田舎暮らしの本 Web

  • 田舎暮らしの本 公式Facebookはこちら
  • 田舎暮らしの本 メールマガジン 登録はこちらから
  • 田舎暮らしの本 公式Instagramはこちら
  • 田舎暮らしの本 公式X(Twitter)はこちら

田舎暮らしの本 1月号

最新号のご案内

田舎暮らしの本 1月号

12月3日(火)
890円(税込)

© TAKARAJIMASHA,Inc. All Rights Reserved.

【田舎で開業!】日本最古のチーズ発祥の地で、チーズがコンセプトのカフェを開業【奈良県奈良市】

日本で最も古いチーズの原型といわれる「蘇(そ)」は、奈良県でつくられた。町田美保さんは、そんな古都・奈良で、チーズをコンセプトにしたカフェを開業。チャレンジショップから自分の店を持ち、さらに広がる目標などについて聞いた。

この記事の画像一覧を見る(8枚)

掲載:2024年12月号

奈良県奈良市のシカとサクラ。歴史と自然と便利さが調和している
奈良県奈良市(ならし)
奈良県の北部に位置する県庁所在地で、市街地は行政機関や商業施設、本社などが集まっている。奈良時代に都が置かれていたため、遺跡や歴史ある建造物が多く点在している。特に東大寺や薬師寺、興福寺などの仏教寺院が多い。市の東側は広大な春日山原始林が広がり、北は丘陵地帯を挟んで京都府と接している。近鉄線で近鉄京都駅へ約40分、大阪難波駅へ約30分。

全国各地を見て回り、「やっぱり奈良がいい!」

奈良県奈良市の「CHEESE CAFE soan」で提供しているオリジナルのチーズケーキ
定番のほか、「イチゴとショコラ」「マロンと紅茶」「紫芋とパルミジャーノ」など旬の食材を使ったチーズケーキも提供している。町田さんのオリジナルで自家製だ。


奈良が大好きと話す町田美保さん。「もちいどのセンター街は、みんなで盛り立てようという思いがあり、雰囲気がいいです。困ったことがあると助けてくれます。その人との距離感も奈良のよさだなと思います」。

 平城宮跡や東大寺、春日大社などがあり、「古都奈良の文化財」として世界遺産に登録された施設や史跡が点在している奈良市。

「都として多くの人の往来があったからか、奈良は訪れる人を温かく迎え入れる包容力があるまちなんです」

 そう話すのは、奈良市の「奈良もちいどのセンター街」でチーズを使ったスイーツや料理を提供するカフェ「CHEESE CAFE soan(チーズ カフェ ソアン)」をオープンした町田美保さん(48歳)。「もちいどの」は餠飯殿と書き、近鉄奈良駅から歴史的町並みの「ならまち」へと続く道で、奈良で最も古いといわれる商店街だ。

 町田さんは静岡県浜松市の出身。京都・奈良好きの両親に連れられ、子どものころから何度も奈良を訪れていた。奈良教育大学に進学した町田さんは、市内のあちこちを散策するなど、奈良暮らしを楽しんだ。卒業後は、ものづくりが好きだったことから、影絵の児童劇団に就職。小学校で人形劇を上演するため、全国を巡った。全国各地に行くなかで町田さんには、「奈良がよかったな」「私には奈良が合っている」という思いがいつも頭の片隅にあったという。

 その後、美術担当になったが、楽しい一方で限界も感じるようになり退職。同じものづくりでも料理の道に進む。ケーキファクトリーからカフェのキッチン、料理教室のアシスタント、食品の接客販売などを経験。そのころに離婚し、1人になったときに思い浮かんだのが、「自分の店を持ちたい」という夢。そして、いつも片隅にあった奈良という地だった。奈良でカフェを開く目標に向けて再始動し、店のコンセプトはチーズにした。

「いろいろと勉強するなかで、日本のチーズ業界は、今、若い人が多く、勢いがある。奈良は、日本で最古のチーズ〝蘇〞の発祥地でもあるので、チーズをコンセプトにすると面白いと思いました」(町田さん 以下同)

 チーズプロフェッショナルという民間資格を取得。取引先となるチーズ工房への声かけなどと並行して店舗探しも行う。そんななか、もちいどのセンター街にあるチャレンジショップ「もちいどの夢CUBE(キューブ)」の募集に応募、見事、合格できた。

「地域の人も観光客も訪れる通りなので、立地としては最高です。大学時代からなじみのある場所でしたし」

 町田さんは2021年8月に奈良市へ移住、同年11月に「CHEESE CAFE soan」をオープンした。6坪の店内に、9席の客席と小さな販売スペースも設けた。チャレンジショップの期限である3年間、順調な売り上げを出すことができた。

奈良県奈良市の「奈良もちいどのセンター街」にあるチャレンジショップ「もちいどの夢CUBE」
町田さんが最初に出店した「もちいどの夢CUBE」。若い起業家たちによるチャレンジショップだ。

 今年9月には、同じもちいどのセンター街の空き店舗へ移転。今度の店は以前より少し広く、客席は16席で、物販コーナーも充実させた。ケーキには海外のチーズも使うが、物販にはこだわって、国産チーズのみを販売している。

 改めて暮らしてみて、やっぱり奈良がいいと感じた町田さん。

「古都という歴史があるからか、地域も暮らしている人もゆったりしています。すぐ近くに興福寺や東大寺が見えたり、市街地の隣に春日山原始林があったり。暮らしのなかに非日常があるところが好きですね」

