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田舎暮らしの本 1月号

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田舎暮らしの本 1月号

12月3日(火)
890円(税込)

© TAKARAJIMASHA,Inc. All Rights Reserved.

戸建てを0円で手に入れ、月5万円で貸す!? 前代未聞の「空き家ゼロ円投資」とは?

「田舎の実家を相続したけど、使う機会がない」

「雨漏りなどの修繕費用が高い」

「遺品整理にもコストがかかる」

「解体の見積もりを取ったら150万円くらいと言われた」

 さまざまな理由で放置されている「空き家」は多い。現在、日本には849万戸もの空き家が存在する(平成30年住宅・土地統計調査[総務省])。しかも2038年に2200万戸に達するというシミュレーションまである(2040年の住宅市場と課題[2020年、野村総研])

 「空き家バンク」制度で、空き家を移住者に紹介している自治体も多いが、問題の根本的な解決は難しい。

 一方で、この状況をビジネスチャンスと捉えて、収益化に成功している人もいる。2022年7月に『「空き家」で儲ける!利回り100%不動産投資術』(宝島社)を出版した椙田拓也さんとカネコツトムさんの2人だ。戸建てを0円で手に入れ、月5万円で貸すことも可能だという2人に、どうやって空き家を安く手に入れているのか伺った。

椙田拓也(すぎた・たくや)さん(右)
1974年、兵庫県生まれ。北九州市立大学卒。2009年からサラリーマン大家として不動産投資を開始。6年後には年間5000万円の家賃収入をつくり、サラリーマンを早期退職。その後は専業大家を数年していたが、あまりにも暇すぎて起業。宅建業、建設業、二級建築士などの免許を取り、リノベ会社を経営する実業家でもある。これまでの不動産投資の経験を書籍やブログ等で発信し、上場企業や金融機関などから投資に関する講演や社内研修などの依頼も多い。著書は『融資が決め手! 空室率70%の逆境から18棟を買い進めた“鉄板”不動産投資術』『知れば得する! “お金が増える”大家さんの税知識』(ともに、ごま書房新社)など9冊。

カネコツトムさん(左)
1977年、埼玉県生まれ。法政大学卒。2015年からアパート経営を始めたが、空室が埋まらず赤字に転落。入居付けに苦しんだ結果、不動産仲介に頼らず大家自らが入居付けする「セルフ集客法」を開発。これまで120室以上を不動産仲介に頼らず自力で埋めている。また借金なし、自己資金も不要の「戸建てゼロ円ゲット投資法」を開発し、空き家で稼ぐ社会貢献度の高いビジネスを展開。2019年から椙田拓也とともに200名以上の“ゼロ円ゲット”“格安ゲット”の実践者を育成してきた。中小企業診断士として、M&Aにも従事。その他に宅建士・マンション管理士・管理業務主任者などの資格も多数保有。趣味は旅と登山で、アフリカ最高峰のキリマンジャロ(標高5895m)の登頂経験もある。

 

サラリーマン卒業を目指してアパート投資を始める

椙田 そもそもカネコさんが不動産投資を始めたきっかけは何ですか?

カネコ 大学時代にロバート・キヨサキの『金持ち父さん貧乏父さん』を読んで不動産投資を知って、「いつか大家さんになりたいな」と漠然と思っていました。実際に行動し始めたのは8年前です。

椙田 「大家さんになりたい」と思っても行動しない人が多い中で、カネコさんが行動に移した理由は何ですか?

カネコ 当時、私は分譲マンションの管理運営を受託する会社で、企業買収をするM&Aの部署で働いていました。ですが、私は忖度が苦手で場の空気を考えない、正論を言ってしまうタイプなので、会社の雰囲気になじめず会社員が嫌になってしまったんです。それで不動産投資で家賃収入を得て、会社員は辞めようと考えたのです。椙田さんも前職は会社員ですよね? 

椙田 はい。私はオリンパスという精密機器メーカーに勤めていました。不動産投資は2009年にスタートしましたが、当時は築古の物件にも融資が付きやすい時期だったので、高利回りのアパート・マンションをどんどん買い増していきました。所有物件が100室を超えた2015年に、サラリーマンは卒業しました。

カネコ 私も同じような流れです。私が始めたのは2014年ですが、まだサラリーマンに対して融資が出やすかったので、中古アパートを買い進めることができました。とりあえずの目標として、会社員の年収と同じくらいのキャッシュフローを目指していて、それは5年目に達成できました。

椙田 それでも会社は辞めなかった?

カネコ はい。退職は数年前ですね。当時はまだまだ規模を拡大したかったのです。椙田さんは、会社を辞めた後どうしたのですか?

