水分たっぷりの畑で大きく育つ サトイモ&ショウガ
掲載:20年12月号
東南アジアの熱帯雨林地帯が原産のサトイモは、畑の中で最も湿った場所を選んで育てます。
発芽温度が高めなので、暖かい場所で芽出ししてから植えるのもコツ。
真夏の高温や乾燥を和らげるためには、草マルチをしっかりと重ねましょう。
コンパニオンプランツのショウガと同じ畝に交互に植え付け、
翌年は場所を入れ替えて植えると、畝を変えずに連作できます。
充分な湿り気と適度な暑さ 理想は熱帯雨林の木陰の環境
(↑大野芋は福井県の在来種で、子イモを食べる。親イモは翌年に種イモになる。)
マレー族の移動とともに東南アジアから太平洋一帯に広がったとされるサトイモ。
日本には縄文時代中期に耐寒性のあるものが中国南部を経て伝わったといわれ、米より古い主食だったとも考えられています。
イモは根のように見えますが、じつは茎が肥大したものです。
株の中心に親イモができ、その周りに小さな子イモが増えていきます。
イモを大きく育てるには、畝を乾燥させず充分な水分を保つのがポイント。
田んぼの隣や水路の脇など、降雨のない時期でも畝間に水を引き込める場所を選ぶのもよい方法です。
ショウガとの混植も病虫害を予防します。
水を切らさず、自然菜園で草マルチを重ねて育てれば、きめが細かくしっとりと、えぐみの少ないイモが収穫できます。
品種選びのアドバイス
親イモ、子イモ、ズイキ(茎葉)のどこを食べるかは品種で異なる
品種は数多く、親イモを食べるものや子イモを食べるもの、イモだけでなくズイキも食べるものなどがあります。
親イモを食べるもの:たけのこ芋など
子イモを食べるもの:土垂(どだれ)、大野芋、石川早生など
親イモ、子イモ、ズイキも食べられるもの:八つ頭(やつがしら)、セレベス、えび芋など
大野芋
別名・親責(おやぜめ)と呼ばれ、親イモの周りに子イモがしがみつくように強く付いています。
もちもちした食感でおいしいです。
石川早生(いしかわわせ)
8月~9月に収穫する早生種。
ころんと丸い小さめのイモは、ねっとり系の食感です。
子イモを食べ、親は種イモにします。
(↑西日本でポピュラーな石川早生。東日本で一般的な土垂以上に育てやすい。)
セレベス
インドネシアのセレベス島(現スラウェシ島)から伝わったとされる品種。
芽が赤く、赤芽大吉とも呼ばれます。
親イモ、子イモとズイキのどちらも食べられる兼用品種で、食感はホクホクしています。
(↑育てやすく多収。茎が赤い。)
主なコンパニオンプランツ
サトイモの涼しい葉陰で育ち、畝の乾燥を和らげる
ショウガ
効果
ショウガは余った養分を吸ってサトイモの病虫害を減らすとともに、畝の乾燥を和らげる。
サトイモはショウガを強い日差しから守る。
お互いに植える位置を交換すると連作が可能。
栽培のポイント
サトイモと一緒に芽出しして同時に植え付け、サトイモ同様に土寄せ、草マルチして育てる。
収穫のポイント
夏には葉が3~4枚で筆ショウガ、5~6枚で葉ショウガを穫る。
根ショウガは初霜前にすべて掘り上げる。
(↑サトイモと同様に熱帯雨林地帯原産で、水分の多い畝を好む。)
大豆
効果
お互いに生育を促し合う。
栽培のポイント
日射を求めるので、畝の日当たりのよい側に風通しよく育てる。
収穫のポイント
エダマメはサヤが8~9割膨らんだころに若穫り。
大豆は葉が落ちてサヤの中でマメがカラカラ音を立てるほど枯れたら刈り取る。
(↑サトイモの畝と隣り合う田んぼの畦で育つ大豆。開花期に充分な水分が必要でサトイモと似た環境を好む。)
監修/竹内孝功
たけうち・あつのり●1977年生まれ。長野県を拠点に菜園教室「自然菜園スクール」などを開催。著書に『とことん解説! タネから始める 無農薬「自然菜園」で育てる人気野菜 』( 洋泉社 ) 、『 完全版 自給自足の自然菜園12カ月 野菜・米・卵のある暮らしのつくり方』(宝島社)、『これならできる!自然菜園』(農文協)、『自然菜園で野菜づくり』(家の光協会)、『1 m²からはじめる自然菜園』(学研パブリッシング)など。
WEBサイト「@自給自足Life」https://39zzlife.jimdofree.com/
自然菜園スクール http://www.shizensaien.net/
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