田舎物件探しで、最も利用しやすいのが自治体の「空き家バンク」です。国土交通省によると、令和4年時点で約7割の地方公共団体が「空き家バンク」の制度を導入しています。まずは、知っておきたい空き家バンクの基礎知識をご紹介します!
掲載:2025年10月号
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「空き家バンク」とは?
当事者同士の直接型と業者介在の間接型あり
空き家バンク制度は、もともと過疎地域の人口減少対策として始まった。農漁村は先祖から土地建物を受け継いだ人たちの集まりで、通常は不動産業者が存在しない。そこで、自治体が窓口となって売主と買主をマッチングさせる取り組みがスタートした。これを直接型と呼ぶが、自治体は両者を結び付けるだけで、取引はあくまで当事者同士の自己責任。自治体の不動産業務と誤解しないようにしたい。
もっとも、近年は業者や宅建協会と提携した間接型の空き家バンクを運営する自治体も増えてきた。この場合は仲介手数料が必要だが、プロが介在するだけに安心感がある。空き家バンクは月4万円以下の賃貸物件が多く、300万円以下の安い売家も見つけやすい。
空き家バンクの有無は、「市町村 名空き家バンク」で検索すればすぐにわかる。また、アットホームとホームズの2社が「全国版空き家バンク」のサイトを運営しており、自治体や物件の条件などを絞った物件探しが可能だ。
空き家バンクを利用するには、個人情報を記す利用者登録や物件見学が必要だが、最近ではYouTubeで詳細な物件情報を提供する自治体も増えてきた。ただ、建物の状態などは最終的に自分の目で確かめたい。
空き家バンク担当者に聞きました!
自治体の担当者や、地域で空き家のアテンドを行っている担当者に、空き家バンクを利用するにあたって注意してほしいことなどをアンケート調査。コメントの一部をご紹介します。
こんな人に「困った!」。利用時に注意してほしいことは?
■「 業者が仲介しない物件は所有者の直接対応となるため、明日物件を見たいと急に言われても希望通りには対応できない場合があります」
■「 物件の購入費だけでなく、補修費を予算に入れて検討すること。とりあえず買って改修はあとで考える、では行き詰まる可能性があります」
■「 問い合わせの際には、なるべくご自身の状況を詳しく知らせてほしいです。それによってさまざまな提案が可能に。また、物件で即決せず、まずは地域の雰囲気や住民との相性を確かめて!」
■「内見なしで契約→引っ越し後に想定外のマイナス面が見つかって、各関係者に苦情の電話をかけて、困惑させられたことがあります。内見は必ずしてほしいです」
■「 進学、就職、転職、転勤などを機に空き家を取得する方のなかには、4月からの新生活に備えて2月~3月にリフォームを望む方がいます。しかし、会計制度の都合で補助金が交付できない場合があるので注意が必要です」
契約後に後悔しないために必要なことは?
■「想定以上の出費がかさまないように、押し入れの中、台所の流しの下、家の北側の外壁、床下などをよくチェックすること。業者にインスペクション(建物状況調査)の有無を確認することも大事です」
■「 低価格の物件は大規模な補修が必要だったり、広い敷地では定期的な草刈りや樹木の剪定などが必要になります。現地で所有者や管理者からよく話を聞いてください」
■「店を開く場合は、周りの環境をしっかり見極めることが大切。どのような方が来てくれるのか、そこに自分のお店がマッチするのかをよく考えて!」
■「 内見は必須。季節の変化を知るには、特に冬期間の見学が望ましいです。郊外の場合は周辺住民や自治会とのかかわり方の情報収集が必要。地域行事や祭事などに参加を求められる場合があります」
■「空き家の状態や間取りだけでなく、公共施設、店舗、飲食店、学校などの位置確認、駅やバス停までの距離も事前に確認してください」
文/山本一典 イラスト/関上絵美・晴香
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