姜も水を欲しがる。生姜は最初、1本の大きな茎葉を伸ばす。それに続き、親の茎のそばに小さな茎が顔を出す。夏に葉生姜として店に出るのはそれである。僕の生姜も来月になると収穫できる。

 ハウスに植えたゴーヤは6月までは順調だったのに、6月初め、3日にわたって吹き続けた強風で支柱ごと傾いてしまった。複雑に絡み合ったそれを元に戻すのは、トライしたが不可能だった。それでもなんとか立ち上がり、だいぶ実をつけている。

 梅雨明けが例年通りであったなら、ブロッコリーは順調に育ったであろう。しかしあの猛暑で疲労困憊していた。なんとか実をつける株もあったけれど、小さい実で潤いもない。それが今回の雨でどうにか復活した。そのブロッコリー、秋から冬にかけて収穫するぶんを、そろそろ種まきして準備にとりかかる頃である。

 最後にお見せするのはつるなしインゲン。春以来、これは三回目の種まきをしたもの。インゲンは他のマメ科に比べて水と肥料を欲しがる。だから鶏糞堆肥を施し、僕は猛暑の間、毎夕水やりに励んだ。8月終わりまで、あと2回か3回、種をまいて11月になるまで収穫を確保しようと思っている。

 この先の天気はどうなるだろうか。猛暑が復活するか。大きな台風が襲ってくるか。百姓にとっては気がかりな空模様。柿も栗もポポーもキウイも、いまのところ順調に生育し、秋の収穫を楽しみに、僕は今日も畑で奮闘している。

 

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中村顕治(なかむら・けんじ)

1947年山口県祝島(いわいじま、上関町・かみのせきちょう)生まれ。医学雑誌編集者として出版社に勤務しながら、31歳で茨城県取手市(とりでし)に築50年の農家跡を購入して最初の田舎暮らしを始める。その7年後(1984年)の38歳のとき、現在地(千葉県八街市・やちまたし)に50a(50アール、5000㎡)の土地と新築同様の家屋を入手して移住。往復4時間という長距離通勤を1年半続けたのちに会社を退職して農家になる。現在は有機無農薬で栽培した野菜の宅配が主で、放し飼いしている鶏の卵も扱う。太陽光発電で電力の自給にも取り組む。

https://ameblo.jp/inakagurasi31nen/

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