専用畝で毎年よく育つ大学イモコンビ サツマイモ&ゴマ
掲載:20年11月号
日当たりよく乾燥してやせた畑を好むサツマイモ。
連作するとよく育つので、ゴマなどのコンパニオンプランツを混植し、毎年同じ畝で栽培してください。
5年以上の連作で形が揃ったおいしいイモが穫れるようになります。
種イモではなく、つるを土に挿して発根させる「挿し穂」と呼ばれる方法でイモを増やせます。
お好みの品種の苗を手に入れて植え付け、草マルチして育てましょう。
甘くおいしいサツマイモは 乾燥してやせた畑で育つ
(↑「紅はるか」は近年人気の蜜イモ系。しっとりした食味で甘味が強く姿もよい。)
原産地のメキシコでは砂漠とオアシスの間で育つサツマイモ。
15世紀にコロンブスがヨーロッパに持ち帰り、その後アジアや日本にも広まりました。
乾燥して養分の少ない場所でよく育ち、江戸時代には救荒作物として青木昆陽(あおきこんよう)らによって関東に普及。
現在では、水はけのよいシラス台地の広がる鹿児島県が生産量全国第1位です。
葉や茎の共生菌による窒素固定で、やせた土でもよく育ちます。
形と食味は品種のほか、土質や植え方にも左右され、同じ品種でも粘土質の畑では丸くねっとり、火山灰土の畑では細め
でホクホクになりやすいです。
毎年同じ畝に固定し、5年以上の連作でイモの形が揃っておいしくなります。
固定の連作畝は植える苗の本数も毎年同じになり、プランもたてやすいです。
ゴマは、サツマイモと同様に乾いた畑を好む相性のよいコンパニオンプランツです。
サツマイモの株間などにゴマを育てると、ゴマの下をサツマイモのつるが覆ってくれます。
品種選びのアドバイス
ホクホク系とねっとり系、カラフルな品種など、広がる選択肢
インターネットなどで全国のさまざまな品種の苗が手に入るようになり、気になる品種を取り寄せて栽培するのも楽しみです。
わが家で毎年育てているのは、比較的手に入りやすく定番の3種類です。
紅あずま
早生で多収。果肉は黄色く繊維が少なく、ふかしたり焼いたりすると比較的ホクホクした食感が楽しめます。
万人に好まれるサツマイモらしい味です。
(↑東日本では最もポピュラーな代表的品種。)
紅はるか
ねっとりと甘い蜜イモのなかでは育てやすい品種です。
収穫後1カ月以上置き、30分ほどふかすか低温で焼くと、甘味がたっぷり引き出されます。
(↑登場して10年ほどの新品種。甘さで人気急上昇。)
パープルスイートロード
紫色の果肉を持つ紫イモのなかで、充分な甘味を持っています。
赤紫色の皮もきれい。育てやすく多収です。
(↑食感はねっとりとホクホクの中間。)
主なコンパニオンプランツ
乾いた畝で日当たりを妨げず、スペースを上手に使って共存共栄
ゴマ
効果
お互いの生育を促進する。
栽培のポイント
種を蒔いたら薄く覆土してしっかり鎮圧する。
生育初期に草に負けやすいためポットやセルトレイで育苗するのもよい。
間引いて2~3本にすると背が低くなりサツマイモに日陰をつくらず、穫りどきも逃しにくくなる。
収穫のポイント
下から3つめのサヤが弾けたら種がこぼれないように収穫。
(↑ゴマは下から順に花が咲き、サヤが熟していく。)
エダマメ
効果
適地が似ていて、お互いに窒素を固定し、生育を促進する。
エダマメに寄るカメムシが減る。
栽培のポイント
サツマイモの植え付けと同時に株間に3粒ずつ種蒔きし、発芽後、ハサミで1本間引いて2本仕立てにする。
収穫のポイント
根を残して株ごとハサミで地際から刈り取る。
※ラッカセイも同様に混植でき、同じ効果を持つ。ただしサツマイモのつるに負けやすく、サツマイモとともにネズミのエサになりやすいので注意。
(↑エダマメはサツマイモにとって余分な水分も吸ってくれる。)
監修/竹内孝功
たけうち・あつのり●1977年生まれ。長野県を拠点に菜園教室「自然菜園スクール」などを開催。著書に『とことん解説! タネから始める 無農薬「自然菜園」で育てる人気野菜 』( 洋泉社 ) 、『 完全版 自給自足の自然菜園12カ月 野菜・米・卵のある暮らしのつくり方』(宝島社)、『これならできる!自然菜園』(農文協)、『自然菜園で野菜づくり』(家の光協会)、『1 m²からはじめる自然菜園』(学研パブリッシング)など。
WEBサイト「@自給自足Life」https://39zzlife.jimdofree.com/
自然菜園スクール http://www.shizensaien.net/
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