安い物件を購入したとしても、建物の改修費用だけでなく、移住当初は何かとお金がかかります。その負担を減らしてくれるのが、国や自治体の補助金です。ただ、申請すれば無条件で支給されるわけではないので、基本的なことを知っておき、補助金制度を上手に活用しましょう。
掲載:2025年6月・7月合併号
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補助金を受けるための条件
補助金には数多くの種類があるが、ほとんどが先着順になっていて、予算も限られています。年度ごとに打ち切りといった場合もあるので、前提条件や取得のタイミングを間違えないようにしましょう。
前提条件には一定の傾向があります。例えば、工事の補助金は着工前に申請すること、税金を滞納していないこと、自治体が定めた業者を利用して施工することなどです。自治体によって条件が異なるので、詳しいことは自治体の担当者に聞いてください。
国の補助金制度
国土交通省や環境省、経済産業省などがリフォーム補助制度を設けています。申請できる登録業者はネットでも調べられますが、手続きが複雑なので、まずは物件を取得する自治体の担当者や業者に相談してみましょう。
子育てグリーン住宅支援事業(国土交通省)
開口部の断熱改修、軀体の断熱改修、太陽熱利用システムや節水型トイレなど、エコ住宅設備の設置の3つのうちすべてを実施する場合に上限60万円、2つを実施する場合に上限40万円が補助されます。
先進的窓リノベ2025事業(環境省)
補助対象は開口部の断熱改修で、ガラス交換、内窓設置、外窓交換、ドア交換が該当します。交付申請は5万円以上の工事が対象で、上限額は1戸当たり200万円です。
給湯省エネ2025事業(経済産業省)
導入する高効率給湯器に応じて定額を補助する制度です。補助金の基本額はヒートポンプ給湯器で6万円、電気ヒートポンプ・ガス瞬間式併用型給湯器で8万円、家庭用燃料電池で16万円です。
自治体の補助金制度
市町村によっては、空き家の取得や改修などに補助金が設けられています。住民票の移動はもちろん、一定期間以上の居住、地元業者による施工といったさまざまな条件がありますので、各自治体でよく確認してください。
取得補助金
空き家バンクに登録された家を取得した人に支給する補助金です。例えば、福井県あわら市では、営利目的ではなく居住用として空き家を購入する移住者に経費の3分の1以内(上限100万円)を支給する制度があります(改修補助金との併用可能)。
改修補助金
空き家を利活用して改修を行う人に支給する補助金です。富山県南砺市では、空き家バンクに登録した物件を購入し、市内業者で増築・改修などをした場合に費用の2分の1(上限150万円)を支給しています。
家財処分補助金
空き家の利用者または所有者に対し、家財道具などの処理に要する費用の一部を支給する補助金です。茨城県常陸太田市では、20万円を上限にゴミ処理手数料、収集・運搬料金、特定家庭用機器リサイクル料金、廃棄物処理業者に家財処分を委託した費用を助成しています。
登記補助金
空き家を取得して所有権移転の登記をする人に支給する補助金です。兵庫県南あわじ市では、定住促進空き家活用支援事業補助金として、市内への定住を目的に登記する場合に10万円を上限に支給しています。
引っ越し補助金
空き家を取得して引っ越しをする人に支給する補助金です。長野県上田市では、移住者が引っ越し業者または運送業者へ支払った引っ越し費用、レンタカー料金、有料道路利用料および燃料費に対し、2分の1(上限50万円)を支給しています(改修工事費も含む)。
太陽光発電設置補助金
環境に優しい太陽光発電システムを設置した移住者に支給する補助金です。北海道沼田町では、町内業者により住宅用太陽光発電システムを設置する場合に費用の4分の1(上限50万円)を支給しています。
文/山本一典 イラスト/関上絵美・晴香
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