高松市南部の商都・仏生山町で、
家も住む人も大切にする不動産店を起業
掲載:2021年7月号
高松市街地から「ことでん」で約20分、高松市仏生山町(ぶっしょうざんちょう)は、昭和や戦前の面影を残すノスタルジックな町。近年、古民家をリノベーションした店などができ、変化しつつある。そんな仏生山町へ移住し、不動産店を営む片山さんは、人や地域とかかわりながら暮らしている。
片山哲也さん(48歳)、恵子さん(45歳)
香川県出身。徳島と東京で働くが、子どもの小学校入学を機に2013年、香川にJターン。宅地建物取引士の資格を取り、「ひとつのものを長く大切に」をコンセプトに不動産と生活雑貨を扱う店を高松市仏生山町で営む。https://www.kaoku-kagawa.jp/
あぜ道や迷路のような道も。寄り道が楽しい町
かつて門前町として栄え、にぎわっていた高松市仏生山町。そこに、片山哲也さん・恵子さん夫妻が営む不動産店「kaoku(かおく)」はある。地元が好きで、「子育ては地元でしたいね」と話をしていた哲也さんと恵子さん。徳島から東京へ転勤、1年後に転職して香川へ戻り、町の雰囲気が気に入った仏生山町に決めた。
道が広くてきれいな町はたくさんあるが、片山さん夫妻が選んだのは、田んぼのあぜ道に草花が咲いていて、軒が重なる細い道がある、寄り道が楽しそうな町。
「大人の想像以上に子どもは寄り道の天才。1kmほどを1時間かけたり、捕まえたヤゴやミミズを飼育していたり。『ミミズを飼うのはやめて〜』と叫んでしまいました(笑)。舗装されたところではできない経験ですよね」と楽しそうに恵子さんは話す。
町角には、「時計おっちゃん」と子どもたちから慕われる名物おじさんもいる。首から大きな時計をぶらさげていて、時刻を教えてくれるのだ。近所のおじいちゃんやおばあちゃんもわが孫のように子どもたちを気にかけてくれる。
地域を好きになり、町に貢献する不動産店へ
仏生山町に縁もゆかりもなかった2人、引っ越した当初は知り合いもいなかった。仲間をつくろうと「まちづくり」の活動に参加した哲也さん。そのなかで地域の人たちの「住む人に、町に愛着を持ってもらいたい」という思いに触れる。
「地域にかかわり、地域のことを学ぶうちに、僕自身がここを好きになり、町の風情や地域のつながりを守りたいと思うようになったんです。古い家が壊されて、新しい家が建っていくことが寂しくもあり、この町に貢献できないかと考えるようになりました」
一番に考えたのが空き家を利活用することだった。宅地建物取引士の資格を取ったものの、サラリーマンと不動産業の両立はできないとあとから知り、資格はお蔵入りに。1年半後、募る思いを胸に脱サラし、不動産業者として独立した。
仏生山町の古い平屋をリノベーションして事務所に。物件探しやお客さんの開拓、契約など、すべてが模索しながらだった。
「仏生山の町には、魅力的な家や店舗があるので、そこで暮らしていた人たちの思いやよさを大切に、次に住む人につないでいければと思っています」
不動産業を営むうちに、高齢者や身寄りのない人は賃貸物件が借りづらいといった負の部分も見えてきた。
「なんとかしたいと、アパート物件のオーナーになってしまいました(笑)。住む人の目線で考えたいとリノベーションも自分たちでしています」
移住者や高齢者、さまざまな人たちがアパートという小さなコミュニティの中で交流し、日々を楽しんでほしい、そう哲也さんは願っている。「大きなことはできませんが、こんな物件もあるよ、こんな活用ができるよと選択肢を提供できればと思います」と哲也さんは笑う。
香川県高松市
◎移住支援◎
・移住促進家賃等補助制度
県外から高松市へ移住し、民間賃貸住宅に居住する2人以上の世帯に、家賃の一部など最大30万円を補助。
・東京圏UJIターン移住支援補助制度
東京圏から移住し、対象企業の求人や国・県の制度により就業した方、県の補助金を受け起業した方、自己の意思で移住しテレワークに取り組む方に最大100万円を補助。
◎TOPICS◎
・オンライン移住相談を実施!
「オンライン移住相談」を定期的に開催しています。自宅にいながら高松市への移住を相談できるチャンスです。ぜひ、ご利用ください。
・ワーケーションで高松市を体験
島(男木・女木)、山(塩江)、まちなかとその日の目的や気分によって、多彩なワーケーションが楽しめます。移住する前のちょっとお試しにワーケーションで高松市を体験してみませんか。
お問い合わせ 高松市市民政策局政策課移住・定住促進室
☎087-839-2143 https://www.takamatsu-iju.jp/
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