これから移住する人に向けて、田舎暮らしで気になることをランキング形式で紹介。今回は、「漁業・農業・林業就業に関する相談会やセミナーが多い自治体」をクローズアップします。農林漁業者の育成に力を入れている自治体にはどういう傾向があるのか、本誌ライターが分析・解説します。
弊誌「田舎暮らしの本」の人気企画『住みたい田舎ベストランキング』では、回答いただいたアンケートをもとに、さまざまな角度からユニークな取り組みをしている自治体をランキング化。読者の移住地選びの参考になるデータを提供しています。
【集計方法】
対象者:全国の自治体
調査方法:『田舎暮らしの本』からのアンケート
(アンケート送付は、「道府県庁経由でのメール」および「各自治体へ編集部から直接メール」の2ルート)
回答数:587自治体
アンケート実施:2023年10月末 ~ 11月下旬
※各項目の算出方法は表の下に別途記載しています。
掲載:田舎暮らしの本 2024年2月号
CONTENTS
【漁業就業に関する相談会やセミナーが多い自治体】
※算出方法:2023年度に漁業就業に関する相談会やセミナーを開催(に出展)した数(2023年4月1日から10月末時点、オンラインおよび開催予定も含む)。
漁業に関心を持つ若い世代は増加傾向にありますが、その政策に力を入れている自治体は全国でもそれほど多いわけではありません。一方で漁業者の人手不足が進んでおり、そのマッティングを課題にしている自治体が増えています。
上の表は2023年度にオンラインを含む漁業就業に関する相談会やセミナーを開催・出展した数をランキングしたもの。海に面した自治体が多いせいか、西日本が上位を占めています。
第1位:京都府舞鶴市(まいづるし)
北は日本海の若狭湾に面し、その最も深く湾入したところに舞鶴湾がある京都府舞鶴市。個別の移住希望者(漁業就業希望)に対しては、舞鶴市の漁業形態や所得の目安や住居などの説明を行っています。
また、新規の漁業者を育成する京都府漁業者育成校「海の民学舎」では、大阪などで行われる漁業就業フェアに参加しており、ほかにも京都府水産事務所において集中相談会などの学舎生の募集活動を実施。学舎でのカリキュラムを終了後、学舎生は舞鶴市をはじめとする京都府沿海市町のいずれかに移住することになります。学舎生の確保のため、海の民学舎事務局が募集活動に熱心に取り組んでおり、京都府や沿岸市町ともに、漁業の担い手を支援するため漁船などの入手支援も行っています。
海の京都 舞鶴市 海近移住ポータルサイト | MY LIFE (maizuru-iju.com)
京都府舞鶴市の定置網漁操業の様子。京都府漁業者育成校「海の民学舎」にて新規の漁業者を育成に力を入れています。
【農業就業に関する相談会やセミナーが多い自治体】
※算出方法:2023年度に農業就業に関する相談会やセミナーを開催(に出展)した数(2023年4月1日から10月末時点、オンラインおよび開催予定も含む)。
【林業就業に関する相談会やセミナーが多い自治体】
※算出方法:2023年度に林業就業に関する相談会やセミナーを開催(に出展)した数(2023年4月1日から10月末時点、オンラインおよび開催予定も含む)。
上の表は2023年度にオンラインを含む農業就業、および林業就業に関する相談会やセミナーが多い自治体をランキングしたもの。第一次産業といえば小さな自治体を想像しがちですが、ランキング上位はいずれも全国各地の市です。平成の合併も影響していると思いますが、これが日本の地方自治体の現状でもあるのです。
第1位:愛媛県西条市(さいじょうし)
農業就業、林業就業の相談会やセミナーでいずれも第1位になった愛媛県西条市。農林漁業の相談会やセミナーは愛媛県・JA・市が連携して行い、毎月就農に関する相談会を実施しています。西条市は経営耕地面積が四国一の広さを誇り、水田面積は3763㏊と県内の24.8%を占めています。また、全国一の生産量が産出されているはだか麦やあたご柿、春の七草、県下一の収穫量を誇る水稲、ほうれん草、きゅうり、アスパラガスなど多くの農作物を供給する生産都市となっています。しかし、市内の農業担い手は徐々に減少しており、担い手不足解消のために就農相談会などを実施し、就農を支援しています。
移住サポート - 【LOVE SAIJO】愛媛県西条市への移住・定住サポートサイト|暮らし・お仕事・子育て情報
経営耕地面積が四国一の広さを誇る西条市では、新規就農する移住者も多い。
第一次産業の担い手を確保するためにさまざまな支援を行っている自治体は、ランキングの上位だけでなく全国各地にあります。それを基幹産業とする市町村が少なくないからです。ホームページなどで発信していますので、注意深く情報を集めましょう。
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この記事を書いた人
山本一典
田舎暮らしライター/1959年、北海道北見市生まれ。神奈川大学外国語学部卒業。編集プロダクション勤務を経て、85年からフリーライター。『毎日グラフ』『月刊ミリオン』で連載を執筆。87年の『田舎暮らしの本』創刊から取材スタッフとして活動。2001年に一家で福島県田村市都路町に移住。著書に『田舎不動産の見方・買い方』(宝島社)、『失敗しない田舎暮らし入門』『夫婦いっしょに田舎暮らしを実現する本』『お金がなくても田舎暮らしを成功させる100カ条』『福島で生きる!』(いずれも洋泉社)など。
Website:https://miyakozi81.blog.fc2.com/
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