世代交代で使わなくなった民家や別荘を、安く手放す人が増えている。300万円以下でも取得は充分に可能だが、安い物件には隠れた欠点が多いことも事実。ここでは安心してセカンドハウスを手に入れるための基本的な考え方と注意点を挙げておこう。
セカンドハウスがあれば、災害時のリスクを分散できる
近年、セカンドハウスの人気が高まっている。というのも、地震、集中豪雨、台風などの災害や新型コロナウイルスなどの感染症拡大で、いざというときにリスク分散できる第二の住まいを求める人が増えているからだ。ほかにもリモートワークの拠点としても注目されている。田舎であれば300万円以下の予算でも充分に取得が可能で、スキー、登山、温泉、釣り、サーフィンなどを楽しめる物件も探せる。
ただし、過疎対策を目的とした空き家バンクは別荘利用にはややハードルが高い。交流人口の拡大を目的にセカンドハウス利用者にも門戸を開いている自治体もあるが、数は限られている。安い物件は見つけやすいが、多少の傷みはあって当たり前。家財が放置されて、ゴミ屋敷のようになっている物件もある。改修や家財処分に対して補助金を出す市町村もあるが、定住者を対象にしているケースが多い。別荘地帯以外の市町村にある空き家は民家が主体となるが、セカンドハウス利用は車での移動が原則。海沿いの集落などでは駐車スペースがない物件もあるので、注意を要する。
非定住でも簡単に手に入るのは民間の不動産業者が販売する別荘地の物件で、大規模開発とミニ開発の2タイプに分けられる。
大規模開発は管理事務所を設けているところが多く、維持管理の手間やセキュリティを気にする人には最適。人付き合いが苦手で自然のなかで静かに暮らしたい人にも向く。
ミニ開発は農村集落の外れにつくられたものが多く、価格も相対的に安い。ただ、場所によっては地域との付き合いを求められる場合があるので、業者や自治体の担当者に地域事情を確認しておこう。
昔の中古別荘は避暑を目的に山の中につくられたものが多く、冬場も利用する人は断熱材を施工したり、ペアガラスを入れるなどの寒冷地対策を施す必要がある。業者なら費用の目安を教えてくれるはずなので、見学時に聞いておこう。
大浴場やスポーツルームなどの共用施設が充実したリゾートマンションも、セカンドハウスの選択肢の1つになる。ただ、老朽化が進んだ物件はリフォーム費用がかさむので、築30年以内の物件を選ぶのが無難だ。
【別荘のタイプと注意点】
◎自治体の空き家バンク物件
空き家バンクは基本的に過疎対策なので、二地域居住がNGの自治体もある。事前に連絡して、見学前にきちんと確認することが肝心だ。
◎別荘地の物件
別荘地は開発面積が1ha以上の大規模開発別荘地と、それに満たないミニ開発別荘地がある。人付き合いの苦手な人は、集落から離れた大規模開発別荘地を選んだほうがいい。
◎リゾートマンションの物件
温泉大浴場、サウナ、ジム、図書室、ゲストルーム、プールなどの共用施設が充実しているのは大規模リゾートマンションの強みだが、補修が必要なものもある。管理費や修繕積立金の金額も確認しよう。
文/山本一典 イラスト/大沢純子
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