 今後は、「チーズとワイン、イートイン専門店など、切り口の異なる小さなお店を展開したい。ケーキはセントラルキッチンでつくって催事や駅ナカなどで販売したいです」と話す町田さん。古都奈良で、大きな夢に向かって羽ばたいていく。

奈良県奈良市の「CHEESE CAFE soan」。奈良もちいどのセンター街にある
移転先の物件探しが難航し、もちいどのセンター街の理事長に相談して見つけた現在の店舗。

奈良県奈良市の「CHEESE CAFE soan」店内。チーズを使ったスイーツやランチを提供
白と木目を基調とした落ち着いた店内。チーズを使ったスイーツやランチを提供している。

奈良県奈良市の「CHEESE CAFE soan」のチーズ盛り合わせ
チーズ盛り合わせは、お酒にぴったり。町田さんによると、「ワインだけでなく、日本酒との相性もいい」とのこと。

奈良県奈良市の「CHEESE CAFE soan」。チーズの販売コーナーでは日本のチーズを取り揃えている
販売コーナーでは日本のチーズばかりを取り揃えている。チーズプロフェッショナルの町田さんならではのセレクト。

CHEESE CAFE soan
奈良県奈良市光明院町13番2-1
X:@Soancheese
Instagram:@soan_cheese

開業へのアドバイス

常に上を見て、目標は高いところに!
何かを始めるのであれば、まずは、やりたいという気持ちと自分で責任を負う覚悟を持つこと。また、自分は「何を求めているのか」「何ができるのか」「何ができないのか」を見極めることも必要です。私は、ものづくりが好きでしたが、向いていたのは販売や接客でした。自分の店なので頑張るのは当たり前。頑張ることを楽しめるようになれれば大丈夫です。

 

奈良市の移住の問い合わせ
宿泊施設と連携した「お試し移住」で暮らし体験

 1300年前に国の都・平城京が置かれ、現在も歴史ある国際文化観光都市として世界から注目されている奈良市。自然や文化が豊かであると同時に、大阪や京都など都市圏へのアクセスも良好と暮らしやすい環境が整っている。移住検討者には、「オンライン移住相談」や、宿泊施設と連携した「お試し移住」などを実施。移住前の情報収集や暮らし体験に利用できる。

お問い合わせ:奈良市秘書広報課移住定住促進係 ☎︎0742-93-3470
ならりずむ。-奈良市で暮らすライフスタイル- - 奈良市ホームページ

奈良県奈良市では「お試し移住」を実施。登録宿泊施設の利用で補助が受けられる
お試し移住」では、登録している宿泊施設の利用で、宿泊経費・交通費などの一部を1人1泊当たり2000円(最大2万円)給付。


「奈良市にお越しの際、どうぞお気軽にお立ち寄りください♪」(秘書広報課移住定住促進係の山田さん〈左〉、山本さん〈右〉)

文/水野昌美 写真提供/町田美保さん、奈良市

この記事の画像一覧

  • 奈良県奈良市のシカとサクラ。歴史と自然と便利さが調和している
  • 奈良県奈良市の「CHEESE CAFE soan」で提供しているオリジナルのチーズケーキ
  • 奈良県奈良市の「CHEESE CAFE soan」。奈良もちいどのセンター街にある
  • 奈良県奈良市の「CHEESE CAFE soan」店内。チーズを使ったスイーツやランチを提供
  • 奈良県奈良市の「CHEESE CAFE soan」のチーズ盛り合わせ
  • 奈良県奈良市の「CHEESE CAFE soan」。チーズの販売コーナーでは日本のチーズを取り揃えている
  • 奈良県奈良市の「奈良もちいどのセンター街」にあるチャレンジショップ「もちいどの夢CUBE」
  • 奈良県奈良市では「お試し移住」を実施。登録宿泊施設の利用で補助が受けられる

この記事の画像一覧を見る(8枚)

この記事のタグ

田舎暮らしの記事をシェアする

田舎暮らしの関連記事

【2024年最新版】全国「桜の名所」ランキングTOP10|東日本1位:高遠城址公園(長野県) 西日本1位:吉野山(奈良県)|成田市さくらの山(千葉県)も絶景!旅のプロ厳選ツアーも!

「街の住みここちランキングTOP30【関西版】」からわかった、子育て世帯が住みやすいエリアとは? 大阪・兵庫・京都・奈良の人気エリアを発表!

【2024年最新版】春の贅沢、「いちご」をふるさと納税で楽しもう!高騰する市場価格も安心!|「いちご品種別人気ランキング2023」も発表!

【地方創生SDGs】世界遺産を誇る紀伊半島の秘境。林業と観光の好循環を目指す【奈良県十津川村】

★最新【近畿】2023年版12エリア別「住みたい田舎ベストランキング」【大阪・京都・兵庫・奈良・和歌山・滋賀】

「ママの野菜は世界一!」。苦難を経てレンコン農家へ【奈良県山添村】

住みたい田舎「子育て世代部門」1位のまちの魅力を探る【大分県大分市】

温暖な気候、豊かな自然の恵み、アクセス良好! 瀬戸内エリアの人気のまち「AKB(赤穂市・上郡町・備前市)」で暮らそう

移住者数が3年で3倍に! ずっと住み続けたいまち【愛媛県今治市】本誌ランキング2年連続 全4部門1位!