全国に広がっている住みます芸人の笑いあふれる地域協力活動にフィーチャーした、「47都道府県エリアプロジェクト(あなたの街に“住みます”プロジェクト)」をレポートする本連載。
今回は、沖縄の伝統芸能を守り、広げる活動をしているオリオンリーグをクローズアップ。オリオンリーグは、2010年6月に結成された沖縄出身の玉代勢直(たまよせ すなお)さんと剛くんのお笑いコンビ。東京で20年間活動した後、沖縄にUターン移住し、現在は住みます芸人として、沖縄県を拠点として精力的に活動しています。ツッコミ担当の玉代勢さんにお話を伺い、彼らの活動と沖縄への思いに迫ります。
CONTENTS
沖縄県住みます芸人
オリオンリーグ
左_剛くん(ごうくん)|ボケ担当。1979年6月11日生まれ。沖縄県那覇市出身。NSC東京校7期生。芸歴22年。趣味:マラソン、那覇マラソン(20回以上完走、自己ベスト3時間20分45秒)、バルーンアート、草野球(東京の芸人リーグに所属していた)。特技:バルーンアート(キャラクターを30種類ほど作れる)、指笛(葉加瀬太郎のCDに参加した経験あり)、水泳、剣道(3段)。
右_玉代勢 直(たまよせ すなお)|ツッコミ担当。1979年3月23日生まれ。沖縄県宜野座村(ぎのざそん)出身。NSC東京校6期生。芸歴23年。同期は、とにかく明るい安村 など。趣味は、三線、ギター、アメカジ散策、マラソン。特技は、ジャグリング、一輪車、作詞作曲(てびちバンドというユニットでコミックバンドとして活動中)、 筋トレ(ベンチプレス100kg)。
漫才以外にも、ジャグリングやバルーンアートなどの大道芸・三線ネタ・スタンドアップコメディ・芸人バンドてびちバンドでも活動中。
住みます芸人歴:2022年9月~
活動拠点:沖縄県那覇市
主な活動:BSよしもとのロケや中継。地域のお祭りやイベントの出演。舞台やテレビの枠にとらわれず農業・水産業・観光など地元を盛り上げるためにできることを芸人目線で探しアプローチしていく。
レギュラー:「オリオンリーグラジオフェスト」(FM那覇 毎週火曜日 16:30〜16:56)
X(旧Twitter):剛くん @horikawa_go、玉代勢 @tamayose_or
Instagram:剛くん @horikawa_go
YouTube:てびちバンドチャンネル、玉tube
【沖縄県那覇市】 |
沖縄を学びながら歴史や文化を伝えるUターン芸人コンビ「オリオンリーグ」
沖縄県には、その独特の歴史と文化を背景に、多くの伝統芸能が存在します。しかし、若い世代への浸透が課題となっている現状があります。そんななか、沖縄県住みます芸人として活動するオリオンリーグが、お笑いの力で沖縄の魅力を発信し続けています。今回は、ツッコミの玉代勢直さんにお話を伺いました。
笑い×伝統芸能で沖縄の魅力を伝えるオリオンリーグ
「僕たちオリオンリーグは、沖縄の伝統芸能を若い世代に広めることを、ひとつの使命として活動しています。たとえば、お盆の時期に踊る『エイサー(本土で言う盆踊り的なもの)』を題材としたコメディに参加したり、宮廷芸能である『組踊(くみおどり)』といった伝統芸能を、お笑いの要素を取り入れながら紹介しているんです」と、開口一番話してくれた玉代勢さん。実は、住みます芸人として活動を始めたのは、2022年9月からなのだとか。
「20歳で上京し、40歳で沖縄に帰ってきたので、20年間東京に住んでいたことになります。年に2~3回は帰ってきていたのですが、沖縄でずっと活動していた芸人より自分が知っている沖縄の情報が乏しく感じるときがあるんですよね……。
沖縄は、まちの変化が目まぐるしく変化する場所だと思っています。文化も独特です。なので、なかなか理解できないニュアンスの話などがあり、苦労しますが、それを学ぶ楽しさも感じています」
沖縄県出身であるものの、東京での活動が長くなってしまったが故に、イチから沖縄を学び直すことも多いのだとか。
「東京で活動していたときは、メディアに出たいという思いが活動の大半を占めていましたが、拠点を沖縄に移してからは、沖縄を盛り上げていきたいという気持ちが強くなってきました。東京に住んでいた期間が長かった分、地元の魅力を改めて感じるようになったからだと思います。なので、住みます芸人になってからは、より地域に密着した活動をするようにシフトしていったんです」
伝統芸能についても積極的にPR活動を始めたオリオンリーグ。次の世代につなげるために、大きな動きがあったのだとか。
「沖縄の伝統芸能である『エイサー』はとても有名なのですが、現在、青年会に加入してエイサーを実演する人が少なくなっている現状があるんです……。継承者不足にはいろいろな問題がありますが、そこで、芸人目線で沖縄の伝統芸能を伝えていくために、我々住みます芸人も参加する“よしもとのエイサー団体「吉本橙風太鼓(とうかじだいこ)」”を2023年に立ち上げました。実際にプロとして活動していたエイサーの講師を迎え、エイサーの演舞を稽古し、すでに大きな公演も経てきました。そして、たくさんのお客様に気軽に観ていただくためにエイサーだけでなく、エイサーにちなんだコメディ劇なども加え、“芸人だからできること”をコンセプトに、エイサーの楽しさ! かっこよさ! ダイナミックさ! そして、我々がみなさんにもっと届けたい“面白さ!”を伝えるべく、“令和のエイサー”を披露しています」
「沖縄伝統芸能『エイサー』の継承をテーマにしたコメディ劇と吉本橙風太鼓の本格的エイサー演舞を披露しています。伝統は重んじつつ、なるべく新鮮に感じてもらえるように、芸人ならではの演出を加えて、吉本橙風太鼓しかできない演舞を披露していきたいと思っています」
組踊の魅力を伝える漫才師の新たな挑戦
「また、庶民的なエイサーとはまた雰囲気の違った、『組踊』という、1700年代に生まれたといわれる歴史ある沖縄の伝統芸能があります。中国からの冊封使(さっぽうし:琉球国王の即位にあたり、中国皇帝からの勅書や王冠をたずさえた使者)に披露するのが目的だったため、宮廷芸能として演じられ、庶民には浸透してきませんでした。歌舞伎や能と同じように、国の重要無形文化財であり、ユネスコの『人類の無形文化遺産の代表的な一覧表』にも掲載されているんですけど、観にこられるお客さんは、年配の方々が多いんです。
組踊は“難しい”というのが正直なイメージだと思います。そのイメージを少しでも和らげ、歴史や文化を多く含んだ組踊の魅力を伝えるために、我々住みます芸人が、イベントに出演し、組踊の講師と楽しく組踊を伝え、理解してもらった後に“組踊を漫才で演じる”という活動をしています。そのおかげで、じわじわではありますが、お笑いファンをはじめ、新しく組踊に興味をもってくれる人たちが増えてきたように感じます」
「琉球芸能実演家・嘉数道彦(かかず みちひこ)さんとオリオンリーグで、毎回違う組踊を題材に公演を行っています。組踊好きな方に漫才も好きになってもらいたくて立ち上げたイベントです。上演300年以上の歴史を誇る組踊の奥深さを、現代の漫才を織り交ぜて表現しています。」
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