DIYでの離れの改修後
本格的な農生活を開始
自宅前のサツマイモ畑にて船井さん夫妻。昨年末に生まれた徠跳(らいと)くん(写真)を含めて3人の子育て中。
福井県小浜市(おばまし)や京都府福知山市(ふくちやまし)で暮らしていた船井勇利(ふないはやと)さん(42歳)・亜由美(あゆみ)さん(42歳)夫妻は、京都府北部で物件を探し、舞鶴市で今の住まいを見つけて2021年に移住。選んだ理由を亜由美さんはこう話す。
「築約40年の平屋で、すぐに住める状態だったのが決め手。農地や蔵もあり、いろいろできそうだなと思いました。隣の家と離れていて、初夏には近くでホタルが舞い、夜に流れ星が見えるのも気に入っています」
まずは残置物を片付け、離れをカフェ仕様へとリノベーション。一級建築士の亜由美さんが図面を起こし、建築の仕事をした経験もある勇利さんが改修にあたった。ひと通りの作業が完了した今春からは、目の前の農地でのサツマイモ栽培と、近所の休耕田での米づくりを開始。
「美しい農村の景観を守っていきたいという思いもありますし、きちんとした収入も必要ですから。地域の皆さんが農地を整備してくれていたこともあり、作業は順調です。おいしい農産物をつくり、豊かな生き物を守るため、自然栽培にこだわっています」
と、勇利さん。米はインターネット通販などの販路を模索する一方、複数の品種を育てているサツマイモは「つぼ焼きイモ」として販売する計画。これらが軌道に乗れば、「農家カフェ」をつくり、自家栽培野菜を含めた地産地消の商品を提供することも見据えている。
合計8~9反(2400~2700坪)の休耕田を借り、コシヒカリを栽培。自然栽培と天日干しがこだわり。
家庭菜園は亜由美さんの担当。こちらも無農薬、無化学肥料で季節の野菜を育てている。
物件に付いていた裏山にはクリの木も。「クリご飯などにして楽しみます」と勇利さん。
菜園では食べたい野菜を栽培。この日はミニトマト、オクラ、カボチャ、ナスを収穫。
収穫したての野菜を食卓へ。野菜自体の味がしっかりしているので調理はシンプルに。ゆでたオクラの梅肉添えなど。敷地内で穫れたウメは梅干しやシロップに加工。
外観はグリーンの扉をアクセントにして、シンプルモダンに仕上げた離れ。カフェとして全面的にリノベーションし、キッチンやトイレも新設した。
自転車が趣味の勇利さん。ときには愛車のFuji「FEATHER」で気分転換へ。
約10年前に京都市からUターンした近所の道林喜晴(どうりんよしはる)さん。移住者目線でいろいろと手助けしてくれるそう。
「地域の力になるため行事には極力参加しています」と勇利さん。4年ぶりの開催となる舞鶴市無形民俗文化財の秋祭り「大俣太鼓」にも参加。
船井さんに聞く!
菜園生活 Q&A
Q 栽培のノウハウはどう学んだ?
A 移住後に毎晩勉強しました。インターネットには不正確な情報も多く、納得できる方法を吟味しています。
Q どんな工夫をしている?
A 苗を買うとお金がかかるので、基本的に自分で種を採って蒔くように努めています。
Q 栽培で失敗したことは?
A 今年は想定外の日照りと高温でキュウリが全滅。もっと早く水を与えるべきでした。
船井さんに聞く!
平屋オススメPOINT
「平屋の利点は改修時に本格的な足場が要らず、DIYでの作業がしやすいこと。住むうえでは階段の上り下りがないからバリアフリーで老後も安心(笑)。家族のコミュニケーションもとりやすいと思います」(船井さん)
船井さんの
菜園のこだわり
雑草を土づくりの参考に
「できるだけコストをかけず、あるものを使うのが基本です」と船井さん。農機具は地域で使わなくなったものを安く譲ってもらい、わら、もみ殻、ぬかなどを土づくりに活用。家庭菜園も市販の石灰などは使わない。「また、生えている雑草を見て土の状態を判断しています。そのために今は雑草の種類を勉強中です」。
文・写真/笹木博幸
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