田舎暮らしの本「住みたい田舎ベストランキング」20万人以上の市の子育て世代部門で、2023年版と2024年版の2年連続で1位に輝いた大分県大分市。大都市からの移住でも馴染みやすい充実した都市基盤と、市街地の近くに広がる海や山の豊かな自然環境は、子育てファミリーからの評価も高い。特に強化している子育て支援を含めて、多岐にわたる大分市の魅力をご紹介しよう。
| 大分県大分市(おおいたし)
大分市は東九州を代表するまちとして発展し、中心市街地には大分県の県都にふさわしい機能が集まる一方、高崎山をはじめとする山々に囲まれ、市域の約半分を森林が占める。平野部から中山間部にかけての広い範囲で農業が営まれ、東部の佐賀関地区は一本釣りで有名な高級ブランド魚「関あじ・関さば」などの漁業もさかん。日豊本線などのJR3路線、東九州自動車道などの主要幹線が合流するほか、神戸と結ぶフェリーが就航するなど、交通網も充実している。大分空港から大分市中心部へは車で約1時間。
「JRおおいたシティ」として整備された大分駅。ショッピング施設、映画館、ホテル、展望温泉などが揃う。
ハードもソフトも整った子育て・教育環境
大分市の年間平均気温は16.8℃と温暖な気候で降水量も少なめ。また、5haを超える開発住宅団地は市内に78を数え、民営の賃貸住宅家賃も東京都の約5分の2程度と住環境にも恵まれている。さらに、病床数20床以上の病院は53施設、20床未満の診療所も396施設と医療体制も整うなど、安心・快適に暮らせる要素が揃う大分市だが、実は、子育てや教育面でもよりよい環境づくりに努めている。その一例が市内11カ所に設置している「こどもルーム」。未就学児と保護者が無料で自由に遊べて、各種イベントも開催。特に大分駅から徒歩圏内の府内こどもルームや中央こどもルームは、日曜・祝日も開所しているのがありがたい。
2024年4月には市役所本庁舎の北側にあった小学校跡地を利用して「荷揚町複合公共施設」が誕生。前出の府内こどもルームのほか、大分中央公民館や中高生の学習スペースが設置された。さらに、市役所の「子どもすこやか部」がこちらに移り、子育て関連の機能を集約した施設としても注目される。
また、教育環境としては、学力向上の取り組みや英語教育の充実と併せて、市内全域で小中一貫教育を推進している。古くなった校舎の更新も進められており、そのうちの1つ、市街地にある市立金池小学校の新校舎は、児童育成クラブや認定こども園と一体化した形で整備された。さらに災害時には避難所として使えるよう、体育館に空調設備を整えているのも特徴だ。
放課後児童クラブについては、児童育成クラブと民間放課後児童クラブを合わせて現在70施設余りが運営されている。
子どもたちが安心・安全に楽しく暮らしながら健全に育つ、良好な環境に恵まれている。
【大分市の子育て・教育支援】
「すべての子どもがすこやかに育つことができる大分市」の実現に向け、子どもに役立つ制度から保護者向けのサポートまで多彩な施策を展開している。2024年には、市立中学校の学校給食費を無償化し、子ども医療費助成を高校生年代までに拡充。第2子以降の3歳未満児の保育料無償化は、新たに認可外保育施設も対象に加えた。さらに、大学・短大・専修学校への進学予定者向けの返還免除型奨学資金制度を2025年度から開始。卒業後の大分市内での居住または就業を条件に返還を免除し、市内で活躍する若者を応援する。
【ほかにもまだまだあります! 多岐にわたる子育て支援】
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2024年4月に誕生した荷揚町複合公共施設。大分市役所本庁舎の北側にあり、子育て関係の多彩な機能が集まっている。
荷揚複合公共施設1階の「中高生の学習スペース」。朝9時から夜9時まで自由に使える。
中高生の学習スペースの奥にある「府内こどもルーム」。以前の場所に比べると約2倍の広さになった。
年末年始以外は開所している「府内こどもルーム」。屋根付きの外庭には砂場も。
市街地から郊外までバラエティ豊かな遊び場
「子どもの遊べる場所は、たくさんありますよ」と話すのは、大分市の移住相談窓口を担当するおおいた魅力発信局の長尾章平さん。
「まずは大分駅周辺。この辺りだけでも、子どもが遊べる場所は充実しています。近場から行くと、大分駅から南へ徒歩約2分の『J:COM ホルトホール大分』。ここは親子で楽しめる市民図書館や子育て交流センターに加えて、市民ホールや健康プラザなどがある複合文化施設です。さらにホルトホール大分に隣接する幅100メートル、長さ444メートルのシンボルロード『大分いこいの道』は広い芝生広場になっていて、ピクニック気分で立ち寄れるスポット。休日にはさまざまなイベントも開催されています」と長尾さん。
