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【親子で田舎体験vol.3(前編)】移住したくても移住できない!? 「おしゃれ」で「新しい」田舎らしくない田舎。人口の半分が移住者の人気のまち で“子持ち様論争”を考える|北海道東川町
執筆者:揖斐 麗歌
移住したくても移住できない!? 移住者が人口の半数を占める人気のまち、北海道東川町で親子体験移住!(前編)
東京在住、共働き。6歳息子と3歳の娘の母である筆者が、親子で田舎を巡り、その様子をレポートする連載「親子で田舎時間」。第3回は、移住希望者の数に住宅供給数が追い付かず、もはや「移住したくても、なかなか移住できないまち」とも言われている北海道東川町に行ってきました。今回は、前編・後編にわたってお届けします。度々話題に上がる“子持ち様論争”。子育て世帯に人気の町で“子持ち様論争”はあるのでしょうか?
CONTENTS
家族にとってより豊かな環境を求めて、地方移住を検討する子育て世帯が増加中。 今の環境は、子どもにとって、家族にとって、本当に幸せ? 地方に行けばもっとゆったりとした気持ちで充実した家族の時間が過ごせるのでは?
そんな風に思うことはあるけれど、移住はなかなかハードルが高い……。
そんな子育て世帯におすすめしたいのが、地方を訪れて暮らすように過ごす「体験移住」。時間に追われる都会を離れ、ゆったりとした田舎時間を過ごすことで、家族の絆が強まるのを実感できるはず。
うっかり仕事優先になってしまって、自己嫌悪に陥りがちな、2児の母が、親子の絆の強化のため、子どもと一緒に田舎を巡り、その様子をレポートする連載「親子で田舎時間」。
第3回は、町民の約半数が移住者ということで注目されているまち、北海道東川町へ行ってきました。
|世間に寛容さを求めるのは「子持ち様」ですか?
先日のママ友との会話。
「子どもがうるさい、静かにさせろって、ポストに手紙が入っていたの。その日以来、いつも子どもにピリピリしてしまって……」
戸建てでも、カーテンを開けることもはばかられるほど住宅が密集している東京では、集合住宅ではなくてもよく聞かれる隣人トラブル。
「近所の人の前では必要以上に子どもに厳しくしてる」
「わかる。まわりの人に迷惑だから静かにしなさいって、努力はしてるんですのポーズで怒ってるとき、ある」
「でも私も、電車で騒いでる子どもとかいると、親は何してるんだって思うし。小さいうちに親がしっかり叱って教えていかなきゃ、子どもにとってもよくないでしょ」
「それはわかるよ。社会のルールやマナーは親が子どもにきちんと教えていかなきゃいけない。でもさ、これって成長過程で人間誰もが通る道なわけで。騒ぐ子どもと叱っている親を、まあまあ元気でいいわねぇって、ほほえましく見守ってくれる世間だったらなぁって思っちゃうんだけど」
「それって、いわゆる“子持ち様”っていわれるやつだよ」
「えー! ……。でもさ、正直思うよ、だから出生率が下がるんだって!」
「あ! そうやって少子化を笠に着るのが子持ち様(笑)」「だってさぁ‥…!」
控えめにいって、まったくもって子育て向きではない都内の住宅事情。いつでもどこにでもいける利便性はあるけれど、だからこそ、そこに生活する人々は皆忙しく、住宅費や物価の高さもあいまって、「子持ち様」も「子持ちじゃない様」もどちらも同じく、「余裕がない」。
思うに、子持ち様論争は、「迷惑をかけてしまう環境」だから起こる問題。例えば、駅の階段が混みあっていなければ、そして、駅を利用する人たちが時間に追われていなければ、例えば、駅の階段で「自分で階段登りたいの!」と主張する子どもを、まわりを気にして抱き上げたりせずに挑戦させられるし、隣家まで歩いて5分かかるような住宅事情なら、子どもが大騒ぎしようが周囲に迷惑をかけることはないわけで、通りかかった人たちも「楽しそうねぇ」なんて、笑顔で声をかけてくれたりするんじゃないか。
子育て世帯が、今、地方移住に憧れる理由のひとつには、そういった憧れもあるんじゃないかと思います。
| 子育て世帯がこぞって移住するまちに、“子持ち様論争”はあるのか
子育て世帯の地方移住希望者が増加するなかで、特に人気のまちはいくつかありますが、私が以前から気になっていたのが、北海道のほぼ真ん中のあるまち、東川町です。
東川町は、少子高齢化や都市部への人口流出で、今後全国の自治体の多くが消滅するのではないかといわれるなかにあって、1993年以降、人口が増加し続けているまち。移住希望者の数に住宅供給数が追い付かず、もはや「移住したくても、なかなか移住できないまち」とも言われているのだとか。
約8600人の人口の約半数が移住者という東川町のまちづくりは、全国の地方自治体から注目されています。
それほどまでに人気のまちって、いったいどんなまちなんだろう?
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