2021年5月号掲載
※掲載している物件は2021年3月上旬の情報です。すでに契約済みの場合があります。
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能登半島の建具のまちに立つゲストハウス向きの1円物件
南北に広がる能登半島の中ほどに位置する七尾市は、商業施設や医療機関が揃った都会的な一面と、里山里海や温泉のある田舎の表情がバランスよく共存。
利便性と安らぎが感じられる「建具のまち」に、複数の田畑と蔵付きで1円という18DKの物件がある。
(↑「住居兼医院として使われた立派な建物です」と、現オーナーの親戚で管理を任されている藤澤外夫さん。)
物件データ
豊富な部屋数と大きな蔵が自慢
お問い合わせ:株式会社リライト ☎045-620-8659 補修にかかる費用 天井や壁紙のはがれ、床の傷み、雨漏りや動物侵入の痕跡あり。浴室横のボイラーは故障。 改修費用の概算は業者への確認が必要。参考として 解体費用は約450万円だという。 地域でかかる費用 自治会費あり。金額などの詳細は現地にて要確認。 参加したほうがよい行事 道路などの清掃作業が年に1~2回。 春には住吉大祭、夏には東嶺寺の万灯会などを実施。 |
1000万円以上の価値ある物件が1円に
(↑七尾湾を囲むように市域が広がり、東部は富山湾を望む七尾市。県内を代表する名湯の和倉温泉、リゾートアイランドの能登島など、観光のまちとしても親しまれる。羽田空港から能登空港へ約1時間、同空港から車で約1時間。)
(↑敷地の奥に立つ明治後期築の蔵は、アトリエやオーディオルームなどにも最適。)
世界農業遺産「能登の里山里海」の一角をなす七尾市は、展望スポットの別所岳、イルカが顔を出す七尾湾などの自然が美しい。
一方で中心部には都市機能が整い、世代を問わず安心して暮らせると、商工観光課の野の田だ祐ゆう貴きさんは胸を張る。
「救急指定の総合病院2つをはじめ、5万人余りの人口規模から考えると医療環境が充実しています。18歳までの子どもの医療費窓口無料化など、子育て環境のよさも魅力です」
地域ごとに異なる特色があるが、七尾西湾に面した田鶴浜町(たつるはままち)は、江戸時代からの伝統を守り継ぐ建具のまち。
その田鶴浜建具発祥の地とされる東嶺寺(とうれいじ)の参道に、代々医院を営んできた大規模物件がある。
埼玉県在住のオーナーの夫の祖父は、旧田鶴浜町長も務めていたという。
夫は医者を継がずサラリーマンをしていたが、父の死に伴って土地や建物を相続。
その夫も数年前に亡くなり、オーナーは埼玉から頻繁に通っての管理が困難だと判断。
地価から考えると割安な1000万円で売りに出したが、買い手が見つからず、取り壊すことも考えたという。
しかし「うまく生かしてくれる方がいれば」と思い直し、横浜市の株式会社リライトに相談して1円での売却を決めた。
(↑池のある裏庭に面した15畳の仏間。 襖やガラス戸を隔てて3室の和室と接続。)
(↑年月を経て色あせた板張りの廊下が真っすぐ奥へ。きしむ音を含めてノスタルジック。)
事業用に生かしたい広い間取りとレトロな趣
(↑1階南側の10畳の和室は奥まった場所にあるが 、2 面の窓 からの明るい光が満ちる。)
(↑玄関脇の8畳の洋室はグリーンの天井が印象的。窓も大きくて居心地がよい。)
1948年の築後、増築を重ねた2階建ての建物は、少し入り組んだ形状の18DK。
1階には待合室や診察室など医院時代に使われた洋室が並び、奥に座敷やDKなどが配置されている。
広い板張りの廊下や木製の建具などは、どこか昔の学校や旅館を彷彿させ、郷愁を誘う。
100坪近い敷地内には、池を設けた庭があったり、レトロな風情の蔵があったり。
北側の空地には、複数台の駐車ができる。