大分駅から東へ10分ほど歩くと、グッドデザイン賞を受賞した「線路敷ボードウォーク広場」も、遊び場や散策道として好評。日豊本線の旧鉄道敷を活用したもので、四季折々に色づく植栽が都心に安らぎを添えてくれる。
「日豊本線の旧鉄道敷を活用したもので、四季折々に色づく植栽が都心部に安らぎを添えてくれます。遊具や3×3のバスケットコートも設置されているのでよく子どもたちがバスケットボールを持ってきて遊んでいますよ」と楽しそうに教えてくれた。
大分市郊外も子育て世代が楽しめる魅力的な場所が点在している。
「市街地から少し郊外へ足を延ばすと、より多くの遊び場があります。大分市は全国の市町村でも有数の公園の数を誇りますから」と、長尾さん。なかでも子育てファミリーの人気を集めるのが、海浜公園として整備された田ノ浦ビーチや、水と緑の豊かな自然環境を生かした七瀬川自然公園、熱帯・亜熱帯植物の観賞温室がある佐野植物公園と教えてくれた。
ほかにも、ニホンザルの生息地として知られる高崎山をはじめとするセラピーロードが10コース、夏には自然の川を利用したプールが登場する河原内川河川プールといった、大自然を体感できるスポットも数多い。
複合文化施設「J:COM ホルトホール大分」の目の前には、幅100m、長さ444mの「大分いこいの道」が広がる。
廃レールや地場産スギ材でつくった「線路敷ボードウォーク広場」。子どもたちが遊べるバスケットコートも。2020年アジア都市景観賞、2021年グッドデザイン賞を受賞。
帆船の大型遊具や陸続きの人工島が特徴の田ノ浦ビーチ。夏は海水浴も楽しめる。
都会と田舎の魅力を併せ持ち、多彩な温泉も
「首都圏からの移住を考える若い世代のなかには市街地の中心部を希望される方も少なくありません。アーケードの商店街からデパートまで、土地が平坦で多くの生活関連施設が揃う大分駅周辺なら、公共施設も多いので車がなくても不自由なく暮らせます」そう話す長尾さんのオススメのスポットの1つが、ヨーロピアンな景観の府内五番街。お洒落なカフェやショップ、地元食材にこだわった飲食店、ギャラリー、シアターなどが並ぶ石畳のストリートで、毎日正午からは歩行者天国になる。このほか、「出会いと五感のミュージアム」がコンセプトの大分県立美術館(OPAM)など、文化・芸術施設が充実している点も中心市街地の大きな魅力だろう。
また、市内には趣きの異なる3つの道の駅がある。大分市西部にある山手の道の駅「のつはる」は、雄大なダム湖「ななせダム」を一望しながら食事を楽しむことができる。大分市東部にある海沿いの道の駅「佐賀関」は、有名ブランド魚「関あじ・関さば」を使った丼や、佐賀関の沖合で採れる粘りの強い海藻「クロメ」のみそ汁を味わえる。加えて、2024年7月に誕生した道の駅「たのうらら」は、市街地から車で約10分。県内各地の海の幸山の幸を取り揃えており、別府湾の美しいロケーションも楽しむことができる。高崎山自然動物園や大分マリーンパレス水族館「うみたまご」からもほど近く、家族サービスには最適。
そして見逃せないのが、市内に温泉が30カ所以上あること。大分市に湧出する温泉は「大深度地熱温泉」と呼ばれ、約600m~800mの地下から湧き出す深層熱水で、太古の植物を起源とした有機物や炭酸ガスを含み、独特の甘い香りや柔らかな肌触りが特徴。入湯料300円という施設や、家族風呂(貸切風呂)を備えた施設が多いのもポイントだろう。
2024年7月に誕生した道の駅「たのうらら」。産直の野菜や魚介類に加えて、「おとの聴こえる広場」など館内の多彩なスペースと、別府湾を望む絶景が自慢。
2階の飲食スペースでは、大分のご当地グルメ「とり天」や「にら豚」などが味わえる。
府内五番街はヨーロピアンな雰囲気の商店街。ジャズやアートなどのイベントも開催。
新たな暮らしを手厚くサポート
大分県外からの移住者に、最大200万円の移住支援金または最大30万円の移住応援給付金を用意。大分市住み替え情報バンク(空き家バンク)登録物件の購入者が対象の「中古住宅で始める子育て新生活応援事業」など、住宅関係の支援も整えている。仕事関係では、2024年10月に専用施設がオープンした若手起業家育成事業、ファーマーズカレッジ事業、漁業新規就業者育成支援事業をはじめ、幅広い施策を実施。
東京、大阪、福岡などでの移住相談会にも出展して魅力を発信。2024年には大分市アーティストバンク専用ウェブサイト「POART(ポート)」を開設。
「さまざまな生活スタイルやライフステージにフィットする“ちょうどイイ”まちです」
おおいた魅力発信局の長尾章平さん
問い合わせ/おおいた魅力発信局 ☎️097-578-7749
https://www.oitacity-iju.jp/
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