「福岡の水がめ」とも呼ばれる水資源、江戸時代から守り継ぐ三連水車、風情ある城下町をはじめ、多彩な魅力に満ちた朝倉市。豊かな自然環境とほどよい利便性を併せ持つこのまちの住みよさや今後の展望について、2018年から市政を担う林裕二市長に伺った。
まちを輝かせる人、自然、歴史が財産
朝倉市では「人、自然、歴史が織りなす 水ひかる 朝倉」というスローガンを掲げ、その1つとして「水の回廊」を打ち出しています。大都市近郊のまちに、寺内ダム、江川ダム、小石原川ダムという3つのダムがあるのは全国的に珍しく、それぞれ異なる魅力を持つのも特徴でしょう。例えば寺内ダムの湖畔には、水に関する情報発信機能とスポーツやレクリエーション施設を整えた「あまぎ水の文化村」があり、2024年には新たにオートキャンプ場がオープンします。
水と農業とのかかわりでいえば、江戸時代からの灌漑(かんがい)施設「山田堰(やまだぜき)」があります。アフガニスタンで活動された故・中村哲(なかむらてつ)医師が現地で築いた用水路の取水堰のモデルになりました。これと対をなすのが、農地へ水を送る揚水車群。実働する日本最古の三連水車として親しまれ、堀川用水とともに国の史跡に指定されています。このほか県内随一の湧出量を誇る原鶴(はらづる)温泉など、豊かな水資源の恩恵は少なくありません。
歴史的な名所としては、地域全体が国の重要伝統的建造物群保存地区に指定され、「筑前の小京都」と呼ばれる秋月城下町が代表的。秋月藩成立400年に当たる23年から24年にかけて、さまざまな記念事業を展開中です。近年は古民家を改修した店舗や宿をはじめ、新しい動きも見逃せません。
そして朝倉市の一番の財産が「人」。穏やかで温かな気質と、地域の活動に熱心な人が多いことが自慢です。
安心して子育てができ、仕事の選択肢も豊富
政策面では第1期の就任当初より、17年の九州北部豪雨災害からの復旧・復興を最重要課題として、「ふるさと朝倉を取り戻す」という理念を掲げて取り組んできました。併せて注力してきたのが子育て支援です。保護者の就労を助け、児童の健全な育成を図るため、学童保育所は市内全小学校区に設置。就学前の子どもの医療費や小・中学生の入院費の助成、ファミリー・サポート・センター、子育て支援センター、「子育てほっとサロンつどいの広場」など、幅広い支援体制を整えています。
働く環境については、農業、工業、商業のバランスがとれ、大きな企業も立地。市内には甘木(あまぎ)鉄道と西日本鉄道甘木線の駅に加え、高速道路のインターが3つあり、都市部で働きながら田舎暮らしが可能です。新規就農希望者の受け入れ態勢も整っており、農業を目的とした若い移住者も増えています。
これらのまちの魅力を実感していただくため、秋月城下町の空き家を活用した利用料無料の「あさ暮らしお試し居住ハウス」を設置しています。当初は3日間〜2週間で1回のみの利用に限っていましたが、「長期の休みは取りにくい」「もう一度滞在したい」という声に応え、「2回で合計2週間まで」と利用しやすくしました。
24年度には朝倉市移住定住交流センター「コンネアサクラ」、25年度には新たなランドマークを目指す新庁舎が誕生予定。これらハード面の整備を含めて、「ぜひ住みたい」「住んでよかった」と思われるまちづくりに今後も努めていきます。
【福岡県朝倉市】
朝倉市は福岡県のほぼ中央に位置する人口約5万人のまち。北部に標高900m前後の山々が連なり、筑後川が流れる南部にはのどかな田園風景が広がる。福岡空港や博多駅から大分自動車道などを利用して車で約40分。
【朝倉市最新移住支援情報】
移住や交流の拠点を新設
朝倉市移住定住交流センター「コンネアサクラ」は、定住人口や関係人口の拡大を目指す拠点施設として、甘木駅前の駐車場内に建設予定。2024年度の開設後は市の職員が常駐し、移住・定住に関する相談や移住者の交流促進の窓口として機能するほか、地域活性化につながるイベントなども実施していく計画だ。
【朝倉市の移住支援窓口】
シティプロモーション課
福岡県朝倉市菩提寺412-2
☎0946-28-7134
https://www.city.asakura.lg.jp
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