自然のそばで暮らしたいという思いから、市街地を離れて、北信の山あいへ移住したライター・あまなつ舎さん。冬の雪や夏の湿気には悩まされつつも、季節ごとに表情を変える景色や野鳥との出会いに、この土地ならではの豊かさを感じているのだとか。そんな森暮らしの様子を教えていただきました。
掲載:2025年8月号
あまなつ舎⚫︎神奈川県出身。出版社勤務を経てライターに。カルチャーやライフスタイルを中心に、雑誌やメディアで執筆。趣味は喫茶店めぐりと映画鑑賞。
長野県飯綱町(いいづなまち)
自然を求めて豪雪地帯へ。野鳥観察の新しい趣味も
バードウォッチャーの友人に来てもらって野鳥を見る会を開催。雪の中でお茶をしたのもいい思い出です。(あまなつ舎さん 以下省略)
長野県北信エリアの豪雪地帯に引っ越してきたのは、今から約8年前。それまで暮らしていた長野市の市街地も気に入っていましたが、より自然に近い環境を求めて、飯綱町の山間に立つ中古物件を購入しました。
ここでの暮らしは、まさに“森暮らし”。生活のリズムも変わりました。朝は早く目が覚めるようになり、散歩に出かけるのが日課に。キビタキがきっかけで野鳥に興味が湧き、双眼鏡と野鳥図鑑を手に入れました。
玉切りにしたリンゴの木をつつくアカゲラ。家の中から野鳥観察ができるのも楽しいです。
リンゴのまちとして有名な飯綱町。農家さんから規格外のハネダシをいただくことも多く、ありがたいです。
じつは、最初の冬は正直かなり大変で、暮らしを楽しむ余裕もありませんでした。もともと別荘として使われていた家には吹き抜けがあり、石油ファンヒーターの暖かい空気はすべて2階に。結露もひどく、寒さと湿気に耐えるのが精一杯。そんな経験を踏まえて、2年目の冬を迎える前に、念願だった薪ストーブを導入しました。これでようやく、冬に備えられました。
とはいっても、やはり豪雪地帯。雪が多い年は大変です。カーポートがないので、帰ってきたらまず雪かきをして駐車スペースを確保する必要があります。家の屋根は自動で雪が落ちる仕組みですが、落ちた雪が道路に出てしまうと、夜でもスコップを持って外で雪かき。また、夏は湿気が多く、除湿機が手放せないのも予想外でした。
それでも、山の景色の美しさ、旬の野菜や果物のおいしさ、訪れる鳥たち、ウッドデッキでの読書……、季節ごとに変わる自然に囲まれて過ごす毎日には、たくさんの発見があります。“森暮らし”は、自分に合っているなと感じています。
農家さんからもらったリンゴの木を薪に。積み上げて、1年半から2年ほど乾かしてから利用します。
“森暮らし”のアドバイス
「山の暮らしなので、当然ながら虫が多いです。初夏にはスズメバチが巣をつくるので、小さいうちに撤去するようにしています。また、倒木が原因の停電もときどきあり、対策が必要。2019年の台風のときには、1週間近く電気が止まりました」(あまなつ舎さん)
文・写真/あまなつ舎
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