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田舎暮らしの本 11月号

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10月3日(金)
890円(税込)

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【地方移住の選択肢「地域おこし協力隊」】協力隊として働きながら、自分がしたいことを目指す!【群馬県藤岡市】

都市部から過疎化の進む地方へ移り住み、活動をする「地域おこし協力隊」。活動を通して地域になじむことができ、場合によってはスキルアップや起業への支援なども受けられ、その地域での生活の見通しが立ちやすくなります。任期中は給与をもらえることも魅力です。地域おこし協力隊を移住の選択肢のひとつとしてみてはいかがでしょう。ここでは、群馬県藤岡市で活動する4人の地域おこし協力隊を紹介します。

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掲載:2025年9月号
※記事の内容は2025年6月の取材時のものです。

群馬県藤岡市のまちなみ

群馬県藤岡市(ふじおかし)
県の南西部に位置し、2006年に藤岡市と旧・鬼石(おにし)町が合併してできた中規模の地方都市。人口は約6万人。北部は都市化が進んでいるが、南部は里山と清流に包まれている。練馬ICから藤岡ICへ上信越自動車道利用で約55分。東京駅から新町駅(高崎市)へ在来線で約90分。

群馬県藤岡市の地域おこし協力隊のメンバー
市内を流れる三波川(さんばがわ)は水がきれいで、夏はホタルが楽しめる。右から、森林課の渋木香里さん、鬼石振興課の吉田まり子さん(2025年8月末で任期終了)、森林課の横尾幹さん、鬼石振興課の星野貴男さん。世代が異なる4人だが仲がよく、のびのびと楽しそうに活動している。

研修先が選べる林業振興の協力隊

 2025年2月に発表されたNPO法人ふるさと回帰支援センターの「移住希望地ランキング」で、初めて全国1位に輝いた群馬県。その群馬県の南西部に位置する藤岡市は、埼玉県に隣接し、東京へのアクセスがいいのが特徴。

 現在、藤岡市では、森林課と鬼石振興課の2カ所で地域おこし協力隊(以下、協力隊)を受け入れている。どちらも、藤岡市と雇用契約を結ぶ「雇用型」だ。

 森林課では、林業従事者の高齢化と減少を受けて2022年から協力隊を採用。市の面積の約6割を占める森林の保守整備や藤岡市産の木材のPRなど、林業振興が主な活動内容となっている。

「研修先として森林組合と事業体の両方があります。自分がなりたい林業の形態によって研修先を選ぶことができます」(藤岡市森林課・瀧澤輝幸さん)

 23年4月に着任した渋木香里さんは、現在3年目。森林組合での研修をはじめ、他地域の作業現場の見学や、林業の魅力を伝えるツアーの企画などを行っている。任期満了後は、事業体に就職し、林業を担う予定だ。

「もともと登山が好きで、山の近くで暮らしたくて探したときに、藤岡市の林業での地域おこし協力隊の募集を見つけました。山のなかを歩くのは好きですし、林業を通じて知り合いが増えたのが楽しいです」(渋木さん)

 今年4月に着任した横尾幹さんは、大学を卒業したばかりの新卒。事業体での研修を選んだ。

「災害ボランティアをしているなかで、土砂災害の要因のひとつが山林の放置にあると知り、山を整備する仕事に就きたいと思いました。研修が始まったばかりですが、基本的な技術はもとより、林業において必要なさまざまな資格や講習が受けられるのも魅力です」(横尾さん)

群馬県藤岡市の地域おこし協力隊。森林課で林業に従事
渋木香里(しぶきかおり)さん●35歳
埼玉県川越市出身/2023年4月着任
【活動内容】 森林組合で施業するほか、森林の魅力を伝える登山ツアーなど、森林振興や地域課題にも取り組んでいます。また、毎年市内で開催されるロガーズカップ(チェーンソーの競技大会)にもスタッフとして参加しました。
【メッセージ】 仕事のやり方や工夫次第で、女性でも林業は務まります。山が好き、木が好きなど、林業に興味があればチャレンジしてみてください。

群馬県藤岡市の地域おこし協力隊。森林課で林業に従事
横尾 幹(よこおもとき)さん●23歳
埼玉県本庄市出身/2025年4月着任
【活動内容】 林業事業体で施業するほか、地域の課題解決に向けた取り組みも行う予定です。また、伝統工法を学ぶ研修会に参加するなど、「安全で持続可能な森づくり」を目指して日々研鑽中です。
【メッセージ】 僕が言うのもおこがましいですが、課題意識を持つことが大切かなと。活動の原動力にもなりますし、するべきことが明確になると思います。

中山間地の鬼石地域で活性化と移住定住などを担当

群馬県藤岡市の鬼石地域を桜山公園から望む
桜山公園から見た鬼石のまちなみ。中央を流れる川の手前が鬼石地域で、奥は埼玉県神川町(かみかわまち)。桜山公園は、国の名勝および天然記念物に指定されている冬桜の名所。秋から春にかけて約7000本の冬桜が楽しめる。