部屋数が多いことなどを考慮すると、ゲストハウスやシェアハウス、飲食店などに使うのがいいかもしれない。
水道水は市内でも特に質のよい超軟水で、おいしいコーヒーの提供や発酵食品づくりにも適する。
再生にはそれなりの覚悟も必要だ。
2007年の能登半島地震で受けた損傷は基本的に補修済みとはいえ、各所に経年劣化が見られることは否めない。
「これくらいの規模になると改修費はかなり必要なはず。クラウドファンディングを活用し、チームをつくって事業を立ち上げるのも一考でしょう」と、リライトの田中裕治(たなかゆうじ)さんはアドバイスする。
田畑や山林が付くなどハードとしてのポテンシャルは高く、アイデア次第で大化けしそうだ。
徒歩圏内にはコンビニやスーパー、診療所や学校といった生活関連施設が揃い、市内中心部へ車で15分圏内。
野鳥公園や釣りができる海、和倉温泉など、遊びや癒やしの要素も身近に多い。
車で約3分の田鶴浜インターからは、無料の能越自動車道・のと里山海道で金沢市内へ1時間ほどと、事業計画の立地として好条件を備えている。
(↑裏庭に池があり、バルブを開けると滝のように水が流れる趣向。手直しすれば美しく生まれ変わりそう。)
(↑徒歩約5分の田鶴浜駅は、のと鉄道七尾線の趣ある無人駅。2駅10分で七尾駅へ。)
1円物件購入の注意点
それなりの負担は必要です!
1円という売買の形にしているのは、0円だと不動産情報サイトに掲載できず、贈与税がかかるリスクもあるから。
1円の設定も評価額と乖離していれば贈与税が発生しますが、一般的には補修や解体に多額の費用が必要なものばかり。
登録免許税や不動産取得税などもあり、1円だけで済むことはありません。
不動産でみんなを笑顔に
関東を中心に売買・賃貸物件を扱っている不動産会社が(株)リライト。
主な対象は都市部の戸建てやマンション、土地などだが、「不動産を通じてみんなの笑顔をつくりたい」という思いから、再建築不可物件をはじめオーナーが売却できず困っている全国の物件も数多く扱う。
その象徴が1円物件だが、うまく生かせる人にとっては思わぬ掘り出し物件になることも。
お問い合わせ:株式会社リライト ☎045-620-8659 https://www.relight.co.jp
七尾市オススメスポット&グルメ
全身で里山里海を体感!
(↑オススメのグルメ、能登前寿し。七尾湾や富山湾沖の良質な漁場に恵まれ、四季を通じて新鮮な多種類のネタが味わえる。)
里山里海の自然環境に恵まれ、“天然のいけす”こと七尾湾が目の前に広がる七尾市では「すし王国」を標榜。
寒ブリやノドグロをはじめ旬の新鮮な魚介類が食卓を彩る。
(↑七尾港にある能登食祭市場 には、新鮮な海産物や能登の名産品が揃う。 http://www.shokusai.co.jp)
もう1つのオススメが約1200年の歴史を誇る和倉温泉で、豊富な塩分が特徴の“海の温泉”は、殺菌、保温、美肌などの効果が高い。
(↑和倉温泉の足湯「妻恋舟の湯」。七尾湾の眺めが自慢。暖かい時季には壁が外される。)
3市町の移住支援情報
生活圏が同じ3市町が提携
(↑協定締結式にて左から順に、岸博一羽咋市長、茶谷義隆七尾市長、杉本栄蔵中能登町長。)
日常生活での行き来が盛んな七尾市、羽咋市、中能登町が今年2月に「移住推進・関係人口拡大に関するパートナーシップ協定」を締結。
各市町に移住プランナーを配置して広域的な移住相談に対応するとともに、都市部からのワーケーション推進などにも取り組んでいく。
5月には共同のポータルサイトを開設予定。
お問い合わせ:七尾市商工観光課 ☎0767-53-8565 https://www.city.nanao.lg.jp/nanaokurashi
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