俳優・三浦貴大さん主演の映画『大綱引の恋』が5月7日より公開中です。鹿児島県薩摩川内市(さつませんだいし)で400年以上続く「川内大綱引」を通して、三浦さん演じる鳶職の跡取り息子と、韓国からやってきた女性研修医との恋愛模様が描かれます。
今回は本誌2021年6月号に掲載した三浦貴大さんのインタビューの後編! 俳優という仕事にたどり着くまでの紆余曲折や、趣味でもあるひとりキャンプのエピソードなどが飛び出しました。
(※前編の記事はこちら 三浦貴大さんインタビュー前編 「方言はからだになじむのに時間がかかるので、居酒屋がいちばん!」)
紆余曲折を経て俳優業と出合う
一つひとつの役柄にていねいに誠実に向き合う三浦さん。俳優という仕事にたどり着くまで、じつはかなりの紆余曲折があった。体育の先生になろうと大学に進学するも、「意外とスポーツは嫌いで教えるのも好きじゃなかった」と路線変更。精神障害者の抱える問題の解決を援助、社会参加に向けて支援する精神保健福祉士を目指す。けれどそれも実習を経て、「素晴らしい職業だけど、自分には向かない」と、さらに変更する。
「患者さんとの間に壁をつくって自分を守らなければ」という教えに、「自分には無理」と判断した。
「でも、いまの仕事にプラスになっています。実習などで大事にしたのは、まずその人自身の性格を知ろうとすること。それによって病気の症状も変わりますから。普通の大学生よりたくさんの人と対話したので、いろいろな人がいるな、人って面白いなと。俳優として役を演じるにも、こういう人っているなと幅広く思えるし、どういう人だろう?と楽しく考えられます。それが芝居に役立つかは……どうだろう? 趣味みたいなものかもしれませんね」
監督の演出がすべて。だからこそセリフをきちっと覚え、方言などの準備をしたらあとはただフラットに、どんな演出にも応えられる心構えで撮影に挑む。
「『ひとりキャンプで食って寝る』というドラマをやってから、よくひとりキャンプに行くようになりました、もともと1人が好きで。焚き火が好きなんですけど、さすがに家にひきこもっていてはできないし(笑)。面倒なときはオートキャンプ場へ行き、横で焚き火をしながら台本を覚えて。テントも立てずにそのまま車で寝ます。焚き火以外、やってることは家にいるときと一緒かも」
そんな三浦さん、長野県上田市にある大正6年創業の老舗映画館「上田映劇」の理事という肩書も持つ。きっかけは実話をもとにした主演映画『サムライフ』(2015年)。全財産725円で理想の学校をつくろうと立ち上がる長岡を演じた。
「その長岡さんから〝あの映画館がつぶれちゃうんだよ〞と聞いて。〝もったいないですね〞〝じゃあ俺が話をつけてくるわ、理事やってよ〞〝いいですよ〞と。学校をつくるような人ですから、抜群の行動力でそういうことになって。自然が多いところってすてきですよね。東京よりコミュニティが強いだろうから、実際に引っ越したら隣人とどうコミュニケーションをとるかが問題だろうけど。大変でしょうが、楽しめる気がします」
上田に家を買おうかな、そんな思いも頭をもたげている。
「ボロボロの家を買ってみんなでリフォームしたら楽しそう、なんて思っているんですよね」
みうら・たかひろ●1985年生まれ、東京都出身。2 0 1 0 年に映画『RAILWAYS 49歳で電車の運転士になった男の物語』でデビュー。最近の主な出演ドラマは『いだてん~東京オリムピック噺~』『エール』、映画『実りゆく』『大コメ騒動』。映画『妖怪大戦争~ガーディアンズ』が今夏公開。
『大綱引の恋』
●監督:佐々部清 ●出演:三浦貴大、知英、比嘉愛未、中村優一、松本若菜、西田聖志郎、朝加真由美、升毅、石野真子 ほか●5月7日より新宿武蔵野館ほか全国公開●ストーリー:有馬武志(三浦貴大)は鳶の親方である父の寛志(西田聖志郎)、母の文子(石野真子)、妹の敦子(比嘉愛未)との4人暮らし。ある日、母が定年退職を宣言して女将も家事も放棄、有馬家はドタバタに。そんななか武志は韓国から来た研修医のヨ・ジヒョン(知英)と出会って交流を重ねる。年に一度の大綱引の日が近づくなか、武志はジヒョンから、「あと2週間で帰国する」と告げられる。
https://ohzuna-movie.jp/ ⓒ2020映画「大綱引の恋」フィルムパートナーズ
文/浅見祥子 写真/鈴木千佳 スタイリスト/涌井宏美 ヘアメイク/KEN
ジャケット、パンツ、スニーカー/すべてROL吉祥寺店 ☎0422- 20-4555 シャツ/スタイリスト私物
この記事のタグ
田舎暮らしの記事をシェアする