 吉田まり子さんと星野貴男さんの活動フィールドは、藤岡市街地から車で約20分の鬼石地域。2006年に藤岡市に編入された小さなまち。昔の宿場町であり、青い色が特徴の三波石(さんばせき)の産地として有名だ。鬼石振興課は、2021年から協力隊を採用し、延べ4名を受け入れている。主な活動内容は、過疎化が進む鬼石地域の活性化と移住定住の促進、情報発信など。

「鬼石地域は小さな集落で、人との関係がより密になりますので、地域の方とのコミュニケーションが重要となります。また協力隊の方には、鬼石地域や藤岡市に愛着を持ってもらえるとうれしいですね」(鬼石振興課・櫻井めぐみさん)

 今年の8月末に任期満了となる吉田まり子さん(2025年8月末で任期終了)は、鬼石地域のSNSの運営など、情報発信を担当。自然のなかで子育てしたいと、吉田さんの実家である高崎市に近い藤岡市で協力隊に応募し、家族で移住した。

「住民の皆さんが〝何もないところ〞と言いつつ、鬼石のことをいろいろと話してくれます。それをお聞きするのが好きです。一昨年は鬼石夏祭りに密着して動画を撮影したのですが、〝北関東一の祭り囃子〞といわれるだけあって感動しました」(吉田さん)

 任期満了後も家族で藤岡市に暮らし、自分がやりたいことを進めていく予定だという。

 50代で協力隊となった星野貴男さんは、群馬県桐生市出身。実家の畑が放棄されているのを見て、休耕地をどうにかしたいと思い、早期退職して応募。家族は埼玉に残し、単身で着任した。

「3年間、給料をもらいながら、仕事を覚えて勉強もでき、地域での地盤も固められる。協力隊は移住するにはいい仕組みだと思います」(星野さん)

 星野さんは、人口減少や空き家の問題などに直面し、相談に来た人に空き家をマッチングする紹介制度「おにしん家(ち)」を立ち上げた。さらに、もともとの目的だった休耕地の復興を目指し、「ほし農e N(ほしのうえん)」をスタート。

 4人それぞれ目指すものは異なるが、異口同音に「地域の人が温かくて、協力隊を優しく受け入れてくれた」と話す。地域に残っている協力隊卒業生との交流も盛んで、力を貸してくれる。やりたい目標に向けて活動ができるのも、地域の人や役所担当者との信頼関係があってこそだろう。

群馬県藤岡市の地域おこし協力隊。鬼石振興課
吉田まり子さん●39歳
群馬県高崎市出身/2022年9月着任/2025年8月末で任期終了
【活動内容】 鬼石地域の魅力発信のためのPRやSNSの運営など、情報発信を担当しています。鬼石地域は移住促進に力を入れているので、移住者インタビューをアップするほか、イベントやおすすめポイントなどを紹介しています。
【メッセージ】 鬼石振興課では、新たな協力隊を募集中です。自分がしたいことを受け入れられやすい環境で、働きやすいです。ぜひ、応募ください。

群馬県藤岡市の地域おこし協力隊。鬼石振興課
星野貴男(ほしのたかお)さん●58歳
群馬県桐生市出身/2023年7月着任
【活動内容】 鬼石の魅力発信のためのSNS運営、鬼石振興課の補助業務、空き家対策の推進が主です。特にこの2年で力を入れてきたのが、空き家対策の推進です。
【メッセージ】 文字通り“協力隊”なので、職場や地域との協力が大切です。やりたいことをするだけではだめ。任された仕事や補助業務などをきちんと行い、信頼関係を築いたうえで、やりたいことを進めていくのがオススメです。

【TOPICS】鬼石地域で地域おこし協力隊募集中!

 藤岡市鬼石地域の地域振興や活性化のための活動や移住・定住対策に携わる地域おこし協力隊を募集している。

 〇募集人数:1名
 〇勤務地:藤岡市鬼石総合支所(鬼石振興課内)
 〇雇用形態:会計年度任用職員扱い
 〇期間:採用日から1年ごとに更新、最長3年まで延長可
 〇給与:月額20万円(期末勤勉手当、通勤手当あり)

↓詳細はサイトで確認を。
https://www.city.fujioka.gunma.jp/iju_teiju/7078.html

お問い合わせ:藤岡市鬼石総合支所 鬼石振興課 ☎0274-52-3111
o-somu@city.fujioka.gunma.jp

文/水野昌美 写真/尾﨑たまき 写真提供/藤岡市

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  • 群馬県藤岡市の地域おこし協力隊。森林課で林業に従事
  • 群馬県藤岡市の地域おこし協力隊。森林課で林業に従事
  • 群馬県藤岡市の地域おこし協力隊。鬼石振興課
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  • 群馬県藤岡市の鬼石地域を桜山公園から望む

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