昨年、長野県松川町でオープンした古民家宿「Furumachitei」。考え抜かれた骨太なコンセプトに基づいてリノベーションされた古民家施設を手がける、古民家再生のプロに取材した。
掲載:田舎暮らしの本 2024年12月号
長野県松川町
伊那谷中部、天竜川が東西に形成する段丘に広がるまち。2つのアルプスに囲まれ、果樹園や田んぼが広がる風景が特徴だ。リンゴや梨などの果樹栽培が盛んで「くだものの里」として知られている。東京から中央自動車道経由で約3時間30分。
ゲストハウス
Furumachitei(ふるまちてい)
コンセプトは「土に還る」、Airbnbで海外客が急増!
折山尚美さん
新潟県上越市(じょうえつし)出身。結婚を機に南信州に移住。アーユルヴェーダを学び、合同会社を設立。飯田市内で古民家カフェやエステサロンを5店舗経営していたが、2023年に会社を解散し、念願の古民家ゲストハウス「Furumachitei」をオープンした。
元歯医者の古民家を改装
1日2組のゲストハウスに
長野県南部、伊那谷(いなだに)のほぼ中央に位置する松川町。田んぼや果樹園が点在するのどかな住宅街に、築110年ほどの古民家を改装したゲストハウスがある。新潟県出身の折山尚美さんが営む「Furumachitei」だ。
築年数は約110年。大正時代に歯科医が建てた家とのことで、広い敷地をぜいたくに使い、平屋の母屋と蔵、それに離れの風呂がある。「インターネットで『誰かこの家借りませんか?』と情報が流れてきたんです。古民家の宿をやりたかったので、すぐに連絡し、決めました」と、折山さん。
ミニマルな雰囲気漂う、母屋の玄関から室内に入ると、広々としたリビングが現れる。以前は何部屋かに分かれていた間取りを1室にし、オークの床材を張ったそうだ。1室はそのまま残し、折山さんの部屋として利用。台所などは、宿と共同で使っている。
リビングは掃き出し窓付きで中庭に面していて、窓を開けると涼しい風が入る。かつて広縁だった場所にはレトロなソファが置かれている。「空き家歴がほとんどなかったので、大きなダメージはありませんでした。飯田市に、古民家に詳しい大工さんがいるので、床や水回りなどはその方にお任せし、塗装や掃除など、細かいところは私がDIYしました」
宿を始めたのは2023年。母屋の1室のほか、庭の蔵も改装し、1棟貸しの客室にした。Airbnbに登録したところ、インバウンドの利用者が急増したそうだ。
「この宿のコンセプトは、〝土に還る〟。改装の際も、新建材は使わずに、昔ながらの材料を使いました。次の50〜100年は住み続けることができる家なので、この土地の付加価値になってほしいなと思います」
古民家の魅力を最大限に引き出す空間づくり
天井をはがして梁を出すなど、古民家のよさを全面的に見せる間取りに変更。家具も無垢材のものを使用。
借りる前にココをCheck!
Check❶ 一番人気の母屋のゲストルーム。建具など日本建築の設えがすてき。
Check❷ 着物などを収納していた蔵なので、状態はとても良好だった。1棟貸しの客室にリノベーション。
Check❸ 中庭があるので、風通し良好。母屋、風呂棟、蔵がコの字に配置されている。
リビングに置かれた、鶏1羽が丸ごと入るクッキングストーブ。
元の台所と和室をつなげて、広々としたキッチンにした。
瓦を風呂のタイルに!
風呂に使われているのはなんと瓦! 瓦は蓄熱性がよくお湯が冷めにくいため、風呂にぴったりな素材。
【問い合わせ先】
予約はAirbnbから。
1泊素泊まり7500円~
※Airbnb(エアビーアンドビー)は、世界中の宿や体験を予約できる世界最大の民泊仲介ウェブサイト。
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