令和元年の人口増加率が全国1位になるなど、島暮らしを夢見る人に注目されている知夫村。2021年11月28日(日)〜12月1日(水)に、知夫村の主島である知夫里島を体験するツアーが開催された。日本海に浮かぶ離島の暮らしは? 仕事は? 子育て環境は? など興味津々の5名が参加した移住体験ツアーの様子をお届けします。
掲載:2022年2月号
島の最高峰「赤ハゲ山(324.5m)」にてツアー参加者の皆さん。左端は案内役で知夫村役場の吾郷均さん。
知夫村(ちぶむら)
村の主島である知夫里島(ちぶりじま)は、島根半島の沖合約40㎞にある隠岐(おき)諸島最南の有人島で、人口約620人。対馬暖流により比較的温和な気候で、積雪は年に1度ぐらい。古来より食が豊かで、縄文時代の遺跡もある。江戸時代には海運の要衝だった。2013年に世界ジオパークに登録。七類港からフェリーで約2時間。
小さくパワフルな島の仕事と暮らしを体感!
知夫里島の最高峰の放牧地では、ウシたちが草を食んでいた。空が広く高く、強い潮風は厳しくも心地よい。見渡せば約500万年前に形成された島前(どうぜん)のカルデラ湾と島々、さらには遠く島根半島、大山(だいせん)――。ツアー参加者から感嘆の声が漏れた。
知夫村の人口は約620人だが、令和元年度の人口増加率は日本一。島外から生徒を受け入れる島留学が好評で、定住すると、隣の中之島にある話題の県立隠岐島前高校(海士町)に進学しやすい点も見逃せない。
今回のツアーでは3つの仕事場を見学し、懇親会で先輩移住者と語り合った。ツアー参加者は、知夫村の魅力を肌身に感じ、自分ならこの島でどんな暮らしができるか、何が課題になるか、確かな手ごたえを得たようだ。
島の仕事を見てみよう! 職場見学
漁体験
漁業は、島の主産業。ツアーでは伝統漁法の体験や養殖業を見学し、現役の一本釣り漁師から島の漁の実際について具体的な話を聞いた。また、新規漁業就業者への支援事業についても説明を受けた。
磯舟に同乗し、箱眼鏡で水中をのぞきながらサザエを獲る「カナギ漁」に挑戦した。
岩ガキの養殖について耳を傾ける参加者たち。
一本釣りをはじめ、さまざまな漁を手掛ける萬康さんが、島の魚介の素晴らしさを語ってくれた。
合同会社 島守ちぶり
知夫里島の玄関口・来居港(くりいこう)で物流や観光案内などさまざまな業務を担う。スタッフは10名(うち正社員5名)。移住した若い人も見受けられ、その姿を、「もし移住したら」と自分に重ねた参加者も。
来居港での旅客船に関する業務や観光案内、レンタサイクルなどの説明を聞く。
フェリーが接岸したら、係留ロープで船を固定。島への物資の積み下ろしなども島守ちぶりの仕事だ。
知夫里開発株式会社
島の観光拠点「ホテル知夫の里」の運営や、仕出し業をしている知夫里開発株式会社。社員の平木佳人さんからホテル業務の説明を受けた。「島では、何か新たにやり始めればオンリーワンに」という言葉が印象的だった。
宿での一般的な仕事内容について耳を傾ける参加者。豪華なリゾートホテルではないが、フランスでも修業したシェフが地元食材の料理を提供するなど、観光業としては興味深い職場だ。
先輩移住者の話と語らう! 懇親会
宿泊所でもある「ホテル知夫の里」で開かれた懇親会では、島の仕事や子育てなど、さまざまな情報が提供された。
懇親会には、先輩移住者である余島睦美さん(左)と山内優さん(右)も参加。島の暮らしについて大いに語ってくれた。
島を存分に楽しむ! 観光
観光協会でレンタルしているE-BIKE(電動アシスト付きスポーツサイクル)で島の自然を満喫。
島のサンショウや岩ノリを使った七味づくりを体験。オリジナルの味をお土産に。
島で一番大きい郡集落の一宮神社には、後醍醐天皇が腰を掛けたと伝わる石が。
知夫里島の南、橋でつながっている島津島(しまづしま)を散策。隠岐諸島では一番温暖で、ウシが放牧されている。
参加した皆さんから一言!
田村健人さん(20歳)
大自然に間近で触れられて、いい経験に。離島暮らしについて具体的に意識するようになりました。
西原和弘さん(42歳)
我が子が巣立ち、人生の選択肢が広がったとき、こういう島の暮らしもいいなと思えるようになりました。
秦祐美子さん(42歳)
知夫里島に移住した人たちの話を聞き、誰もがこの島を愛している、島の未来を真剣に考えていると感じました。
三石晴貴さん(26歳)
とてもいい島でした。とにかく島の人は温かい。日本にもいろんな自然や暮らしがあるのだと感じました。
山下尚人さん(37歳)
普通の旅にはない楽しさがあった。もっと時間をいただき、さらに島のことを知りたいと思いました。
知夫村に興味を持ったらこちらへ
知夫村役場地域振興課 ☎08514-8-2211 http://www.vill.chibu.lg.jp
知夫村移住情報サイト https://uichiburi.com
「知夫村へ、まずは一度お越しください!」(知夫村地域振興課の皆さん)