毎年同じ畝で穫れる夏からの贈り物 カボチャ&トウモロコシ、インゲン
掲載:20年5月号
畝いっぱいにツルを伸ばして茂った葉の下に、 ゴロゴロと育ったカボチャを探すのは夏の菜園の楽しみです。
充分な株間をとって伸び伸び育てるのがポイントなので、 スペースの限られた家庭菜園では特に、お互いに生育を助ける相性のよい野菜と混植して畝を有効に使いましょう。
トウモロコシとインゲンは、その代表的な組み合わせです。
カボチャ、トウモロコシ、インゲンは伝説の三姉妹
(↑一般に実付きが少なめの西洋カボチャのなかにあって打木赤皮甘栗南瓜(ウツギアカガワアマグリカボチャ)は早生の豊産種。会津の品種を金沢の篤農家が選抜し、戦後に広めた固定種の伝統加賀野菜。)
カボチャは 16世紀に 、豊後国、 現在の大分県に漂着したポルトガル船によって 伝えられました 。
名称はカンボジアのウリに由来するといわれ、その後、 日本カボチャとして各地で多くの品種 が生まれます 。
西洋カボチャは幕末に米国 から伝わりました。北海道から戦 後は品種改良が進んで全国へ 。
現在、最も普及するホクホクし た食感の栗カボチャはこの仲間です。
自然生えのカボチャは実が腐熟したり、大型動物に食べられた後、ふんが分解するなどして肥沃化した土から発芽します。
これを模したクラツキを準備するのが栽培の秘けつです 。
品種選びのアドバイス
暑さが苦手な西洋カボチャ、暑さ大好き日本カボチャ
西洋カボチャ
暑さが苦手。比較的保存性に優れ、収穫後1カ月以上置いて追熟させると甘味が増します。
「打木赤皮甘栗南瓜」は育てやすく赤い実がたくさんなります。食感はホクホクとねっとりの中間。
スープ、煮物、天ぷら、お菓子にも合います。
「かちわり」はホクホクした栗カボチャ。育てやす く12月~1月まで保存できます。
(↑かちわりは山形県米沢市の在来種から選抜育 成された中晩生の交配種。)
日本カボチャ
暑さを好み、収穫の1週間後が食べごろ。保存には向きません。
「バターナッツ」は暑さで旺盛に育ち多収。どんな料理にでもおいしい万能選手。
日本カボチャのなかでは例外的に12月末まで保存可。
(↑バターナッツ。米国で作出、バターのように滑らかでナッツのように甘いと命名された固定種。)
主なコンパニオンプランツ
畝のスペースを有効に使いながら育ちをよくする
トウモロコシ
効果
暑さを嫌うカボチャとの混植に向く。
風を防ぎ、カボチャのツルがつかむ手がかり になるため、カボチャが安定して育つ。
いずれも連作できるので、カボチャとトウモロコ シのセットで毎年同じ畝に固定するのもお すすめ。
どちらも受けやすい獣害への対策も同時にできる。
栽培のポイント
カボチャに負けないよう、種蒔きはカボチャの定植10日前に。
1カ所に4粒ずつカボチャ同様に並べ、種の硬くとがった部分から土に差し込むように蒔く。
発芽後に間引き、本葉3~4枚で1本立ちにする。
収穫のポイント
絹糸が褐色に枯れたら実入りを確かめて穫る。
(↑トウモロコシに向かってカボチャのツルが伸びるように育てる。)
インゲン
効果
根粒菌が窒素を固定する。トウモロコ シとの混植でインゲンの連作障害が起きにくくなる。
栽培のポイント
ツルあり種をトウモロコシの 茎を支柱に育てる。トウモロコシの丈が50 cmに伸びたら、株元に3~4粒ずつ種を蒔く。
収穫のポイント
サヤの中がゼリー状のとき に穫る。穫れば次々と実を付ける。
(↑本葉が出たら2本に間引く。)
監修/竹内孝功
たけうち・あつのり●1977年生まれ。長野県を拠点に菜園教室「自然菜園スクール」などを開催。著書に『とことん解説! タネから始める 無農薬「自然菜園」で育てる人気野菜 』( 洋泉社 ) 、『 完全版 自給自足の自然菜園12カ月 野菜・米・卵のある暮らしのつくり方』(宝島社)、『これならできる!自然菜園』(農文協)、『自然菜園で野菜づくり』(家の光協会)、『1 m²からはじめる自然菜園』(学研パブリッシング)など。
WEBサイト「@自給自足Life」https://39zzlife.jimdofree.com/
自然菜園スクール http://www.shizensaien.net/
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