田舎暮らしの本 Web

  • 田舎暮らしの本 公式Facebookはこちら
  • 田舎暮らしの本 メールマガジン 登録はこちらから
  • 田舎暮らしの本 公式Instagramはこちら
  • 田舎暮らしの本 公式X(Twitter)はこちら

田舎暮らしの本 5月号

最新号のご案内

田舎暮らしの本 5月号

3月3日(月)
890円(税込)

© TAKARAJIMASHA,Inc. All Rights Reserved.

【脱・東京】海のそばで自由に生きながら、知識や経験を地域に役立てたい【沖縄県うるま市】

「いつかは自然があるところで暮らしたい」と思っていた加藤さんは、「いつか」が「今」に変わり、2015年に東京から沖縄へと移住。海が見える予約制レストランを開業し、さらには地域の企業のコンサルタントも行い、自分の知識や経験を地域に役立てたいと活動している。

この記事の画像一覧を見る(6枚)

掲載:2025年4・5月合併号

沖縄県うるま市
沖縄本島の中部の東海岸に位置し、人口は約12万7000人と沖縄県で3番目に多い。本島地区と8つの島を有する。島しょ部の伊計島、宮城島、平安座島、浜比嘉島、藪地島は海中道路や架橋によって結ばれ、本島から通行が可能。ビオスの丘や美しいビーチなど観光スポットも多い。那覇市から車で約1時間、那覇空港から車で約1時間30分。

窓から海が見える店舗兼住宅に一目ぼれ

沖縄県うるま市へ移住した加藤さん

加藤龍如(かとうりゅうすけ)さん
東京でマンションに暮らし、コンサルタントを仕事にしていたが、2015年、沖縄県うるま市の海が見える店舗兼住宅に、父親とともに移住。2021年に予約制レストラン・ヘルシービストロ「りゅうさんち」を開業し、現在は、地域企業のコンサルタントとレストランの兼業。祖母も沖縄へ移り住み、加藤さんは沖縄出身の女性と結婚。
ヘルシービストロ「りゅうさんち」https://ryusan.okinawa.jp(要予約)


「いつかは自然が多いところで暮らしたいと思っていましたが、それが必ずしも沖縄というわけではなくて。たまたま海が見える物件がちょうどいい金額だったので、ここになったんです」と、やや申し訳なさそうに話すのは加藤龍如さんだ。東京都出身で、都内のマンションに住み、経営コンサルタント業を行っていた。

 当時、父親との会話で「暖かいところへ移住したい」という話が出た。加藤さんは大きな仕事にちょうど区切りがついたこともあり、「移住は老後とかではなく、今でもいいのではないか」と思ったそう。そこで、父親とともに下見や物件見学も兼ねて沖縄旅行へ3〜4回出かけた。希望に合う物件がなかなか見つからなかったときに、運よく出合ったのがうるま市の店舗兼住宅だ。

「窓から鮮やかな青い海が見え、ここだと思いました」

 東京のマンションを売却して購入。住宅部分を改修して、2015年に父親とともに移住し、沖縄での暮らしが始まった。コンサルタント業のほかにセミナーなどを行っていたが、コロナ禍でキャンセル。これを機に、自分で事業を行うことで多くの気づきや情報が得られるのではないかと思い、レストランを開業することに。

 飲食業の経験はなかったが、料理は好きで教室などにも通うほどだった。自分の資金に加えてクラウドファンディングの資金も活用。返礼品は食事券だ。店舗部分を改修し、コロナ禍まっただなかの2021年にオープン。完全予約制にし、夜の営業はお任せコースのみで、いろいろなロスを少なくした。また、できるだけ地元産のものや添加物が入っていないものを使っている。

沖縄県うるま市へ移住した加藤さんの店舗兼住宅の前の海
加藤さんの店舗兼住宅の前の海。「このきれいな海を、窓から見ることができるんです。毎日見ていても飽きないですよ」。

沖縄県うるま市へ移住した加藤さんの店「ヘルシービストロ りゅうさんち」
ヘルシービストロ「りゅうさんち」の店内。からだに優しくおいしい料理を、友達の家に遊びに来たような感覚で楽しめる。

沖縄の女性と結婚。さらに、祖母も移住

 沖縄での暮らしは「楽しさしかない」と話す加藤さん。

「この青い海が日常で見られるんですよ。最高です」
 
 2023年には90歳になる加藤さんの祖母も沖縄へ引っ越してきた。加藤さんが地元の女性と結婚したこともあり、店舗兼住宅には祖母と父親が暮らし、加藤さん夫妻は近くに賃貸を借りた。

