約25年前、飯綱東高原の森に別荘を建てた茂呂さん夫妻。それから毎週のように通い、木工、スキー、ゴルフ、温泉、薪づくりなど趣味を満喫。現在は田舎メインの二地域居住に切り替え、地元の人と事業を計画するなど別荘暮らしの新たな章が始まろうとしている。
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長野県北部、飯縄山から斑尾山にかけての穏やかな丘陵地に広がるまち。寒暖差を生かした農業が盛んで、特産品はリンゴや米、モモ、高原野菜など。東京から関越自動車道・上信越自動車道経由で約3時間。
飯綱町へのアクセス&交通費(一例)
電車を利用の場合
東京(東京駅)↔ 飯綱町(牟礼駅)
片道約2時間30分 往復1万6480円〜
野鳥の声響く木立の中 ゆったりした時間を満喫
広いウッドデッキで外の景色を眺めるのも楽しみの1つ。庭にはモミジやヤマボウシなど、季節を彩る木が植えられている。
北信五岳の1つ、飯縄山(いいづなやま)の東麓に位置する飯綱東高原。霊仙寺湖(れいせんじこ)周辺にはレジャー施設が点在し、それらを取り囲むように別荘地が広がっている。大通りからそれた木立の中、例年より遅い雪にいまだ包まれたまま、レッドシダーの太材を使ったログハウスが立っていた。埼玉県川口市(かわぐちし)の茂呂修平(もろしゅうへい)さんが25年ほど前に建てた別荘だ。
「勤務していた学校の先輩教員が近くに別荘を持っていて、足しげく通っていたんです。遊びに来て、なるほどいいところだと思いました。近くの土地が売り出されていたので、私もここに別荘を持とうと思いました」
建築は、飯綱町でログハウスを製造する土倉(つちくら)製材所に依頼。自らも週末を利用して東高原に通い、ログビルダーにチェンソーの使い方を教えてもらいながら、床張りや棚づくりなど、可能な範囲で手伝った。
「そのころは、夏は木工、冬はスキーを楽しんでいました。40歳くらいでゴルフを始めて、それからはゴルフばかり(笑)」
当時、霊仙寺湖畔にあったゴルフ場は、1人の場合はほかの1人客と一緒にラウンドを回ることができた。そこで4人のゴルフ仲間と知り合い、もう20年以上の付き合いだという。
妻の尚美(なおみ)さんも教員だ。別荘では、愛犬の宙(そら)くんと散歩をしたり、景色を眺めたりするのが好きだという。
「都会ではいつもせわしないですが、ここは時間の流れ方が全然違います。霊仙寺湖の周りを散歩しながら、遠くに見える志賀高原が白くなっているのに気づいたり、春にサクラがだんだん開いていくのを眺めたり。そういう時間が本当に好きなんです」
これまではグリーンシーズンの週末に別荘通いを続けていた修平さんだが、1年半前に定年退職したのを機に、田舎中心の二地域居住を開始。尚美さんはまだ仕事があるため川口市がメインで、週末に宙くんを連れて遊びに来る。
最近は薪割りが楽しくて、土倉製材所と共同で薪屋を始める計画もあるという修平さん。
「別荘に通うのは、こちらですべき楽しみがあるからです。それは木工だったり、ゴルフだったり、薪だったり。別荘に集中したいので、仕事のパソコンはいつも自宅に置いていきます」
日常と別荘の間に境界線を引き、そのメリハリを楽しむ茂呂さん夫妻。もしかすると、都会と田舎で、2つの人生を生きているような充足感があるのかもしれない。
玄関脇に置かれたポストや椅子は、別荘に通い始めた当初、修平さんがつくったもの。
レッドシダーをふんだんに使用。丸ログより圧迫感の少ない角ログを選んだ。
標高は850mほどで、冬は氷点下10℃を下回ることも。薪ストーブとこたつを併用している。
別荘滞在時は、愛犬との散歩や読書など、のんびりするのが好きという尚美さん。
ビアデッド・コリーの宙くんと散歩。周辺には犬を飼っている定住者も多い。
修平さんは1〜2カ月に1回ほど埼玉の自宅に戻り、尚美さんも同じくらいのペースで飯綱町に来る。
田舎メインの二地域居住に切り替えたのをきっかけに、薪割り機と軽トラを購入。
地元の老舗ログハウスメーカー「土倉製材所」の土倉さんとは別荘を建てたときからの付き合い。
飯綱町での楽しみ
埼玉への帰省時、お土産を買うためによく立ち寄る「農産物直売所さんちゃん」。
さんちゃんの隣にある食事処「食ごよみ 日和」でランチ。飯綱町で育った「信濃地鶏」を使った中華そばが人気。
霊仙寺湖近くにある日帰り温泉施設「むれ温泉 天狗の館」。
回数券を利用して温泉を楽しむ修平さん。
茂呂さん夫妻のお気に入りは、飯綱町役場近くの「美濃屋菓子店」の大判焼。
文/はっさく堂 写真/尾崎たまき
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