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田舎暮らしの本 12月号

最新号のご案内

田舎暮らしの本 12月号

11月1日(金)
890円(税込)

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田舎暮らしのご近所さん② 郷に入っては郷に従え!? 集落ルールにご用心!

人と人との距離が近いのが田舎暮らしのいいところ……とは言え都会のドライなご近所付き合いに慣れてきた移住者にとって、田舎の濃密なお付き合いは驚きの連続。ときには移住の成功をも左右してしまうご近所付き合いのぶっちゃけエピソードを紹介しよう。ご近所さんの気持ちがよくわかる!田舎暮らしライターのお付き合いアドバイス付きです。

昔ながらの田舎の慣習に、都会の常識とのギャップを感じる移住者は多いようだが、一見、謎と思えるルールにも必ず理由があるようで……。

 

集落総出で手伝う最期のお別れ お香典はいくらが正解? 

約30軒の「区」内でご不幸が出ると、約10 軒の「班」の長から電話連絡が来ます。

その日のうちに班で揃ってご自宅に伺い、ご遺体に手を合わせた後、お通夜や告別式などの段取りをご当家と話し合います。班内のご不幸の場合はその後、区内に葬儀を「触れ」て回り、親戚縁者に電話連絡し、役場に出向いて埋葬許可を取り……、などに始まって、通夜、火葬、告別式、埋葬まで3日間のお手伝いです。

班外でも当番は葬儀の帳場・会計などを手伝い、当番以外はお通夜や告別式に参列します。班内のお手伝いは自宅葬のあった10 年ほど前まで各戸夫婦2人でしたが、会場葬に変わった今は各戸1人になりました。

田舎では8 0 代、9 0 代のお年寄りが大勢います。言い方は悪いかもしれませんが、葬儀は日常の出来事です。葬儀屋さんやお寺のご住職とも、自然と顔なじみとなります。(ライター・新田穂高)

 

 私たちが移住した沖縄本島の集落では、最初は香典の額がわからず、とりあえず5 0 0 0 円包んでいったところ、多額の商品券が戻ってきました。近所の方に聞くと、この集落では広い意味で親戚関係の方がほとんどということで、香典は昔からずっと1000円でいいと決まっていると教えてくれました。(秋田恵子さん、67歳)

 

困った!寄付が集まらない!判例では任意だそうですが……

地区には運動会や敬老会、消防団、子ども会、郷土芸能、赤い羽根の共同募金など、さまざまな寄付の依頼があります。長年の慣例になっているので、役員がその都度集めて回るのではなく、区費からまとめて支出される場合が多いです。

ところが移住者の集まる地区で、寄付の取りまとめを断る例が出てきました。本来任意の寄付を区費として一括で集めるのはダメという判例があるのだそうです。その地区の人たちも行事には参加しますし、地区での火災には消防団も出動するのですが。

行事の役員からは「全戸の協力が得られないなら行事自体をやめたほうがよいのでは」という声まで上がっています。今のところ「長年やってきたものを一部の地区のためにやめるのはおかしい」という声が勝っているものの、これも時代の流れなのでしょうか。(古田葉広さん、55歳)

 

知らない間にウチの物干しざおが近所の共有物に!

門扉がないので、誰でも出入りできる我が家。朝に洗濯をしようと庭を見たら、物干しざおに見たことのない布団が干してあってビックリ! 

布団の主は、2軒ほど隣の家のおばあちゃんでしたが、どうやら「物干しざおは近所の共用物」という感覚のよう。何の断りもなく干しに来て、夕方気づいたら引き上げられていました。

毎日ではないので、子どもや孫が来るときに、干すスペースが足りなくなるのかも。きっとふかふかの布団で寝かせてあげたいんでしょうね。 ( 白井真由美さん、3 3 歳)

 

田舎暮らしライター・山本一典のアドバイス 集落ルールにご用心! 編
「郷に入れば郷に従え」だが、理不尽なら断る必要も!

行事をいつどういう形で行うか、今年の区費をいくらにするかといった公式なルールは年に1度の自治会の総会で決めるのが普通ですが、都会のように多数決で決めることはほとんどありません。どんなに時間がかかっても全員一致が原則。「異議なし」という発言にみんなが納得すれば、それがルールになります。

日常生活では「郷に入れば郷に従え」を忘れないことです。例えば、目と目が合えば必ず挨拶する、草刈りなどの共同作業には必ず参加する、同じ葬式班なら手伝いに駆け付ける、といったことです。地元の風習でわからないことがあれば、区長さんや親しいご近所に教えてもらいましょう。

ただ、飲みに来てくださいと誘ったら毎晩のように訪ねてきて困った、などというケースもあります。その場合は、早めに消灯して相手に知らせるのも1つの方法。宗教や選挙活動もそうですが、誘いを曖昧に受けていると抜け出せなくなります。はっきり断って角を立てるよりも「その日は忙しいから」とそれとなく何度か断ると、良好な関係を維持できるものです。

文/笹木博幸、西郡幸子、新田穂高、山本一典、吉野かぁこ イラスト/今井ヨージ
※本文中の氏名は、ライター・新田穂高、山本一典を除き、すべて仮名です。

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