子どもがのびのびと遊び、学べるのは、田舎 or 都会?
東京在住、共働き。6歳息子と3歳の娘の母である筆者が、親子で田舎を巡り、その様子をレポートする連載「親子で田舎時間」。第2回は新潟県上越市へ行ってきました。都市部の子育て世帯が地方移住を考える理由の一つが、「子どもをもっとのびのびと遊ばせてあげたい」から。果たして、田舎に行けば、本当にそれが叶うの? 減っていく子どもの遊び場、体験格差、サードプレイスの選択肢。都会か田舎ではなく、日本社会全体の課題になっています。
CONTENTS
|地方移住を検討する子育て世帯
家族にとってより豊かな環境を求めて、地方移住を検討する子育て世帯が増加中。 今の環境は、子どもにとって、家族にとって、本当に幸せ? 地方に行けばもっとゆったりとした気持ちで充実した家族の時間が過ごせるのでは?
そんなふうに思うことはあるけれど、移住はなかなかハードルが高い……。
そんな子育て世帯におすすめしたいのが、地方を訪れて暮らすように過ごす「体験移住」です。時間に追われる都会を離れ、ゆったりとした田舎時間を過ごすことで、家族の絆が強まるのを実感できるはず。
ついつい仕事優先になってしまって、自己嫌悪に陥りがちな、2児の母である筆者が、親子の絆の強化のために、子どもと一緒に田舎を巡り、その様子をレポートする連載「親子で田舎時間」。
第2回は、平野部、山間部、海岸部の変化に富んだ地形から、季節の移り変わりがダイナミックで、四季折々自然景観を楽しむことができるまち、新潟県上越(じょうえつ)市に行ってきました。
|子どもが遊ぶ、地域コミュニティは消滅した!?
2024年春、長男が保育園を卒園。0歳クラスから6年間の保育園生活は、それはもう、語りつくせないほど、いろいろなことがありました。卒園式ではこれまでの思い出が走馬灯のように駆け巡って、胸がいっぱいに。 「み、みんなに、あえなくなるのはさみしいけど……1年生、頑張ります」と声を詰まらせてスピーチする息子の姿に、涙腺は崩壊!
園庭の広さに惹かれて、自宅から少し遠い保育園を選んで通っていたので、息子の小学校の学区は、保育園のお友達とは別。保育園のお友達がいない小学校に行くことを知って以来、息子は、卒園が近づくごとに、「小学校に行きたくない」とナーバスになっていました。
物心ついて以来、毎日兄弟のように遊んでいたお友達と離れるのは、それは当然さみしいよな……。それに加えて息子は、少し仲間意識が強すぎて、「仲間」と「それ以外」に線をひくようなところがあります。そういう息子だから余計に、新しいコミュニティに入ることがとても不安に感じているように見えました。
これまで、息子の所属するコミュニティは、家庭以外には保育園だけでした。私が息子と同じ年齢だったころを思い出すと、私は幼稚園に通っていましたが、それとは別に、近所の子どもたちのコミュニティがありました。父親の仕事の関係で地方の官舎に住んでいたので、同じように官舎に住む年齢もバラバラな子どもたちと、缶蹴りをしたり、リレーをしたり、毎日いろいろな遊びをしていました。かつては、各地の公園や空き地で当たり前に見られた光景ですが、今は、ほとんど見かけることがありません。
治安の問題や交通事情の変化から、現代は子どもだけで遊ばせることは難しくなっています。5歳の幼稚園児と家族、友だちの日常を愉快に描く某国民的アニメでは、幼稚園から帰宅した5歳児が、一人で公園に遊びに出かけます。集まった子どもたちは、公園内でボール遊びやままごとをして遊んだり、町内を散策に出かけたりします。このアニメを子どもと一緒に観ながら、多くの保護者が思っているでしょう、「5歳児が子どもだけで遊ぶなんて危ない!」。
|全国的に減っている「子どもの遊び場」
公園にいくと、看板に書かれた禁止事項の多さに驚かされます。ボール遊びは禁止になっている公園がほとんど。「大声を出さない」「走り回らない」というようなことが書かれている公園もあります。 保育園の近隣住民からの苦情が社会問題になってますが、同じことが公園でも起きているのを感じます。また、安全面への配慮から、子どもにとって魅力的な遊具が撤去されたり、代わりに高齢者向けの健康器具が設置されている公園も増えています。
少子高齢化に伴い、かつて児童公園と呼ばれた公園は今は街区公園と呼ばれるようになり、幅広い世代が時間を過ごすための場所になりました。その結果、公園はもはや、子どもたちの遊び場ではなくなっているのです。
子どもを連れて近所の公園にいくと、見かけるのは、同じように親と一緒に来ている保育園ぐらいまでの小さな子どもたちで、小学生以上の子どもはほとんど見かけません。たまに目にするのは、ベンチに集まって、みんなで携帯型ゲームに没頭する光景。これで体力や精神面の発達が健全になされるのだろうかと、かつて私も心配していましたが、今の公園の実情を知ると、それもしょうがないと感じます。
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