根だけでなく葉もおいしい カブ&シュンギク
掲載:20年10月号
カブは葉菜としても、もっともおいしいと思う野菜です。
カブの葉はとても傷みやすく市場出荷できないので、ぜひ家庭菜園で育てて、収穫したてを味わってみてください。
日本各地に在来品種が多く、さまざまな品種を育てるのも楽しみの一つ。
春蒔きの場合は、とう立ちしにくい品種を選んで蒔きましょう。
虫害対策に、コンパニオンプランツのシュンギクを先に蒔き、その後にカブを混植すると、より育てやすくなります。
育てやすく葉もおいしい 品種ごとの風味を楽しもう
(↑京都名物の千枚漬けに使われる聖護院大かぶは日本一大きなカブ。肉質は緻密で、甘味があっておいしい。)
『日本書紀』にも記述され、古くから日本で親しまれるカブ。
「スズナ」として春の七草に数えられています。
各地に多くの品種があり、小ぶりなものから大きなものまで、赤や円錐形など、色や形もさまざまです。
栽培期間の短い品種は、時期をずらして何度か種蒔きして長期間収穫できます。
在来種のカブには、塩漬けや酢漬けで特においしいものが多いです。
気になる品種をいくつか蒔いて、風味の違いを楽しんでください。
葉がおいしいのも特長。
カブが太る前の葉はうま味成分が多く、特に美味。
間引き菜をお楽しみください。
ただし、葉は傷みやすくすぐに黄色くなるので、収穫したらカブと葉に切り分け、葉は早めに調理します。
上手に育てるコツは虫対策にあります。
虫避け効果を持つシュンギクをはじめ、ニンジン、葉ネギ、カラシナなどと混植して育てましょう。
品種選びのアドバイス
春と秋に種蒔きできる小カブ、秋に楽しむ大カブ
中国から伝わったアジア型と、欧米由来のヨーロッパ型の、大きく2つに分けられます。
アジア型は中型から大型が多く、主に西日本で栽培される品種。
ヨーロッパ型は小型で耐寒性があり、東日本を中心に栽培されています。
小カブは春、秋どちらも栽培できるものが多いですが、中~大カブは一般に秋蒔き専用種が多いです。
みやま小かぶ
小~中カブまで穫れるカブらしいカブ。
在来金町小かぶの改良種で、球は柔らかく甘味があり、葉もおいしいです。
(↑秋蒔きは収穫期の低温で甘味を増し、煮炊きすると美味。春蒔きの柔らかい小カブは漬物にするとおいしい。)
早生今市かぶ
種蒔き適期が長く、丈夫で育てやすいうえ、球は純白の甲高偏円型で見栄えもよい。
球も葉も柔らかくたいへんおいしい品種です。
(↑早生で春蒔き、秋蒔きができる。収穫適期を過ぎると割れやすいため、葉カブとしてどんどん収穫するとよい。)
聖護院大かぶ
肉質が柔らかく、上品な甘味があり、漬物のほか、かぶら蒸しや煮物にしてもおいしいです。
蒔きどきは秋。春蒔きには適しません。
主なコンパニオンプランツ
虫喰いされやすいカブを育てる秘訣は、相性のよい野菜を先に混植しておくこと
シュンギク
効果
虫避け効果が高いうえ、根に共生する菌根菌のネットワークがカブの根にも及んで生育を助ける。
栽培のポイント
カブに先駆けて1~2週間前に種蒔きし、シュンギクが育つ側にカブの種を蒔く。
収穫のポイント
中葉春菊など関東に多い株立ち型品種は、わき芽を残しながら掻き取って長期収穫する。
大葉春菊など関西で「キクナ」と呼ばれる株張り型品種は、株ごと一度に収穫する。
(↑シュンギクは除虫菊などと同じキク科。においの強いポリフェノール成分が虫を避ける。)
ニンジン
効果
カブに集まる虫を避け、生育を促進させる。
栽培のポイント
カブに先駆けてニンジンを種蒔きする。
カブの後地にニンジンを育てたり、ニンジンの後地にカブを育てるのもよい。
収穫のポイント
間引きながら穫り、その後、根の直径が1円玉ほどに育ったら収穫。
(↑においで虫を避けるニンジン。発芽から根を張るまでは水分を求め、根が育つと過湿を嫌う。)
監修/竹内孝功
たけうち・あつのり●1977年生まれ。長野県を拠点に菜園教室「自然菜園スクール」などを開催。著書に『とことん解説! タネから始める 無農薬「自然菜園」で育てる人気野菜 』( 洋泉社 ) 、『 完全版 自給自足の自然菜園12カ月 野菜・米・卵のある暮らしのつくり方』(宝島社)、『これならできる!自然菜園』(農文協)、『自然菜園で野菜づくり』(家の光協会)、『1 m²からはじめる自然菜園』(学研パブリッシング)など。
WEBサイト「@自給自足Life」https://39zzlife.jimdofree.com/
自然菜園スクール http://www.shizensaien.net/
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