温泉の源泉数も湧出量も日本一を誇る「おんせん県おおいた」。新生活の場として豊後大野市を選んだ若い夫妻は、里山や田園の風景に囲まれたまちで、のびやかな子どもたちの成長を見守る理想の学校づくりに取り組んでいる。
元酒蔵をDIYで再生し子どもたちの学びの場に
緑豊かな山々の麓に広がる住宅地の一角、明治創業の酒蔵の跡地を再生した校舎に、子どもたちの元気な声が響く。
「まずは鉄筋コンクリート造の倉庫を学び舎として自分たちでリノベーションしました」
そう話すのは、従来の公教育とは違う独自の理念で運営するオルタナティブスクール「ここのね自由な学校」代表の山下浩二さん。大学時代にまちづくりに興味を持ち、地域活性化の軸となる学校づくりを手がけたいと考えていた。そして2017年、地域おこし協力隊として東京都から豊後大野市へ移住し、廃校舎でのゲストハウス設立に携わり創業のノウハウを学んだ。
浩二さんの夢に共感していた百華さんは、岡山県から19年春に移住。その直後に2人が出会ったのが、熊本県から移住して学校創立の構想を温めていた秋篠奈菜絵さんだ。すぐに意気投合して一緒に計画を進め、今年4月の本開校に至った。
現在は6〜15歳を対象に、対話と自己選択を大切にした教育を実践している。
「子どもたちがいきいきとして、自分から新しいことに挑戦する姿を見るのが喜びです」
と、百華さん。活動への支援は広がり、外部講師「ここのねクリエーター」には県内外の有志が登録。全国からの寄付にも助けられているという。
「私たちの教育理念に賛同し、県外から移住して入校したいとう希望者も増えています」
そう手応えを話す浩二さん。子どもたちが心底わくわくできる学びの場づくりは、順調に第一歩を踏み出した。
大分県豊後大野市 ぶんごおおのし
県都・大分市の南に隣接する豊後大野市は、日本ジオパークとユネスコエコパークの両方に認定された雄大な景観が広がる名水の里。県内屈指の農業地帯を形成し「大分の野菜畑」ともいわれる。大分空港から車で約1時間30分。
豊後大野市の頼れる“ミカタ”
【子どものありのままの成長を応援】
「おひさまのたまご」
地域交流拠点「あかい屋根の郷」敷地内の旧幼稚園舎を活用し、子どもたちの個性を尊重した保育を行うのが「おひさまのたまご」。現在は畑仕事や山・川遊びなどのほか、梅干しや味噌づくりといった季節の手仕事も取り入れ、里山の豊かな自然のなかで週4日の活動を続けている。幼児教育・保育の無償化対象。
お問い合わせ先:おひさまのたまご(あかい屋根の郷)
☎0974-22-0238
【豊後大野市移住支援情報】
「インキュベーションファーム」
西日本有数の夏秋ピーマン生産量を誇る豊後大野市では、ピーマン栽培を軸とする新規就農支援施設としてインキュベーションファームを開講している。研修費は無料で、原則2人以上で受講できる就農時55歳未満の人が対象。研修中の宿泊施設(家賃月1万2500円)や中高年移住就農給付金などの支援も整えている。
お問い合わせ先:農業振興課
☎0974-22-1001
【担当者より】
住居支援をご活用ください
移住者を対象として、新築・購入時の持家取得助成金や空き家バンク登録物件の改修補助金などの支援を用意しています。このほか、実家にUターンする市外居住者が住居を改修して3世代以上で同居する場合、改修費を最大150万円補助します。詳しくはお問い合わせください。
お問い合わせ先:まちづくり推進課
☎0974-22-1001
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