全国に広がっている住みます芸人の笑いあふれる地域協力活動にフィーチャーした、「47都道府県エリアプロジェクト(あなたの街に“住みます”プロジェクト)」をレポートする本連載。
今回は、滋賀県住みます芸人として13年以上にわたり、地方創生の最前線で奮闘しているコンビ「ファミリーレストラン」をクローズアップ。県内で17もの大使や役職を務め、地元の文化や風土を大切にしながら、多くの人々を笑顔にしています。ツッコミ担当のしもばやしさんにお話を伺いました。エンターテインメントの力と地域活性化の可能性に迫ります。
CONTENTS
滋賀県住みます芸人
ファミリーレストラン
左_ハラダ|ボケ担当。1976年11月8日生まれ。京都府出身。趣味は、スキー、絵を描くこと、プロ野球。特技は、料理。
右_しもばやし|ツッコミ担当。1976年5月25日生まれ。滋賀県大津市出身。NSC大阪校18期生。芸歴26年。趣味は、バスフィッシング。
2020年第1回住みます-1グランプリチャンピオン
住みます芸人歴:2011年5月~
活動拠点:滋賀県大津市
主な活動:地域のイベント、地元メディア出演、毎月単独ライブ、SHIGAGENプロジェクトの研修事業など。
【観光大使】
・近江米PR副隊長(滋賀県庁)
・犯罪抑止駐在員(滋賀県警本部)
・米原市ビワマス応援大使(滋賀県米原市)
・三成応援隊(滋賀県米原市)
・たかしま特命観光係(滋賀県高島市)
・信楽たぬきの日PR大使(滋賀県信楽町)
・草津市ブースターズ(滋賀県草津市)
・きらめき湖南天使(滋賀県湖南市)
・もーりー守山ふるさと大使(滋賀県守山市) など、現在、17の大使や役職を務めている
レギュラー:『radio max』(FM滋賀 毎週金曜日)
X(旧Twitter):はらだ @shassee1976、しもばやし @waipar525、@SHIGAGENP
Instagram:はらだ @irasshassee、しもばやし @familyshimo、@shimo.shigagen
YouTube:はらだ「しゃっせチューブ」、しもばやし「しもチャンネル【バス釣り】」
【滋賀県】 |
これが僕の生きる道・人生を諦めない・住みます芸人という生き方
滋賀県住みます芸人として13年以上にわたり、地方創生の最前線で奮闘しているコンビ「ファミリーレストラン」。ツッコミのしもばやしさんに住みます芸人になった経緯から伺いました。
未知なる挑戦への一歩 ~住みます芸人としての船出~
大阪での芸人生活から滋賀県への移住を決断したわけですが、その背景にはどのような思いがあったのでしょうか。
「大阪で長年活動していましたが、いまいち仕事も増えず……、これから芸人として、どう生きていけばいいのかを模索していたとき、2011年に吉本興業が『住みますプロジェクト』を立ち上げたんです。『これは、自分がこれからも芸人として活動していくひとつの大きなチャンスになるのではないか』と直感しました。ただ、正直なところ、最初は躊躇もありました。未知のプロジェクトですし、実際に滋賀県に移り住んで活動していくことへの不安もありました。でも、先輩の後押しや家族の理解、そして、滋賀県が自分の地元だということもあって、一歩を踏み出す決心がつきました」
芸人としてのキャリアの岐路に立たされた時期に、この住みますプロジェクトとの出会いがあったしもばやしさん。地元である滋賀県に戻ることへの思いはどのようなものだったのでしょうか。
「地元に戻るということは、ある意味で原点回帰でもありました。大阪で芸人として頑張ってきた経験を、今度は地元のために活かせるんじゃないかという期待もありました。同時に、地元の人たちに笑顔を届けたいという、そんな使命感のようなものも感じていました」
「2020年に行われた第1回『住みます-1グランプリ』ではチャンピオンになることができました」
琵琶湖の恵みとともに ~13年間の活動を振り返る~
2011年から13年以上、滋賀県を拠点に活動を続けきたしもばやしさん。この間、どのような活動を展開されてきたのでしょうか。
「まず、住みます芸人として、地域のイベントやメディアに多数出演させていただく機会をいただきました。お客のみなさんが笑って喜んでもらえる姿を見ると、本当に嬉しいですし、芸人として自分の居場所を作ってもらえたような感覚になります。また、大使や応援隊など、トータルで17もの役職を務めさせていただいています。様々な分野の方々と触れ合い、ともに地域を盛り上げていけていることに、日々感謝しています」
17もの役職というのは驚きです。具体的にはどのような活動をされているのでしょうか。
「たとえば、滋賀県の特産品PRや観光振興のための活動、地域のお祭りやイベントでの盛り上げ役、さらには環境保護活動への参加なども行っています。琵琶湖の環境保全は滋賀県にとって重要なテーマですから、そういった活動にも積極的に関わっています。また、テレビのロケや司会、自分たちの冠番組、レギュラーラジオなど、大阪ではなかなかできなかった仕事もたくさんさせていただいています。これは本当にありがたいことだと思っています」
