教育移住するなら、支援や施設の充実度で選ぼう
■教育目的で地方へ移住する
子どもにとってよりよい教育環境を求めて移住する「教育移住」。かつては英語の習得を目指すなら海外へというイメージだったが、最近では英語教育に特化した幼稚園や学校が各地に広がっており、地方への教育移住を選択する家庭が増えている。
また、「森のようちえん」や山村留学、島留学のように、自然や環境教育を目的に移住することも教育移住の1つ。いずれも一般的な保育や教育の枠組みを超えて、子どもの個性に合わせた教育を選択・実現できるのがメリットだ。
自然保育の先進的な取り組みで知られるのが長野県。2015年に全国初となる自然保育の認定制度「信州型自然保育(信州やまほいく)認定制度」 をスタートし、2021年12月現在、計241園が認定を受けている。
鳥取県では、鳥取市、倉吉市(くらよしし)、智頭町(ちづちょう)、伯耆町(ほうきちょう)に「森のようちえん」があり、通園を目的に県外から移住してくるファミリーも多いという。県では「とっとり森・里山等自然保育認証制度」を設け、7つの認証園に対しての運営費の支援などを行っている。
■先進的カリキュラムの学校
小学生以降になると、より国際的かつ先進的なカリキュラムを導入する学校の選択が可能になる。文部科学省の「GIGAスクール構想」により小中学生の1人1台PCが主流になったいま、ICT(情報通信技術)教育の強化を図る自治体も増加中だ。佐賀県武雄市(たけおし)では、全国に先駆けて市内全小・中学生に1人1台のPCを配布し、これまで10年間にわたり実践を重ねてきている。コロナ禍での急な休校でも小学校1年生から中学校3年生までオンライン授業がスムーズに実施されている。
学習支援の一環として、学外に公営の無料塾を開設するなど、まちぐるみで子どもの学習をサポートする自治体も多く、田舎でも都会に引けを取らない教育環境が整っているのは心強い。
■子育て支援制度やサポート
子育てや教育を目的とした移住をするうえで、調べておきたいのが移住先の支援制度の充実度だ。2019年10月の「幼児教育・保育の無償化」により、3~5歳児の幼稚園・保育園の利用料が無償化されたが、独自の制度を設け0~2歳児の保育料を無償化している自治体もある※。
また、待機児童を気にせずに保育園が利用できるのも、田舎移住の大きなメリットと言えるだろう。
病児・病後児保育やファミリーサポートセンターなど、都会の働くママにとっては当たり前だった支援も、各地に広がりを見せている。ここ数年で注目を集めているのが出産前後のママをケア&サポートする取り組み。茨城県日立市(ひたちし)では、出産前後の通院や、乳児健診時に利用できるタクシー費用の助成、訪問・通所・宿泊での産後ケア事業、子育てヘルパーの無料派遣、出生届時に3万~12万円のお祝い金を支給など、多岐にわたる支援を展開している。
※参考:本誌「2022年版 第10回 住みたい田舎ベストランキング」で「0~2歳児の保育料を無償化している」と回答した自治体数は240自治体だった(751自治体中)。
■遊び場も多様化
子どもを遊ばせる場としても、田舎の豊かな自然環境は申し分ないが、近年では室内型の運動場や大型遊具施設を設け、遊び場を拡大している自治体も多い。秋田県にかほ市では積雪量の多い冬期でも運動ができるようにと「多目的屋内運動場(エスパーク★にかほ)」を2021年6月にオープン。サブアリーナには、ボーネルンドがプロデュースした大型遊具も設置され、たくさんの子どもたちでにぎわっているという。こうした場所は、親の居場所づくりとしても機能しているのだ。
子育て中の移住者に話を聞くと、移住のきっかけとして「自然豊かな場所で、のびのびと子育てがしたかった」と答えるケースが多い。子育て世代は、今回紹介したような教育環境や子育て支援制度も踏まえたうえで、移住地を探してみてはいかがだろうか?
文/強矢あゆみ
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