多肉植物の中でも育てやすくカラフルなセダム類。それを小さな鉢にピンセットで植えたのが、寄せ植えメソッド「ちまちま寄せ」です。全国の「タニラー(多肉ファン)」のために、多肉アーティストのMAiさんがインスタグラムやワークショップなどで多肉の魅力を発信中!
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掲載:田舎暮らしの本 2024年9月号
インフルエンサー・MAi(まい)さん
MAiさん●長野県茅野市出身。多肉アーティスト。2014年に家を新築するのをきっかけに多肉植物の世界に足を踏み入れる。2018年には「Chima Labo(チマラボ)」を設立。
Instagram:@000mai000 (フォロワー4.4万人)
まるで小さな宝石みたい!
多肉植物の「ちまちま寄せ」
これは夫がDIYでつくってくれた多肉棚です。空き缶をリメイクした「リメ缶」や、素焼き鉢をビンテージ加工した「リメ鉢」などが並んでいます。
多肉植物に魅せられて
退職し、個人事業主に
多肉植物に出合ったのは10年前。新居に庭をつくろうと思ったのがきっかけです。いろいろ調べていたら、インスタグラムに多肉植物の写真があって、そのカラフルさに衝撃を受けたんです。
さっそく多肉を3種類くらい買って、見よう見まねで寄せ植えをやってみました。さらにインスタグラムでアカウントをつくり、タニラーさんとの交流を楽しむように。ある日、おもちゃに小さな多肉をたくさん植えてアップしたところ、反響がすごかったんです。
それがうれしくて、小さなセダム類を鉢にみっちり植える「ちまちま寄せ」の作品を頻繁にアップするようになりました。すると「ちまちま寄せのワークショップをやってほしい」と言われるように。
当時、私は会社員でしたが、ちょうど転換期だったこともあり「退職して多肉をやろう!」と決心。2018年に個人事業主として独立しました。
軌道に乗り始めた矢先、コロナ禍ですべてのワークショップがキャンセルに。だけど20年8月に出版した『美しいセダムの寄せ植え』がステイホーム需要とマッチして、ちまちま寄せを楽しむ人は右肩上がりに増えていったようです。
コロナ禍が明けた今、以前と比べてワークショップなどの依頼は驚くほど多くなり、日本全国から講師として呼ばれるようになってきました。
活動の場は増えたけど、私の原点はインスタグラムです。これからも、多肉のかわいさを広めていけたらと思います。
こちらは直径約7cm。初めての方だと、これくらいのちまちま寄せをつくるのに1時間以上かかります。
ちまちま寄せのワークショップ。今年は岩手や高知など、全国で開催予定です。最新情報はInstagramで。
『美しいセダムの寄せ植え』の改訂版『セダムの寄せ植え大全』(エクスナレッジ刊)は9月下旬発売です。
4月に開催の「タニクCAMP」。生産者さんや作家さんとも交流できる、タニラーたちのエキスポ!
大好きな多肉とビールをかけ合わせたオリジナルグッズは、「UTme!」で販売中。「Chima_Labo_MAi」で検索を。
セダムはたくさんの種類があったほうが楽しいですが、使うのは少量ずつ。ワークショップでは、20種類くらいのセダムを持っていきます。
ツナ缶やサーディン缶の底に穴を開けて、ペイントすればオリジナルの鉢ができます。けがをしないように気をつけてくださいね。
初期は「とにかくカラフルに!」を目指していましたが、最近は色使いをあえて抑えた作品も増えました。
多肉植物にはセダムのほかにエケベリアという属もあります。ちまちま寄せには使いませんが、私の趣味はエケベリアです。
依頼があれば、多肉作品を制作することも。先日は、ウエディングのウエルカムボードを多肉でつくりました。
MAiさんに聞く!
Instagramを見てもらうためのコツとこだわりのポイント
多肉を育てるノウハウを発信
今までは作品中心だったのですが、最近は多肉植物に関してフォロワーさん が必要としているであろう情報を発信するようにしています。例えば、夏の管理方法とか、水のあげ方とか。あとは、 Instagr amのリール(短い動画)を始めてみたら、とてもわかりやすく伝えられることに気づいて、リールが増えました。
MAiさんに聞く!
ちまちま寄せレシピ
ホームセンターなどで材料を揃えて、すぐに始められるのがちまちま寄せの魅力。自分だけの寄せ植えをつくってみてください。
ちまちま寄せ用のセダム選びのコツは、赤、ピンク、緑、紫など、ちょっと違った色合いの品種を揃えること。鉢は、初心者はできるだけ小さいものがオススメ。寄せ植えが完成したら、日当たりのいい場所に置いて、3〜4日おきに水をあげてください。落ちた葉は、土の上に蒔いておくと芽が出てきます。
【材料】
お好みのセダム類5〜 10種類、鉢(できるだけ 小さいもの)、ネルソル® (固まる土)、スプーン、 ピンセット、手芸用はさみ
完成!