「ビワマス応援隊としての活動のひとコマです。琵琶湖の固有種『ビワマス』の稚魚を放流して、琵琶湖で大きくなってまた産卵のために元気にこの川に戻っておいで、と応援しているところですね」
地域に根ざした多岐にわたる活動を展開し、住みます芸人として活動するなかで、もっと感謝したいことがあると言います。
「実際に住んで、活動しているからこそ、地域の方々との距離感も近く、芸人としてだけではなく、ひとりの人間としてもお付き合いさせていただいてる方も増えて、ありがたく思っています。
僕らファミリーレストランは、毎月単独ライブ『ファミレスライブ』を開催しています。おかげさまで、このライブも13年以上続いていて、回数にして130回に迫ろうかというところまできています。ここまで続けてこられたのも、変わらず応援し続けてくださっている地域の方々のおかげです。毎回、お客さんの顔を見ながら笑いを届けられることが、芸人冥利に尽きるというか、本当に幸せを感じます」
「毎月、単独ライブ『ファミレスライブ』を行っているので、よかったら遊びに来てください」
笑いの力で地域を変える ~SHIGAGENプロジェクトの挑戦~
お笑い芸人としての活動だけでなく、「SHIGAGENプロジェクト」という独自の取り組みも展開されているしもばやしさん。このプロジェクトについて詳しく聞きました。
「近年は本来のお笑い芸人としての活動だけではなく、僕自身が長年の芸人活動で培ってきたコミュニケーション術や会話術を地域の方々にお伝えして、その力で滋賀県を元気にしていこうという取り組み『SHIGAGENプロジェクト』を立ち上げました。そこで、企業研修や個人相談などを行っております」
この「SHIGAGENプロジェクト」を立ち上げた背景には、どのような思いがあったのでしょうか。
「数年前にふと、やりたいことというか、『やらないとあかんこと』が見つかったんです。
古いデータになってしまいますが、2013年に明治大学の教授が調査した『雑談力検定』っていうのがあって、実は、滋賀県が45位だったんですよ! 47都道府県のうち、滋賀県が……。さらに、2018年にJTBが『コミュニケーションが苦手ですか?』というような全国の県民アンケートを実施したら、そこでも『滋賀県民の58%以上がコミュニケーションが苦手』という結果が出たんですよね。
これは、大問題ですよ!
とうことで、滋賀県のコミュニケーション力や会話力をなんとかアップさせていかないとだめだって思ったんです。
『SHIGAGEN(シガゲン)プロジェクト』は『滋賀県を元気に』から生み出した言葉。コミュニケーション力や会話力で滋賀県を元気にしていこうというものです。地方創生もいろいろな角度からのアプローチがあると思います。そのなかで、僕の持っているものが最大限に活かせるのがこのプロジェクトなのです」
「『SHIGAGENプロジェクト』の研修風景。このプロジェクトに賛同していただける企業も増えてきています」
このプロジェクトで地域を活性化させるとは、一体どんな動きなんでしょうか。
「地方創生には様々なアプローチがあります。そして、僕がもっとも貢献できるのは、コミュニケーションの力を活かすことだと考えました。滋賀県で頑張っている企業のほとんどが中小企業です。これらの企業の活力こそが地方創生につながると考えています。そこで、コミュニケーションの力で社内環境を整えたり、個人の会話力を上げて同僚やクライアントとの良好な関係性を築くことで、企業や個人の利益増大に貢献できると考えたんですね。人間関係に『笑い』の要素は重要ですから、お笑い芸人だからこそできる地方創生の形があるんじゃないか。
僕ら芸人は、『話すことのスペシャリスト』です。僕はその芸人を25年もやっているわけですね。その自分の経験や話す技術を滋賀県の人たちに伝えていけたら、コミュニケーション力アップとか会話力アップに貢献できるんじゃないか。そう思ったんですよ」
まさに、芸人としての経験を地域活性化に直結させる取り組みです。実際に、このプロジェクトを通じてどのような変化が見られたのでしょうか。
「企業研修を受けた方々から、『社内のコミュニケーションが活性化した』『顧客との関係が良くなった』といった声をいただいています。また、個人相談では、『人前で話すことへの苦手意識が減った』『自信を持ってコミュニケーションが取れるようになった』という感想も多いですね。小さな変化の積み重ねですが、これらが滋賀県全体の活力につながっていくと信じています。笑いの力で人と人とをつなぎ、地域を元気にする。これこそが、住みます芸人としての自分の使命だと考えています」
↓↓ 次ページ「三方良しの精神で築く、滋賀県の未来」 ↓↓
この記事のタグ
田舎暮らしの記事をシェアする