春になると、目がかゆい、鼻がムズムズ、くしゃみが止まらない……。そんなつらい花粉症に悩まされる人が多いのではないでしょうか。今回は、第一三共ヘルスケア株式会社が行った「花粉症」に関するアンケート結果をもとに、花粉について学んでみましょう。
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花粉症の代名詞「スギ花粉」が飛ぶ季節到来
皆さんは「春」と聞いて、どんなことを思い浮かべますか? 暖かくなり過ごしやすくなる、美しい花を愛でる、出会いの季節……など。さまざまな「春」に対するイメージがあるでしょう。しかし、なかにはプラスなことではなく、「嫌なこと」を思い浮かべる人もいるのではないでしょうか。たとえば、春といえば多くの人を苦しめている「花粉症」というイメージを持っているかもしれません。
そんな花粉症について第一三共ヘルスケア株式会社が全国47都道府県を対象にアンケート調査を行いました。
【調査概要】
調査名:「花粉症に関する全国調査」
実施期間:2023年12月6日(水)~11日(月)
調査委託先:楽天インサイト
調査方法:インターネット調査
調査対象:全国20代~60代男女4,700人(都道府県別・性年代均等割付)
※図表の構成比(%)は小数点第2位以下を四捨五入しています。
アンケート結果の発表の前に花粉症の原因になる植物について少し解説をしていきます。花粉症の原因となる植物は、大きくわけて2つあります。スギやヒノキなどの樹木と、イネ科やブタクサ属(キク科)といった草です。
地域によって花粉が飛ぶ時期やピークが変わってきますが、おおまかには春にスギ・ヒノキ、夏にイネ、秋にブタクサ・ヨモギ、冬になるとスギのように各季節でそれぞれが花粉を飛ばしています。特に関東と東海地方では、この花粉の流れが切れ目なく飛び続きます。そのため、なかには1年中を通して花粉症に苦しんでいる人もいるのではないでしょうか。
花粉症発症率の全国平均はなんと55.1%!
全国47都道府県の4700人を対象に「花粉症を発症した経験」の有無について質問したところ、全体で55.1%が「花粉症に発症した経験がある」と回答。なんと日本全国の半数以上の人が花粉症であるということが明らかになりました。花粉症の症状が辛く、「花粉が飛んでいないところに住みたい!」と考えている人もいるかもしれません。しかし、日本全国どこに住んでいたとしても多かれ少なかれ何かしらの花粉は飛んできてしまいます。
ただし、アンケート結果を見てみると、都道府県別で花粉症発症率にばらつきが見られました。
| 花粉症の発症率が高い都道府県は?
(第一三共ヘルスケア「花粉症に関する全国調査」調べ)
「花粉症の発症率が高い都道府県ランキング」の上位は、下記の結果となりました。
1位 静岡県 74.0%
2位 山梨県・岐阜県 71.0%
3位 千葉県 70.0%
4位 神奈川県 69.0%
5位 長野県・滋賀県 67.0%
あくまでも「花粉症の経験がある人」の割合ですが、特に1年を通して花粉が飛んでいる東海・関東地方の県が多くランクインしているのが分かります。ちなみに、最下位は23.0%で沖縄県という結果でした。
| 地域別の花粉発症率と全国のスギ植林分布
(第一三共ヘルスケア「花粉症に関する全国調査」調べ)
花粉症の原因の中で最も割合が多いスギの植林分布と花粉症発症に関わりはあるのでしょうか。
花粉症の経験がある人の割合は、地域別の結果を見てみてもやはり東海・関東地方の発症率が高いことが分かります。しかし、スギの植林面積が最も広い東北地方の発症率は、全国平均を下回る52.7%でした。
ではなぜ、東北地方より植林面積が3分の1しかない東海・関東地方で花粉症発症率が高いのでしょう? 理由のひとつは、花粉の特徴にあります。花粉の粒子は黄砂やPM2.5、ウイルスなどに比べると、30㎛あり比較的大きいサイズですが、粒子が割れるとその中から放出されるアレルギーの原因になるタンパク質などの強い成分が体内に入ることで、アレルギー症状も強くなるのです。特にスギ花粉は割れやすい特徴があります。そのため、スギの数が少ない東海・関東地方のようなアスファルトが多い場所では、花粉が地面に落ちることで割れてしまい、風に舞いやすくなり、花粉症の発症率が上がると考えられます。
まだ花粉症になっていない人も対策することで発症を予防できる?
