品種を選んで春と秋に種蒔きできる ダイコン&ニンジン
掲載:21年2月号
古くから栽培され、各地の在来品種も多いダイコンは、比較的やせた畑でも育てやすい野菜です。
暑い時期と寒い時期を除けば、周年栽培も可能。
春先はとう立ちしやすいので、春蒔き用の品種を育てます。
秋が最も育ちやすい季節です。
ニンジンと一緒に栽培するとお互いの虫よけにもなり、よく育ちます。
比較的少肥でもよく育ち、間引くほど大きくなる
(↑青首系品種のダイコンは地面から肩を出して地上にも伸びる。)
ダイコンはもともと、乾燥した石ころだらけの砂漠のような土地に自生していました。
発達した根が水を求めるだけでなく、ギザギザの葉の表面のうぶ毛からも水分を吸収します。
水はけよく適度な水分があればやせ地でも育つ、根性のある野菜です。
弥生時代には日本に伝来。
江戸時代に白米が食べられるようになると、米ぬかと発酵させたたくあん漬けが考案され、ぬかに含まれたビタミンを補う食品として普及します。
材料のダイコンは各地に多くの品種が生まれ、栽培時期も広がり、練馬、三浦などの産地もできました。
種蒔きは春と秋。時期に適した品種を選んでください。水はけの悪い畑では高畝に。
耕さない自然菜園でも立派に育ちます。
土中には曲がりや又根の原因になる石や未熟な堆肥などを入れないようにしましょう。
ニンジンと混植すると葉が虫害を避けるとともに、お互いの生育を促します。
品種選びのアドバイス
虫の寄りにくい野菜を混植する
青首系品種は作土層が浅くてもよく育つ
各地で古くから多くの品種が生まれました。
作土層の深い地域では根が深く潜る白ダイコン、作土層が浅い地域や水位が高い畑では、肩が地上に伸びる青首ダイコンの系統が見られます。
地域風土に合った在来種は栽培しやすいので、ぜひ育ててみてください。
紹介するのは秋蒔き品種です。
春蒔きには、「二年子(にねんご)」「時無(ときなし)」など、とう立ちしにくい春用の品種を選んでください。
打木源助(うつぎげんすけ)ダイコン
青首の早生、短円筒型で育てやすいです。
柔らかく多汁ですが煮崩れしにくく、おでんなど煮物にすると特においしい品種。
スが入りやすいので遅れずに穫ります。
(↑打木源助ダイコンは石川県金沢市打木町の篤農家が宮重(みやしげ)系統から昭和7年に導入、10年間選抜して育てられた加賀野菜。)
宮重(みやしげ)大根
愛知県で生まれた青首系ダイコンで、作土が浅い畑でもよく育ちます。
甘味があり、生食、煮物、漬物と万能に使えます。
(↑「宮重大根」はポピュラーな「耐病総太り」をはじめ、多くの青首系品種のもとになった。)
聖護院(しょうごいん)大根
作土の浅い畑でもよく育つ丸形のダイコン。
寒さに強く、気温が下がった後も根がじわじわと太ります。
きめ細かく柔らかで、煮物や漬物にするとおいしいです。
(↑古くからの京都のダイコンと宮重の交雑で生まれたとされる。)
主なコンパニオンプランツ
虫の寄りにくい野菜を混植する
ニンジン
効果
虫害予防。生育促進。
栽培のポイント
ダイコンの隣に混植。
春はダイコンと同時、夏はニンジンを先に種蒔きする。
収穫のポイント
間引きながら葉ニンジンとして収穫し、肩の直径が500円玉ほどに育ったら順次収穫する。
(↑ニンジンは間引いて太らせ、500円玉の太さに育ったら収穫開始。そのうえ大きく育っても抜かずに置くと、根が割れやすい。)
シュンギク
効果
虫害予防。
栽培のポイント
ダイコンの隣に混植。1週間早く種蒔きする。
収穫のポイント
初期は間引きながら収穫。
株立ち型のシュンギクは、丈が15㎝に育ったら摘芯し、伸びた側枝を刈り収穫する。
(↑朝穫りしたほうが苦味が少なくおいしい。)
監修/竹内孝功
たけうち・あつのり●1977年生まれ。長野県を拠点に菜園教室「自然菜園スクール」などを開催。著書に『とことん解説! タネから始める 無農薬「自然菜園」で育てる人気野菜 』( 洋泉社 ) 、『 完全版 自給自足の自然菜園12カ月 野菜・米・卵のある暮らしのつくり方』(宝島社)、『これならできる!自然菜園』(農文協)、『自然菜園で野菜づくり』(家の光協会)、『1 m²からはじめる自然菜園』(学研パブリッシング)など。
WEBサイト「@自給自足Life」https://39zzlife.jimdofree.com/
自然菜園スクール http://www.shizensaien.net/
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