椙田 私は退職した後は宅建業の免許を取って、物件を安く仕入れて再生して売る不動産転売をしていました。

 

融資ストップがきっかけで空き家ゼロ円投資に方向転換

椙田 カネコさんは、どうして空き家ゼロ円投資を始めようと思ったのですか?

カネコ 2018年、融資が止まったことがきっかけです。先ほどお話ししたように私はもっと規模を拡大したかったのに、なかなか融資が受けにくくなってしまいました。

椙田 融資が受けにくくなった事情といえば、スルガ銀行の不正融資問題ですね。

カネコ でもそれは金融機関の事情であって、私には関係ありません。不動産投資を拡大したいという気持ちがすごく強かったんですね。金融機関からお金を借りずに事業を拡大する方法は何かないかなと、考えていました。それで取り組んだのが、空き家ゼロ円投資でした。ヒントとなったきっかけは、知り合いの不動産投資家が「いま、空き家をもらう交渉をしていて、うまくいきそうだ」と言っていたのを聞いて、「それなら自分にもやれるはずだ」と思い、すぐに私もチャレンジしてみました。

40万円で購入した山口県山口市の空き家。土地の所有権に関するリスクがある物件だった。

広々としてキレイな玄関。

 

480万円の空き家が100万円に! 約80%の値引き交渉に成功

椙田 カネコさんの1戸目は、最初から激安で売られていたわけではないんですよね。

カネコ はい。2018年に100万円で購入した空き家は、埼玉県羽生市(はにゅうし)で、もともと480万円で売り出されていました。

椙田 購入の経緯を教えてください。

カネコ 大家さんの集まる飲み会に行ったら、そこに不動産会社さんがいたんです。そこで「どんなボロ物件でもいいので、困っている物件はないですか?」って聞いたのです。そこで「ありますよ」と言うので、見に行ったら古い平屋の空き家でした。

 そこで、「末広がりの80万円で決めてくれたら買います」と言ったんです。すると2~3日経って、「所有者さんは120万円ならいいと言っています」と返事がありました。ただ言ってみただけなのに、そんなに下がるんだとびっくりました。ですが、あくまで私の目標は80万円だったので、まだ買うとも買わないとも言わずに「私の希望とはずいぶん差がありますね。困りましたね」と言ったんです。

 するとまた2~3日後に電話がかかってきて「カネコさん、100万円だったら契約すると言っています」と、さらに20万円下がったんです。「ありがとうございます。嬉しいです。ただし、私の希望は80万円なので、100万円ではまだ差がありますよね」という感じで電話は終わったんです。

 すると、また2~3日後に電話がかかってきて、「カネコさん、あの物件は100万円以下にはなりません。ただ、もう早く決めたいので、仲介手数料を下げます」と言ってきたんです。さすがに限界点に来ているんだなと思って、それで100万円で買うことにしました。これがゼロ円投資のスタートです。

椙田 スゴイ! 最初の交渉は0円にはなりませんでしたが、約80%引きはすごい交渉ですよね。

 

金額は交渉次第。タダでくれる人は必ずいる

椙田 そこから得た教訓は?

カネコ「言ってみないとわからないし、やってみないとわからない」ということです。たとえ指値が通らなくても、値下げ交渉ができなかったとしても、私には失うものはありません。だから、恐れる必要はないなと強く感じました。これはいけると確信して、ゼロ円やマイナスで、継続して賃貸用の一軒家を増やしています。

椙田 でも、最初から「タダであげます」という人はあまりいないですよね。

カネコ はい。でも交渉を重ねて最終的には、マイナスゲットができるようになったんです。

椙田 私は、カネコさんがゼロ円とかマイナスで買っていると聞いて驚きました。

カネコ 取引って普通は「お金を払って商品を受け取る」行為ですが、マイナスゲットは「お金をいただいて、商品をいただく」という話です。

椙田 それまで私も不動産転売のために、まあ安く仕入れてきたつもりでしたが、不動産がゼロ円で買えるというか、もらえるという概念は一切なかったです。そんな仕入れができるなんて「最強だな」と。

カネコ それまで、ゼロ円はまったくなかったのですか?

椙田 普通はありませんよ(笑)。カネコさんから教えてもらって、空き家を5円でゲットしたのが私の最初です。

立派な塀に囲まれた兵庫県加古川市の空き家。購入価格は25万円だった。

明るい光が差し込む洗面台の窓は、凝った木枠が特徴的。

倉庫に眠っていたスーパーカブ。

 

使い道のない不動産を持て余している人は意外と多い

椙田 あと、あくまで交渉ベースで、無理やりごねて、ゼロ円とかマイナスゲットしているわけではないのもびっくりです。

カネコ 取引してわかったのが、前所有者は不動産を手放して喜ぶケースが多いのです。

椙田 それは、前所有者にとっては、不動産を持っていることがストレスだったと? 