母が麻ひもで編んだミニリースに寄せていきます。
材料。ピンセットとはさみは、100円ショップの手芸コーナーで見つけました!
ネルソル®を説明書通りに練ります。鹿沼土をミックスすると扱いやすいです。
セダムをカットして、下方の葉を落とします。この葉からも芽が出てくるので捨てないで。
全体を見ながら、頭が大きいセダムから植えていきます。土が見えなくなったら完成です!
メンテナンスは必要?
寄せてから数週間経つと、多肉が生長して土が見えてきます。その場合、土を濡らして、空いたスペースにセダムをちまちま寄せてください。最初とは違った趣がありますよ。
時間が経つと多肉が生長して土が見えてくるので、またセダムを挿してください。
MAiさんに聞く!
初心者にもオススメの多肉植物
セダムとは、ベンケイソウ科マンネングザ属の多肉植物です。乾燥に強く、初心者でも育てやすいといわれています。また、葉挿しなどで増やすのも簡単。気温が低くなると紅葉するのも魅力の1つです。
育てやすく増やしやすいが
寒い地域では気をつけて
ここで紹介したのは、ホームセンターなどで販売していることも多く、比較的育てやすい品種たちです。毎日観察していると、こぼれた葉から芽が出てきたり、色が紅葉しているのに気づいたりして、多肉ライフが楽しくなります。
水やりは3日に1回くらいが基本です。日光が大好きですが、夏の直射日光は強過ぎるので、必要に応じて寒冷紗などで日を遮ってください。
冬は、関東など温暖な地域では外に置いたままでも大丈夫。寒波のときなどは家に入れてください。氷点下になったり積雪があるエリアの人は、家の中で日の当たる場所に置くのがオススメです。
多肉植物は枯れないというイメージがありますが、意外と繊細。ちょっとした日当たりの加減とかで、枯れたりジュレたり(葉が透明なブヨブヨした状態になること)してしまいます。
インテリア感覚で室内に置く方もいますが、基本的には外のほうが健康に育ちます。よく、ひょろひょろと伸びている多肉がありますが、あれは生長ではなく「徒長」という、光が足りていない状態。できれば日の当たる窓ぎわに置いてください。
パープルヘイズ
紅葉時にはピンクがかった緑色に染まる、人気の品種。 葉がポロポロ取れやすいですが、土の上に置いておくと葉挿しで自然に増えます。
ベッラデインヴェルノ
名前の意味は「美しい冬」。その名の通り冬になると、 中央が黄色〜オレンジ〜赤のグラデ ーションになります。耐寒性があります。
オーロラ
「虹の玉」というセダムの斑入り品種。 乾燥させると鮮やかなピンク色になります。初心者でも育てやすいですが、斑入りは少し弱いです。
姫秋麗 (ひめしゅうれい)
セダム属ではなくグラプトペタラム属ですが、同じように寄せ植えに使えます。紅葉するきれいなピンクになります。霜に当てないよう注意が必要です。
黄金細葉万年草
寒さや暑さに強く、よく増えてグラウンドカバーにも使われる品種。イエローグリーンのグラデーションと小さな葉っぱがかわいいです。
乙女心
葉の先だけがほっぺのようにピンクになることからこの和名がつけられました。色合いや形はバラエティに富んでいます。葉挿しは難しいです。
ダシフィルム
セダムには珍しく、紅葉すると青く染まります。ぎゅっと締まったロゼットはサイズも小さく、ちまちま寄せの隙間を埋めるのに重宝します。
斑(ふ)入りタイトゴメ
タイトゴメの斑(淡いトーンの色)入り品種。紅葉前でも緑と黄緑の斑がきれいです。紅葉すると全体が黄色く染まります。
鉢にもこだわっています!
ハンドメイド作家さんの鉢
ワークショップなどで使う鉢は、人気のハンドメイド作家さんに制作を依頼することも。なかなか注文できない品なので、参加者は大喜び。私自身もオリジナル鉢をハンドメイドして、イベントで販売することもあります。そのほか、母に麻ひもで編んでもらったカゴも人気です。
次のワークショップで使う、【chubby farm 】 さん(Instagram:@hiroyo_ysn)の鉢。
文/はっさく堂 写真提供/MAi
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