さつまいもは掘りたてNG！ 甘くする保存＆熟成のコツ【プロ農家が解説】

農業YouTuber黒壁の「誰でも手軽に家庭菜園」vol.22

YouTubeチャンネル「まるっと農業日記」を運営する黒壁勇人（くろかべ・はやと）さんが、誰でも気軽に家庭菜園を楽しめる方法をまるっとレクチャーする本連載。第22回のテーマは、秋の味覚の代表格「さつまいも」！

収穫の季節を迎えた家庭菜園も多いこの時期。でも実は、「掘ったその日に食べる」のはちょっと待った！ 今回は、さつまいもを“本当においしく食べる”ための、収穫のタイミングと保存の極意をお届けします。

秋の味覚・さつまいもを極めよう！ 掘りたてNGの理由と、甘く保存するコツ

肌寒くなってきましたね。さつまいもがおいしい季節の到来です。焼き芋、スイートポテト、大学芋……秋の喜びですよね！ 家庭菜園のさつまいもも、収穫時期を迎えているのではないのでしょうか？

さつまいもを収穫して、早速、焼き芋をしたり、さつまいも料理やスイーツをつくろうと思っている方、ちょっと待って！ さつまいもの掘りたてを食べるのはおすすめしません。実はさつまいも、掘りたてはおいしくないんです。

今回は、今が旬のさつまいもの収穫の目安とっておきの貯蔵方法を教えます。

どうして掘りたてはおいしくないの？

堀りたてのさつまいも、もちろん食べられないわけじゃないんですが、実はあまりおすすめしません。掘りたてのさつまいもって、「デンプンが多くてホクホクしてる」んですけど、その分「水分が多くて甘みが少ない」んです。というのも、甘みのもとになる麦芽糖が、掘りたての状態だとまだほとんどできていないからなんです。

さつまいもの甘さの秘密は、時間を置くことでデンプンが麦芽糖に変わること。だから収穫したらすぐ食べるよりも、1〜2週間くらい常温で寝かせたほうが断然おいしくなります。ちなみに僕は、1ヶ月くらい寝かせてから食べることが多いです。

「野菜は採れたてが一番おいしい」って思われがちですけど、芋の場合は“寝かせたほうがおいしい”！ じゃがいもも同じで、農家さんによっては2年以上も熟成させてから出荷する人もいるんですよ。

保存するときに気をつけるポイント

さつまいもを保存するときには「温度」と「光」に気をつけましょう。

保存の際は冷蔵庫だと低温障害になってしまうので常温で。

かといって18℃以上で光が当たると芽が出てしまうので、家の中で保存するなら新聞紙に包んで保存しましょう。

おいしいさつまいもにするための「土中貯蔵」

おいしいさつまいもにするためにベストな保存をしたいなら、適温は13〜15℃。ピンポイントですよね。そこでおすすめなのが「土中貯蔵」です。

実は土の中って、地下80cm前後までいくと季節にかかわらず温度が一定なんです。だからさつまいもに適した温度で保存が可能！さらに土の中なら約半年間は保存ができます。

STEP1　さつまいもを掘り起こす

さつまいもの収穫時期は大体、植え付けから4ヶ月頃。4ヶ月をすぎるとおいしくなくなるのでタイミングを逃さないように！ 3ヶ月を過ぎた頃から試し掘りをしてタイミングを見極めていくのがおすすめです。

STEP2　日陰で乾かす

収穫したさつまいもはまず日陰で乾かします。間違っても水洗いをしたりしてはだめ！ 腐りやすくなってしまいます。ちゃんと乾かさないと保存中に腐ってしまって、腐ったものが周りも腐らせてしまうなんてことになってしまうので、しっかり乾かすことが重要です。

STEP3　常温で保存。土中貯蔵がおすすめ

土中貯蔵の方法は、土を1mほど掘って籾殻と一緒に埋め戻します。なぜ籾殻かというと、籾殻には湿気を防ぐ効果があり、温度が均一、そして光が届かないという特徴があり、貯蔵にぴったり。掘った穴に籾殻を入れ、その中にさつまいもを並べ、籾殻をかけて、その上に土をかぶせます。目印として支柱をたてておくといいですね。

まとめ｜掘って終わりじゃない、“寝かせる”のがさつまいも上級者！

秋の家庭菜園は、収穫したら終わりではありません。さつまいもは「掘って終わり」ではなく、「寝かせて完成」する野菜！

すぐに食べたい気持ちをぐっとこらえて、少し時間をかけて熟成させることで、甘みも香りも格段にアップしますよ！