カネコ そうです。あくまで前所有者さんのニーズにお応えして、譲り受けているということです。

椙田 じつは私自身も、お願いをされて1円の対価を払って、全国11カ所ある山をまとめていただいたことがあります。

カネコ 1円で11カ所とは!

椙田 2014年ごろ、札幌の1棟マンション買ったときの話です。不動産会社が売主で、山を全国にいくつかもっていて、処分に困っていました。それで「おまけで引き取ってもらえませんか?」という話だったのです。

 山梨、長野、和歌山、石川、鳥取、鹿児島の沖永良部島。埼玉県のさいたま市の狭い土地や入間市の道路もあります。

 固定資産税が高かったら困ると思ったのですが、土地の上空に高圧電線が通っていると、線下補償料という名目で、電力会社から3年間で4万円くらいお金を払ってもらえるので、それで固定資産税は払えます。

 あと埼玉県の土地は、100万円と150万円で売却済みなので、元手の1円はとっくに回収しています。

カネコ 1円で買ってすでに250万円を得ているなんて、すごい話です。

椙田 これは単なるラッキーな話で、再現性はないと思っていました。交渉してゼロ円やマイナスで不動産をもらえるなんて、思ってもみなかったです。

兵庫県の空き家(古民家)の縁側で語る著者2人。

 

安価すぎる空き家は不動産会社のお荷物になっている

椙田 この空き家ゼロ円投資は決して一般的ではありませんよね?

カネコ はい。一般的ではないという認識を持っています。ただ安価すぎる不動産は、不動産会社さんにとっては手間がかかるのに、収益が少ない仕事です。

椙田 たしかに契約書をつくったりだとか、調査したりだとか。業務の内容は変わらないのに、ゼロ円だったら利益はありませんよね。

カネコ だから不動産会社さんとしてはそういう案件が来たとしても、仲介したいと思わない。その結果、世の中にゼロ円やマイナスはたくさんあるのに、表に出てきていないというのが実情なんじゃないかと思っています。

椙田 そうですよね。「タダでもいいからもらってほしい」という潜在的なニーズはあるはず。カネコさんから話を聞いて、すぐに私も実践しました。山形県鶴岡市で、モーテルを5円で購入しました。それが2019年1月のこと。

 このときは、知り合いの不動産会社に一斉メールしたんです。「とにかく安く買いたいから、空き家を紹介してください」って。すると、交渉できそうな物件があると連絡がありました。

 売り出し価格は460万円で、本来なら半値の230万円で指値するところ、せっかくなんでカネコさんのやり方を真似してみたら、やっぱりタダでもいいから、引き取ってほしいという話になりました。

カネコ なぜ5円なんでしょう。

椙田 「せっかくのご縁なんで、5円でいきましょう」と仲介の不動産会社の提案です。

カネコ 安くなった理由は?

椙田 所有者が亡くなって、相続人は東京に住んでいて持て余していたんです。モーテルを住宅に改装しているのですが、売りに出してもなかなか売れない。残置物がたくさんあり、残置物処理の見積もりが80万円くらいだったそうで、もうとにかく手放したいという気持ちになっていたようです。

 

ゼロ円やマイナスゲットで手に入れることは難しくはない

カネコ ゼロ円やマイナスゲットのコツは「意識をする」ことです。たとえばベンツを買った人は、運転しているとベンツがやたらと目につきます。それは「意識をした」から見えてきたということ。実際には、ベンツは以前からたくさん走っています。ただ、その情報が目に映っても脳に届かないんですよ。でもベンツを意識すると、目に映るベンツの情報が脳に伝わります。世の中、ゼロ円の家はいっぱいあります。でも、気づいていないだけなんです。

椙田 空き家ゼロ円投資を知ることで、その情報をキャッチして目に映った情報を脳に意識できるようになるということですね?

カネコ そのとおりですね。だから、ゼロ円投資は難しいことはありません。この投資を成功させるには「意識する」ことが第一関門ですが、それはもう突破しているわけですから。

椙田 あとは行動して成功させるだけですね!

 

※この対談は『「空き家」で儲ける!利回り100%不動産投資術』に収録されているスペシャル対談の内容をもとに、本誌のために著者の2人が改編・追加したものです。

 

『「空き家」で儲ける! 驚異の利回り100%不動産投資術』

(椙田拓也・カネコツトム著、宝島社刊、1650円)

「相場より安く貸せば必ず入居者は見つかる」という基本原則のもと、戸建て物件を格安で手に入れ、抑えた家賃で貸して収入を得る方法をわかりやすく解説している。

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