これから移住する人に向けて、田舎暮らしで気になることをランキング形式で紹介! 今回は、「移住者の割合」のなかでも、特に[子育て世代]の移住者が高い自治体をクローズアップします。待機児童の状態、学校、教育体制、子どもが遊べる施設や公園、子育てへのサポートなど、子どもを育てる環境は自治体によって大きく異なります。子育て環境の整備に力を入れている自治体は多く、独自の取り組みをしているところもあります。子育て世代の移住者が多い自治体はどのようなところなのか、本誌ライターが分析・解説します。
弊誌「田舎暮らしの本」の人気企画『住みたい田舎ベストランキング』では、回答いただいたアンケートをもとに、さまざまな角度からユニークな取り組みをしている自治体をランキング化。読者の移住地選びの参考になるデータを提供しています。
【集計方法】
対象者:全国の自治体
調査方法:『田舎暮らしの本』からのアンケート
(アンケート送付は、「道府県庁経由でのメール」および「各自治体へ編集部から直接メール」の2ルート)
回答数:587自治体
アンケート実施:2023年10月末 ~ 11月下旬
※各項目の算出方法は表の下に別途記載しています。
掲載:田舎暮らしの本 2024年2月号
【子育て世代の移住者の割合が高いランキング】
※算出方法:2023年度(4月1日から10月末時点)の子育て中の家族(子どもを含む)、50代までの夫婦の移住者数(2023年10月末時点で移住済み)÷人口
※小数第3位以下を切り捨て
2023年度(4月1日から10月末現在)における人口に対する子育て世代の移住者の割合をランキングしたのがこの表で、上位を占めた市町村は全国各地に分散しています。どの自治体もいちばん力を入れている分野なので、こういう結果になったのでしょう。
少人数制でのびのび子どもを育てる!
第1位:山梨県 丹波山村(たばやまむら)
第1位はコロナ禍以降、30代と40代の移住者が急増している山梨県丹波山村。30年以上にわたって「親子山村留学」を続け、2022年度からはコミュニティ・スクールの活動も開始。自然体験、伝統文化継承、地場産業・特産品の三本柱で体験学習に力を入れています。1クラス5人以下という少人数制で、豊かな自然のなかでのびのび子どもたちが学べる教育環境が魅力になっているようです。
川原で元気よく遊ぶ子どもたち。豊かな自然のなか、1クラス5人以下という少人数制でのびのびと学んでいます。
第2位:福島県 浪江町(なみえまち)
第2位の浪江町では、「なみえ創成小学校・中学校」、認定子ども園「浪江にじいろこども園」が並んでいます。同じ敷地内で保・幼・小・中が交流し、教員や地域住民が子どもに分け隔てなく寄り添う教育環境が整っているのが特徴です。
元気いっぱいの子どもたちが集合!
第3位:島根県 川本町(かわもとまち)
島根県川本町は、保育料が第1子から無料のほか、18歳未満の医療費無料、小・中学校の給食費が無料と子育て施策に力を入れているのが特徴です。また子育て支援の拠点施設「川本町子育てサポートセンター」があり、在宅児子育て家庭の親子や小学生の放課後の居場所にもなっていて子育てがしやすいと移住者に人気です。
かわもとぐらし|島根県川本町移住サイト|(kawamotogurashi.jp)
「川本町子育てサポートセンター」では、親子ベビーマッサージ教室など在宅児の子育て家庭が気軽に交流できるイベントを定期的に開催しています。
出生から高校、大学まで切れ目ない子育て支援が魅力!
第4位:茨城県 境町(さかいまち)
茨城県境町の移住政策は、子育て支援、教育、住宅、雇用がセットになっています。子育て支援については、生まれる前から大学生の奨学金補助まで切れ目ない支援を展開し、小児科クリニックも町で誘致しました。小・中学校では、先進的な英語教育を無料で受けられます。また、子育て世代向けに整備した新築戸建賃貸住宅22棟に対し、全国から230件もの申し込みがあったそうです。
茨城県境町は子育て支援日本一を目指しています!英語移住しませんか? | 境町公式ホームページ
小児科専門クリニックを町で誘致しました。
第5位:北海道 新十津川町(しんとつかわちょう)
新十津川町は、北海道の中央部に位置し、西側をピンネシリ岳、東側を石狩川に挟まれた田園風景が広がる自然豊かなまちです。早くから子育て支援に取り組み、妊産婦および各世代の子どもたちへのさまざまな施策が充実しています。例えば、小・中学生の給食費完全無償化、高校生までの医療費無償化、妊婦および高校生までの子どもがいる世帯は町内のお買い物に10%のポイント還元など。ほかにも住宅取得奨励金として最大270万円が助成されます(令和6年4月1日から)。
北海道新十津川町移住・定住ポータルサイト しんとつかわに住もう
ピンネシリ岳を臨む田園風景。移住すれば、この雄大な景色を日常として楽しめます。
第5位:大分県 豊後高田市(ぶんごたかだし)
大分県豊後高田市は、本誌「2024年版 住みたい田舎ベストランキング」の人口3万人未満の市グループでは、「総合」「若者世代・単身者」「子育て世代」「シニア世代」のすべてで全国第1位を獲得。子育て支援は「未来への投資」という理念からふるさと納税を募り、それを全額活用しています。最大200万円の子育て応援誕生祝い金、中学生までの給食費無料、保育料や幼稚園授業料の無料、高校生までの医療費無料などの取り組みも目を引きます。
高校生までの医療費無料をはじめ、妊娠・出産期から子どもの高校卒業まで「8つの無料」制度を整えています。
少子化対策はどの自治体にとっても重要な課題で、経済的な支援だけでなく、育児環境やサポート体制などが問われます。きめ細かな対応が人気に反映しているようです。
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この記事を書いた人
山本一典
田舎暮らしライター/1959年、北海道北見市生まれ。神奈川大学外国語学部卒業。編集プロダクション勤務を経て、85年からフリーライター。『毎日グラフ』『月刊ミリオン』で連載を執筆。87年の『田舎暮らしの本』創刊から取材スタッフとして活動。2001年に一家で福島県田村市都路町に移住。著書に『田舎不動産の見方・買い方』(宝島社)、『失敗しない田舎暮らし入門』『夫婦いっしょに田舎暮らしを実現する本』『お金がなくても田舎暮らしを成功させる100カ条』『福島で生きる!』(いずれも洋泉社)など。
Website:https://miyakozi81.blog.fc2.com/
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