晴れた人をご紹介します。あなたも岡山で暮らしてみませんか。今回は、吉備中央町で地域おこし協力隊として活動し、卒業後もここで暮らし仕事をすることを選んだ女性をご紹介しましょう。
つくる楽しさを地域に学ぶ
2014年、吉備中央町に1人の女性が舞い降りた。井上ゆき美さん、当時27歳。同町の地域おこし協力隊第1号だ。
井上さんは神奈川県川崎市出身。大学、就職先も都心という生粋の都会っ子だ。そのせいか雄大な自然への憧れが強く、日本アルプスやマウントレーニアなど国内外の大自然を旅した。3年間勤めた旅行会社を退職した後、友人に吉備中央町を紹介された。
「事前に見学に訪れたら、いい人たちばかり。それに、こういう人の営みと自然との境界のような里山にも住んでみたかったんです」と、井上さんは着任の理由を話す。
隊員としてのミッションは特に決まっておらず、井上さんは町内のリサーチから始めた。
その過程で、いままで出会わなかったようなユニークな人たちとたくさん知り合った。ピザ窯をつくった人、豆・雑穀専門の農園を営む移住者、自分で屋根に上って雨漏り修理をするお父さん。
「みんな好きなことをして楽しんでいるんです。都会ならお金を出して業者にしてもらうことを自分でする。ここは自分で何かをつくり出す人が、とても多いと感じました」
こうして見つけたまちの魅力をどう発信するか、考え出したのがマルシェの開催だった。
ここでは自分がプレーヤーになれる
井上さんは知り合った人たちに声をかけ、15年8月、きびプラザで第1回のマルシェを開いた。野菜や漬物、工芸品など町内のつくり手と産物が集結。以来、冬季を除いて隔月で続け、27店舗・集客600人から、65店舗に2000人が集まるビッグイベントに成長した。倉敷市や岡山市など町外からも多くの人が来場するように。
「高齢の女性が『マルシェのときは倉敷から娘と孫が帰ってくる。マルシェがあってよかった』と言ってくれたのが本当にうれしかったと」、井上さんは顔を輝かす。残念ながら現在マルシェは、コロナ禍で休止しているが、収束後の再出発を思案中だ。
井上さんは1年の延長を経て地域おこし協力隊を卒業し、現在は移住・定住支援や地方創生ベンチャー企業の広報、グラフィックデザインなど、わらじを何足か履いて東奔西走している。仕事に共通するのは、人と人、人と地域を結びつける役割だ。
「ここでは、自分がプレーヤーになれる。手を挙げてやりたいことをできるチャンスがたくさんあるんです。仕事を与えられるのではなく、自分で見つけてつくる。そういう生き方は、東京で暮らしていたらきっとできなかったと思う」と充実感を語る。
森林や植物が大好きという井上さん。今後は「野山の豊かさも発信したい」と、まだまだ「やりたい」が尽きない。岡山暮らし7年目、まさに人生の「つくり手」となって自分らしく生きている。
【吉備中央町(きびちゅうおうちょう)】
岡山県の中央に位置し、人口約1万900人。吉備高原と呼ばれる標高200~500mの高原地帯にあり、やや涼しい気候。地震発生率が低く、移住先として注目されている。産業は農業が中心。日本の原風景を残す里山、自然と都市の利便性を併せ持つ「吉備高原都市」から理想とするライフスタイルが選べる。
〈アクセス〉
・岡山空港から車で約25分
・岡山駅からバスで約1時間30分
・岡山自動車道賀陽ICから車で約15分
移住支援
体験住宅を用意するほか、移住活動のための宿泊費助成や新築奨励金、空き家改修費補助など、移住・定住準備への手厚い支援を用意している。また子育て支援も手厚く、満18歳まで小児医療費無料、第1子に子育て世帯応援金100万円支給。就農希望者には、2年間のピオーネ栽培実務研修制度を整えている。
問 吉備中央町定住促進課 ☎0867-34-1116
◎岡山県への移住の問い合わせは◎
岡山県中山間・地域振興課 ☎086-226-7862
https://www.okayama-iju.jp/
【東京窓口】
とっとり・おかやま新橋館「移住・しごと相談コーナー」
☎03-6280-6951
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