第1回「こみけん。@真田」のテーマとなった通称「坂の上の家」物件。14組の参加者の中から4組が空き家活用の案を提出し、6月にコンペを開催。物件所有者が選んだのは、地域と連携した里山暮らしを体験できる宿泊施設のプランだった。
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掲載:田舎暮らしの本 2024年11月号
地域全体に渡るビジョンが採用の決め手
通称「坂の上の家」にて、柳沢さん(左)と岸本さん。岸本さんは長野県富士見町在住のデザイナーだ。
戦国武将・真田(さなだ)氏ゆかりの上田市真田。戸沢(とさわ)という地域の少し奥まった場所に立つのが「坂の上の家」だ。
「普通に売却することも考えましたが、どのように使われるか気になるじゃないですか。それで、市に相談に行きました」
そう話すのは、元所有者の柳沢泉さん。物件は親族が20人ほど集まり会議を開き、「こみけん。」での活用を決めたという。
住宅政策課の中村多香子(なかむらたかこ)さんと小山伸(こやましん)さんは、この家を活用して地域の未来につなげたいと考え、自治体と連携し、空き家活用を支援する宿泊マッチングサービス「Airbnb(エアビーアンドビー)」に相談。見学会の内容などの提案を受け、コンペ方式でイベントを開催することにした。
採用されたのは、岸本拓(きしもとたく)さんの「地域と連携した里山暮らしの体験を提供」案。「古民家を活用しながら残したい」という岸本さんは、宿を拠点に、周辺の里山体験ツアーなどを行っていきたい考えだ。
「普段気づかないような地域の魅力などを教えてもらい、家だけではなく、この辺り全体を見てくれているんだなと感じました。それで岸本さんにお任せしようと思いました」(柳沢さん)
決定後、岸本さんはすぐに購入し、開業の準備に励む。「特別な観光施設がなくても、里山の散策や米づくり体験などで真田の日常を感じてもらいたい。そんな宿を目指しています」(岸本さん)
真田の老舗酒店「地酒屋 宮島」の宮島泰弘(みやじまやすひろ)さんと。宮島さんは自身で酒米づくりワークショップも開催しており、今後は岸本さんと連携していくそう。
物件は築年数不詳だが、ていねいに使われてきたことがわかる。
見学会は3月、コンペは6月に開催。見学会には県内外から14組25名が参加、コンペまで進んだのはうち4組だ。
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空き家活用株式会社と株式会社オリエントコーポーレーション(以下オリコ)、Airbnbの3社で提携・開発した「ホームシェアリングローン」。担保価値の低い中古物件の購入・改修の資金を保証し、民泊運営に係る幅広い資金ニーズに対応可能。
【問い合わせ先】
空き家活用株式会社
Airbnbが空き家活動の取り組みを支援!
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Airbnbでは、2021年に長野県観光機構と包括連携協定を締結。同社が主体となった空き家改装ではなく、地域コミュニティをつくりながら空き家の活用ができる仕組みづくりを行う。現在は県内の22の市町村と協働し、空き家活用のミーティング、セミナー・勉強会などを随時実施。飯田市では空き家活用実践講座「エアビースクール」も開催した。
【問い合わせ先】
Airbnb Japan株式会社
Airbnbのサイトで人気の長野県飯田市にある一棟貸しの古民家「燕と土と」。築130年の古民家で、囲炉裏や五右衛門風呂を体験できる。
Airbnb Japan株式会社 代表取締役
田邉泰之(たなべやすゆき)さん
大阪府出身。米国の大学を卒業後、2013年にAirbnbのシンガポール法人に入社し、2014年5月のAirbnb Japan設立と同時に代表取締役に就任。
文・写真/はっさく堂 写真提供/上田市
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