東京都といっても都会ばかりではない。23区の西側の多摩地域や離島など、自然が豊かな地域もある。山に囲まれた檜原村もそんなひとつ。都内で働き、休日は檜原村で活動を楽しむ二拠点LIFEを紹介しよう。
掲載:2025年1月号
※掲載している情報は、取材時のものです。
東京都檜原村(ひのはらむら)
東京都西部に位置し、人口は約2000人。村の大部分は、秩父多摩甲斐国立公園に含まれ、村の面積の9割以上を森林が占める。秋川に沿って集落が点在し、地域ごとに特徴がある。村の中心部まで、JR五日市線の武蔵五日市駅からバスで約30分。車の場合、圏央道日の出IC、あきる野ICからそれぞれ約15㎞。
檜原村の地域の人と活動し、交流することが楽しい
「人里(へんぼり)もみじの里」での活動の様子。目標は「100年後に人里周辺を日本有数のモミジの名所にすること」だという。
大坂 隆さん(仮名)●62歳
東京都出身。平日は都心で医療関係の仕事をし、休日は檜原村で「人里もみじの里」のメンバーとして山林の整備や植樹などを行う。檜原村の家は仲間から紹介してもらった賃貸。
面積の9割以上を山林が占め、東京都とは思えない景色が広がる檜原村。大坂さんと村の出合いは、職場の福利厚生で村のマス釣り場を訪れたこと。「都会暮らしだったので自然への憧れがあり、檜原村にひかれました」と話してくれた。
その後、村のことを調べていると、「人里もみじの里(以下、もみじの里)」でお手伝い募集を見つけ、思い切って参加した。
「もみじの里」は、檜原村人里地域周辺の山を管理する有志団体だ。放置された針葉樹を伐採し、モミジ、サクラ、ツツジなどの広葉樹を植える活動を行い、10年で1万本以上を植栽してきた。
「もみじの里」の活動や季節ごとの行事のお手伝いなど、檜原村へ通うようになったという。当初はゲストハウスに泊まっていたが、拠点が欲しいと考え、もみじの里のメンバーのつながりで賃貸物件を紹介してもらった。
物件は大きな古民家だが、家賃は月2万円。改修は、自分が使う分の畳の張り替えとトイレやキッチンなど、家の一角のみにして費用を抑えた。また、村に住民票を移すことで、移住補助金を受けることができた。
「山でからだを動かし、作業後にはメンバーと飲み会。これが本当に楽しいんです。拠点ができてからは活動がなくても村に来ています。村で過ごすだけで気持ちがリフレッシュします」
退職後は、檜原村に完全移住する予定だという。「檜原村は不便ですが、そこが魅力。山に囲まれ自然が豊かな村で、ゆったり暮らしていきたいですね」
山に植えられたモミジ。まだ小さいが、秋には赤く色づいた様子が楽しめる。
大坂さんの二拠点LIFE!
◆二拠点LIFEへのアドバイス
「活動や行事のお手伝いなどで地域の人と仲よくなっていくのがいいと思います。僕も、最初は物好きな人と思われていたようです(笑)。人となりがわかってくると、だんだん受け入れてもらえます。将来的に定住を考えているのなら、やっぱり二拠点生活などから始めるのがオススメです」
檜原村の移住の問い合わせ
登録空き家への移住に各種補助制度、充実の子育て支援
村の登録空き家への移住には、改修工事費用や家財道具の処分、引っ越し費用などの補助制度がある。また、小・中学校の教室は地元の木材で木質化、小・中学校の通学費・給食費・医療費全額補助など、子育て支援も充実。
お問い合わせ:檜原村むらづくり推進係 ☎︎042-519-9556
移住情報 | 檜原村ホームページ
令和3年度にオープンした「檜原森のおもちゃ美術館」。村の木材をふんだんに活用した空間とおもちゃで、子どもから大人まで楽しめる体験型美術館。
文/水野昌美 写真提供/大坂 隆さん、檜原村
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