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田舎暮らしの本 12月号

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田舎暮らしの本 12月号

10月31日(金)
890円(税込)

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【憧れの古民家で暮らす】里山に見つけた築200年の家.大工さんの力を借りて再生中!【栃木県茂木町】

栃木県茂木町の築200年の古民家に家族で移住した太田さんは、大工さんの力を借りて半セルフで古民家再生をスタートした。限られた予算で直すため優先順位を考えて、まずは家の西半分の補修から。一歩ずつ作業を進めれば古民家は息を吹き返し、心地のよい家に蘇る。

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掲載:2025年10月号

栃木県茂木町(もてぎまち)
栃木県の南東に位置し、人口約1万1200人。年平均気温13.5℃。那珂川と里山の自然に恵まれる。市街地はかつての城下町の風情を残す。常磐自動車道水戸ICより車で約40分、東北自動車道宇都宮ICより約50分。JR水戸線下館駅より真岡鐵道茂木駅まで約1時間10分。

古民家補修のプロに聞いた空き家探しのコツ

栃木県茂木町へ移住し、古民家の再生を半セルフで進める太田さんファミリー
「古民家を再生しながら、先人が営んできた里山の暮らしを受け継いでいきたいと思っています」。住まいとなった古民家の再生を半セルフで進める太田さんファミリー。古民家は人が暮らすことで自然環境が整う“里山の文化”を体現する場のひとつ。

 小高い山の間に集落が点在し田畑が広がる栃木県茂木町。太田孟(はじめ)さん(34歳)、妻の香織(かおり)さん(38歳)、衣美(きび)さん(6歳)、麻陽(あさひ)くん(2歳)一家は2024年11月、このまちの里山風景のなかにある築200年の古民家に移住した。

 大阪府出身の孟さんは、京都のWebページ制作会社に勤務。コロナ禍以降、出勤の必要がないフルリモート体制でどこでも仕事ができるようになり、まずは香織さんの実家がある栃木県宇都宮市で暮らした。

「子育ても始まって、いわゆる嫁ターンです。宇都宮では街中の借家住まいでしたが、いずれは自然の多い田舎の古民家で暮らしたいと考えていました」

 知人から勧められたこともあり、注目したのは宇都宮市から車で1時間ほどの茂木町。自然豊かな環境にひかれて通うなか、町内で開かれた土壁のワークショップに参加した。講師を務めていたのが古民家改修を得意とする大工の望月崇史(たかし)さん。

「この地域で古民家物件を探しているんです」と話をすると、望月さんは「空き家バンクは人気で順番待ち。よい物件を見つけたら、家主さんを見つけて『貸してくれませんか』と直接聞いてみるといい」とアドバイスしてくれた。

できる範囲で無理せずに、一歩ずつ楽しむ古民家再生

栃木県茂木町の里山風景のなかにある古民家
敷地は裏山を背にした南向き。前に田んぼが広がる里山風景のなかにある。

 ほどなく出合ったのは、まさに里山のなかにある古民家。

「茂木町のリンゴ園を訪ねる道中、たまたま目にした空き家です。アドバイスどおり家主さんを探して直接交渉しました」

 とはいえ10年ほど空き家だったという建物は、「絶対に住めないだろう」と思うほど荒れていた。だが望月さんに見てもらった結果「大丈夫、補修できる」と心強い言葉が返ってきた。

 現状のまま借りた築200年の古民家の家賃は月5000円。補修の自己資金はほとんどなかったが、まちの移住支援制度やクラウドファンディングも活用。

「できるところは自分たちで」と、まずは通いながら片付けを始め、骨組みを残した解体作業は望月さんに教わりながら一緒に進めた。補修の着工は麻陽くんが生まれた日。

「育児の合間に家を直しました」

栃木県茂木町の古民家。玄関の土間から居間へと続く
玄関の土間の奥に断熱を施した居間を設けた。石膏ボードの白い内壁は、一部をセルフで張り付け。

栃木県茂木町の再生した古民家。断熱を施し薪ストーブを設置したリビング兼仕事場
居間に設置した時計型の薪ストーブ。本体価格は6000円ほど。煙突も望月さんの指導を受けてセルフで設置。奥はワークスペース。

栃木県茂木町の古民家再生。トイレや洗面所などの水回りはプロに任せた
水回りの洗面所とトイレの改修はプロにお任せした。

 予算を考え、当初の補修は暮らしの拠点となるうえ傷みやすい水回りのある西半分とした。土台の入れ替えや基礎工事など、家の骨格となる構造部分は望月さんに、電気や給排水などもプロに任せた。浄化槽は元のものが使え、ボイラーと台所のシンクなどは交換した。生活の中心となる一部屋には、床下と壁に断熱材をしっかり入れ、冬の寒さに備えて薪ストーブを設置。

「居間は冬も思った以上に暖かく、のびのびと過ごしています」

 当面の課題は土間の台所の寒さ対策。冬が来るまでには何とかしたい。そして、家の東側に残された畳の4部屋は、お金が貯まったら直すつもりだという。太田家の古民家再生は暮らしとともに無理せずゆっくり。直す過程も楽しみながら進めている。

栃木県茂木町の古民家の再生。風が通る土間は自然素材に囲まれたすがすがしい空間
立派な梁が渡る土間。キッチンにした場所は、元厩(うまや)だったそう。補修の頼れるプロの2人、大工の望月さんと設計士の萩原さんとともに。

栃木県茂木町の古民家の再生。庭には自作の鶏小屋と堆肥小屋も
庭に自作した鶏小屋と堆肥小屋。DIY初心者だったが、古民家の補修で腕を上げた。

栃木県茂木町の古民家の再生。土壁づくりで残った土からレンガを焼き、ピザ窯も
土壁づくりで残った土からつくったレンガを積んでピザ窯に。薪は近隣の農地や山の整備で出たものを譲り受ける。

太田さんの古民家の補修費用

栃木県茂木町の古民家の再生。改修にかかった費用

※「古民家のチェックポイントと補修の実際」の記事もぜひお読みください。太田さんの古民家再生を手がけた建築士・大工さんと設計士さんがポンとをわかりやすく解説しています。

文・写真/新田穂高 写真提供/太田 孟さん

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  • 栃木県茂木町へ移住し、古民家の再生を半セルフで進める太田さんファミリー
  • 栃木県茂木町の里山風景のなかにある古民家
  • 栃木県茂木町の古民家。玄関の土間から居間へと続く
  • 栃木県茂木町の再生した古民家。断熱を施し薪ストーブを設置したリビング兼仕事場
  • 栃木県茂木町の古民家の再生。風が通る土間は自然素材に囲まれたすがすがしい空間
  • 栃木県茂木町の古民家再生。トイレや洗面所などの水回りはプロに任せた
  • 栃木県茂木町の古民家の再生。庭には自作の鶏小屋と堆肥小屋も
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