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田舎暮らしの本 12月号

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田舎暮らしの本 12月号

11月1日(金)
890円(税込)

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焚き火料理7つのコツ/キャンプで役立つワザと工夫を伝授!

掲載:2020年1月号

火を自在にコントロールできれば、家庭のコンロでつくれる料理は、たいてい焚き火でできる。米も炊けるし、優秀なオーブンにもなるのだ。ここでは焚き火料理で覚えておきたいワザと工夫を紹介しよう。

【その1】燠(おき)をたっぷりつくる

焚き火料理というと、その燃え上がる火で料理をするイメージを持つ人がいるかもしれないが、それでは食材も調理器具も真っ黒なすすだらけになってしまう。加えて燃えている状態は火力が不安定で調整が難しいのだ。焚き火料理は燠でやるのが基本だ。燠とは薪が炭状になって赤々と燃えている状態だ。炎は出ないが、熱量は高い。この燠を寄せたり広げたりすることで火力の強弱をつけられる。通常、燠は薪が燃えるとその最後にできるものだが、比重の低い針葉樹では燠ができにくく、そのまま灰になってしまうので、料理をするときは広葉樹を使ったほうがいい。薪は燃え尽きる直前に燠になるので、料理をする前に充分時間をかけて薪を燃やし、燠をたっぷりつくっておこう。

薪に火をつけてから燠ができるまで1時間くらいかかる。燠は寄せれば強火になり、散らせば弱火になる。

【その2】料理に合わせて薪を組む

焚き火で料理をするときは、熱が逃げにくく燠をためられる並列型に薪を組むのが基本。上面が平らになるので、調理器具も置きやすい。さらに並列に並べた太い薪の先端を合わせてV字形にすると、先端にいくほど火力が弱くなり、広がっている部分ほど燠を多く蓄えられて火力を高められる。弱い部分で保温、強い部分で調理と2つの作業を一度にできるのだ。

並列型の先端を合わせたハンター型と呼ばれる薪の組み方。

すり鉢状の穴の周りに細い薪を放射状に並べた組み方。穴の底に熱が蓄えられ、薪がずり落ちて自動的に燃えていくしくみ。煮込み料理に向く。

【その3】直火に適した道具を使う

焚き火料理では直火で使えるタフな調理器具が求められる。幅広く使えるのはダッチオーブンだ。厚い鋳物でできた密閉性の高い蓋付き鍋で、そのまま焚き火にくべられる。蓋の上に燠を載せて上から熱を加えることもでき、その名前の通りオーブンのように使えるのが特徴だ。キャンプ用のコッヘルや鉄製のフライパンも直火との相性がいい。

ダッチオーブン。蓋に燠を載せて上下から中の食材を加熱できる。煮る、焼く、蒸す、炒める、揚げるなどあらゆる料理に使える魔法の鍋。

使い込んだ鉄のフライパンは油がなじんで焦げ付きにくい。野外料理はもちろんキッチンでも使える一生ものの道具になる。

焚き火でパンを焼くなら鋳物製のホットサンドメーカーがおすすめ。ダッチオーブンのようにそのまま火に突っ込める。

【その4】自然木を利用する

森の中に落ちている木を利用して鍋を吊るすためのハンガーをつくると便利。焚き火との距離で火力調整が簡単にでき、保温にも重宝する。自然木はなるべく真っすぐで強度のあるものを選び、焚き火とある程度の距離を置いて燃えないように設置する。焚き火の雰囲気が一気にワイルドになり、気分も盛り上がる。

真っすぐな木を3本組み合わせてロープで縛り、その頂点から吊るしたチェーンに鍋を掛けるトライポッド。

二股になった枝を焚き火の両脇につきたて、その間に枝を渡してチェーンで鍋を吊り下げる。

【その5】肉と魚は串で焼く

焚き火で焼くと味はもとより気分的にもひときわおいしく感じられる食材が2つある。肉と魚だ。いずれも串に刺して燠の遠赤外線でじっくり焼き上げるのがコツ。川魚は観光地などでもよく見られるように燠の周りに並べて遠火で焼く。30分から1時間くらい時間をかけて皮がパリパリになるくらいじっくり火を通すと余計な水分が抜けてうま味がギュッと凝縮する。分厚い肉は回転しないように串を2本刺し、燠にかざして焼き上げる。塩とコショウだけのシンプルな味付けで肉本来のうまみを味わおう。

燠の遠赤外線効果で、厚い肉も表面が焦げずに中まで火が通りやすい。かまどがあると網や鉄板による料理もできる。

【その6】何でもホイルに包んでポイ!

焚き火ならではの料理として、ホイル焼きも挙げられる。とにかく何でもアルミホイルに包んで焚き火に投げ込んでしまえばいい。タマネギやリンゴなどは丸ごと包んでも中までしっかり火が通り、驚くほどジューシーに焼き上がる。肉や魚は野菜やキノコなどと一緒に包むと素材のダシが絡んで味わいが増す。

リンゴやタマネギの丸焼きは、焼きイモと同じように濡れた新聞紙に包むとよい。

【その7】失敗しない米の炊き方

「初めちょろちょろ中ぱっぱ、赤子泣くとも蓋取るな」とは、かまど時代の米炊きを表す言葉だ。弱火から強火にして、炊き上がるまで蓋を開けるなという意味だが、経験的なことを言えば最初から強火で一気に炊き上げたほうが失敗は少ない。するとちょろちょろというのは浸漬(しんし)の時間ともとらえられる。なぜなら、米が水をよく吸っているかどうかで、炊き上がりが全然違うからだ。そして、蓋はやはり最後まで決して開けてはいけない。

焚き火炊飯成功のカギは、適切な水の量と火にかける前に米に充分水を吸わせておくことだ。水の量は米1に対して1.2~1.5くらい。吸水は30分が目安だ。

耐熱ガラスの蓋を使うと米の様子が見られて安心。噴きこぼれるまで強火にし、その後弱火で15分。火力の調整は経験でつかむしかない。

炊き上がったら焚き火から鍋を上げて15分蒸らす。ここでようやく蓋を開け、さっとかき混ぜてできあがり。鍋底のおこげも焚き火ごはんのおいしさだ。

 

文/和田義弥 写真/阪口 克

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