そもそも「花粉症」になってしまうのはなぜか、知っていますか? その理由には「免疫」が深く関わっています。
人間には、異物が入ってきたときに抗体を作り体から排除する「免疫」という防衛機能が備わっています。しかし、その機能が体に入ってきた異物である「花粉」を排除しようと過剰に攻撃をしてしまうことで、体にさまざまな症状を引き起こし、花粉症を発症させるのです。
つまり、均衡がとれていたふたつの免疫が、「花粉などのアレルギーに対抗する免疫力」>「細菌やウイルスに対抗する免疫力」のようにバランスが崩れてしまい、くしゃみや目のかゆみなどのアレルギー症状を引き起こしている状態が「花粉症」ということです。
また、アレルギー体質が強い人は花粉症以外にも、他のアレルギーも引き起こしやすいことが分かっています。たとえば、子どもの頃に発症したアレルギー症状を治療せずにいると徐々に進行していき、結果的に花粉症や気管支喘息といったさまざまなアレルギー反応が出る場合があります。
大人にも同様のことが言えます。花粉症の人がある特定の食べ物を食べたあとに、喉がイガイガするなど口内や喉に何かしらのアレルギー反応を引き起こす「口腔アレルギー」を発症していたり、花粉と形が似たタンパク質を持つ果物や花粉症の原因の植物と同じ科の食物アレルギーになってしまったりするのです。
そんな別のアレルギーの発症の恐れもある花粉症にならないためには、どうしたらいいのか知りたいですよね。子どもの場合には、アレルギー対処のリテラシーを高くもち、小さい頃からスキンケアを丁寧に行ってあげることが予防に繋がります。また、もし他のアレルギー症状がある場合は放置せずに、医療機関を受診するなど症状をコントロールできるようにすることが大切です。
また花粉に触れないことも有効です。たとえば、自宅に空気清浄機を設置する、カーペットを定期的に掃除することを実践してみてください。すでに花粉症の人のために、症状や対策についても解説していきます。
半数以上が花粉症は風邪と同等以上につらいと回答
花粉症に悩まされている人は、どんな症状が出ているのでしょうか?
| 花粉症の症状
(第一三共ヘルスケア「花粉症に関する全国調査」調べ)
9割以上が「鼻水・鼻づまり」と回答しています。次に「くしゃみ」「目の充血・かゆみ」という花粉症と聞くと、まず思い浮かぶ症状が上位に並びました。ここで注目なのは、「体のだるさ」。意外にも約5人に1人が感じているというのです。花粉症は、体全体への影響を及ぼすことが分かります。
では、花粉症と似たような症状がある「風邪」と「花粉症」ではどちらがつらいのでしょうか。
| 花粉症と風邪のつらさの度合いを比較
(第一三共ヘルスケア「花粉症に関する全国調査」調べ)
「風邪と同様につらい」と「風邪よりもつらい」と回答したのは、なんと半数以上を占める66.8%でした。
花粉症により仕事や勉強への影響があるかというアンケートも行っています。その結果、約8割(78.2%)の人に支障が出ていることが分かりました。
くしゃみや鼻水、目のかゆみなどの症状が集中力の低下に繋がっているようです。他には「睡眠不足が原因のパフォーマンス低下」が挙げられます。外から持ち込まれた花粉により鼻づまりになり、呼吸がしづらくなることで睡眠不足になるようです。特に子どもは「寝不足」に気付かず、日中興奮状態になったり反対におとなしくなったりと「花粉症」と関係がないような行動をすることがあるといいます。
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