掲載:2021年7月号
晴れの日が多く、過ごしやすい岡山県。豊かな自然の一方で便利さもあり、いくつもの選択肢の中から理想の暮らしを選べます。そんな岡山へ移住した人をご紹介します。今回は、総社市の有機栽培農家です。あなたも岡山で暮らしてみませんか。
野菜嫌いから一転! 有機栽培農家に
「自分が本当にやりたいことは何だろう」。宮本和浩さんがふと立ち止まったのは、30歳を迎えたころだった。大阪府出身、大手小売店の販売員として関西と関東を巡り、売場責任者も任されたが、何か違うと感じた。
「自問の末、農業に行き着きました。私の野菜嫌いをひっくり返したおいしい生野菜に出合い、自分もそんな野菜をつくりたいと思ったんです」
農業への転職を意識してから、都内で開催される就農セミナーに積極的に足を運んだ宮本さん。「岡山県主催のセミナーにも参加しました」。
宮本さんは個人での新規就農ではなく、農業法人への就職を希望していたため、自力で求人を探した。受け入れてくれたのが、総社市の㈲吉備路(きびじ)オーガニックワークだ。BLOF理論(※)という作物生理に基づいた有機栽培を実践し、ニンジン栽培や観光ブドウ園などを営む。
2018年からここで栽培と経営を勉強した宮本さんは、2年後に耕作放棄地を借りて独立。現在約6反の畑でズッキーニやダイコンなどを栽培している。
「農業は本当に面白い。同時に、利益を出しにくいという、リスクもあります。1年かけて解決策が見えてきたので、今年はそれを実践します」と宮本さん。また「使うお金も減ったので、減収のダメージはそれほどありません」と元気に笑う。
※BLOF理論…「Bio Logical Farming(生態系調和型農業理論)」の略で、アミノ酸、ミネラル、太陽熱養生処理の3つをキーワードとした科学的・理論的な有機栽培技術のこと。
竹パウダーで地域貢献。広がる交流とチャンス
移住して間もなく、宮本さんは友達ができたらと、総社市魅力発信室が主催する「そうじゃ若者塾」に入塾した。ここから、まちづくりのキーパーソンへと人脈が広がった。
その1人、前田美紀さんは総社市久米で古民家「みんなの和がや」を拠点にコミュニティ事業を展開している事業家。宮本さんはここに、孟宗竹の粉末を卸している。
竹パウダーは土壌改良に役立ち、竹の伐採は地域課題の竹林管理にもつながる。商品化を思いついた宮本さんは、魅力発信室に竹林の所有者を紹介してもらった。
前田さんは竹パウダーを菜園に撒いたり、米ぬかと合わせて布カイロを製作したりしている。
「作物がとてもよく育ちます。カイロは繰り返し使えるもので、女性に人気です」と好評だ。「みんなの和がや」に集う人たちとの交流も、宮本さんの日常の一部となった。
宮本さんは「移住して万万歳! もっと早く来ればよかった。今後は、まず農業で収益を上げ、竹の利用も、みなさんにアイデアをいただきながら発展させたい」と意気込む。
移住4年目、もうすっかり総社市民だ。
総社市(そうじゃし)岡山県の中心よりやや南西部、岡山市と倉敷市の県下二大都市に面した人口約7万人の市。都心部へのアクセスが良好ながら、郊外には田園が広がり、ほどよく便利な田舎暮らしを味わえる「暮らすならちょうどいいまち」として、岡山県下で最も人口が増えている。
〈アクセス〉
・岡山桃太郎空港から車で約25分
・岡山駅から伯備線で総社駅まで約30分
・岡山自動車道岡山総社ICから車で約10分
移住支援
移住希望者のためのお試し住宅を用意。空き家の利活用を進める空き家百選や、移住先での理想の暮らしをサポートするための相談やアテンドを随時実施している。中山間地域の定住を支援する定住促進助成金や、空き家・空き店舗を利活用した事業を支援するそうじゃ商人(あきんど)応援事業など、各種支援を整えている。
お問い合わせ:総社市魅力発信室 ☎0866-92-8308
https://www.city.soja.okayama.jp/miryoku/kurashi-bousai-kankyo/iju_teiju/iju_teiju.html
岡山県への移住のお問い合わせは https://www.okayama-iju.jp/
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