「おばあちゃんは毎朝、海岸を散歩しています。沖縄に来て、さらに元気になったようです(笑)」

 地元の会社のコンサルタント業が忙しくなった加藤さんは、レストランはディナーのみにしている。特に加藤さんが力を入れているのが「うま藻(も)」だ。「うま藻」は藻の一種で、今まで捨てられていたアミノ酸が豊富な泡盛粕を活用して育てられ、うま味と栄養が豊富なのが特徴だ。

「うま藻を使ったレシピや商品を開発したり、販売方法を考えたりしています。自分の今までの知識や経験と、新しい知識や技術が合わさって、少しでも地域やここに暮らす人たちに貢献できる。それが楽しいです」と話す加藤さん。

 忙しい日々を送っているが、ときには夫婦で沖縄のリゾートホテルに泊まったり食事したり、海辺を散歩したりと、沖縄ならではの暮らしを満喫している。

「沖縄へ移住したことで、都会の資本主義社会から少し距離をおくことができた。それが今の豊かな人生につながっていると思います」

泡盛粕を活用して育てられる「うま藻」。藻の一種で、うま味と栄養が豊富
「うま藻」のうま味成分は羅臼昆布の1.5倍以上、DHAはサバの13倍、GABAはトマトの10倍も含まれ、カラスミのような濃厚な味が特徴。うま藻 https://umamo.jp/

「うま藻」を加えた発酵調味料「うま藻 醤油麹」
「うま藻」を加えた発酵調味料「うま藻 醤油麹」。肉用の調味料だが、マグロのタルタルなどにもオススメ。

沖縄県うるま市の「ヘルシービストロ りゅうさんち」で人気の「うま藻」を使ったバーニャカウダ
「りゅうさんち」で人気の「うま藻」を使ったバーニャカウダ。アンチョビを使わず、「うま藻」のうま味で充分なので、ヴィーガンの人でも食べられる。沖縄野菜とともに味わって。

脱・東京してよかったこと

暖かくて過ごしやすく、人も明るい
まずは、暖かくて過ごしやすいことですね。それと、こちらはみんな幸せそうなこと。沖縄には「なんくるないさ(なんとかなる)」という言葉があるように、笑顔で楽しそうに暮らしています。行事などなにかあれば大勢で集まる、人との絆が強いのもいい点です。

文/水野昌美 写真提供/加藤龍如さん

この記事の画像一覧

  • 沖縄県うるま市へ移住した加藤さん
  • 沖縄県うるま市へ移住した加藤さんの店舗兼住宅の前の海
  • 沖縄県うるま市へ移住した加藤さんの店「ヘルシービストロ りゅうさんち」
  • 泡盛粕を活用して育てられる「うま藻」。藻の一種で、うま味と栄養が豊富
  • 「うま藻」を加えた発酵調味料「うま藻 醤油麹」
  • 沖縄県うるま市の「ヘルシービストロ りゅうさんち」で人気の「うま藻」を使ったバーニャカウダ

この記事の画像一覧を見る(6枚)

この記事のタグ

田舎暮らしの記事をシェアする

田舎暮らしの関連記事

沖縄移住はやめとけ? 移住前に知っておくべきこと【沖縄教えて移住プランナーの仲西さんvol.8】

仲間由紀恵さんインタビュー「私にとってはご縁しかないお話でした」|映画『STEP OUT にーにーのニライカナイ』

照屋年之監督インタビュー「浅野忠信さんにオファーすると〝脚本が面白い〞と出ていただけることになり、とてもうれしかったです」|映画『かなさんどー』

がっつり食べたい人にオススメ! 肉がメインのご当地鍋を紹介。山梨県の「いのぶた鍋」、長崎県の「ひきとおし」、沖縄県の「イナムドゥチ」

【女性おひとりさまの田舎暮らし】秘境を求めて西表島へ! ジャングルや滝、海と触れ合い豊かで心が満たされる【沖縄県西表島】

沖縄旅行の大正解!「バスガイド芸人」「令和のエイサー」笑いと感動で伝統芸能を次世代へ! Uターン移住が成功!沖縄県住みます芸人「オリオンリーグ」

《一人暮らし・老後も安心》《シニア専用ハウスあり》高台で海山一望の大規模ニュータウン「伊豆下田オーシャンビュー蓮台寺高原」【静岡県下田市】

【人口20万人以上のまち・秋田市】3年連続 住みたい田舎ベストランキング『若者世代・単身者部門』で1位|クリエイティブな取り組みで夢に挑戦したい若者を応援!

就職に関する相談を親身にサポート! 田村市の「お仕事に関する相談窓口」。移住者を受け入れている事業所の紹介や求人も【福島県田村市】