連作障害を回避!菜園プランをシンプルにする最強コンビ ジャガイモ&ネギ
掲載:21年3月号
店頭に並ぶ種イモに菜園シーズンの到来を感じるジャガイモは、家庭菜園の人気者。
とはいえ連作障害の引き金になる要注意野菜です。
同じナス科のトマト、ナスなどに病虫害が広がるうえ、アブラナ科などとの相性も悪く、植える場所に悩みます。
これを解決するのがジャガイモとネギを交互に連作する方法です。
ほかの野菜から離した独立した場所で、毎年同じ量のジャガイモとネギが収穫できます。
ジャガイモとネギは専用区で交互に育てる
(↑アンデスレッド。中身は黄色でβカロテンに富む。)
原産地の南米アンデスでは、ジャガイモは専用の区画で育てられ、その区画でほかの作物は栽培しません。
ジャガイモはほかの作物の生育を阻害するアレロパシー作用が強く、多くの野菜と相性がよくないからです。
そのうえ、連作すると病気や収量の減少、ネズミの食害などを招きます。
家庭菜園の人気者ですが、栽培には毎年場所を変え、ジャガイモから病虫害が拡大しやすいナス科の隣を避けるなど、思いのほか注意が必要でした。
単独での栽培がなかなかうまくいかないので、コンパニオンプランツに注目しました。
見つけた解決策が、ジャガイモとネギを交互に栽培する交互連作です。
こうすれば、ジャガイモは毎年同じ専用区で育てられます。
交互連作を可能にしているのはネギの根に棲む共生菌です。
共生菌は抗生物質を出して土中の病原菌を減らし、ジャガイモに最適な土を育ててくれます。
ジャガイモとネギの交互連作は家庭菜園の新しいスタンダード。
ぜひ取り入れてください。
品種選びのアドバイス
品種を使い分けて春と秋の二期作
多くの品種があり、店頭にもバラエティー豊かに並ぶようになりました。
早生種・晩生種、ほくほくの粉質や煮崩れにしくい粘質、色など、それぞれ特徴があります。
また、休眠が深く貯蔵性の高いものと、休眠が浅く貯蔵性は低いものとがあり、秋作には必ず後者を選びます。
グランドペチカ
無農薬専用品種といわれるほど育てやすく、ほくほくとしておいしい。
休眠が深く保存性に優れる。
(↑外見は紫と赤のまだら模様だが、中身は黄色。別名はデストロイヤー。)
アンデスレッド
育てやすく多収。休眠が浅く収穫後短期間で芽が出てくるため、秋作にも向く。
ほくほくした食感で美味。
出島(でじま)
二期作用品種として長崎で作出された。
育てやすく多収、イモが大きくなりやすい。
食感は粉質と粘質の中間。
(↑芽が浅く形がよい。中は淡黄色で煮崩れしにくい。)
主なコンパニオンプランツ
ネギを中心に、バジルやつるなしインゲン、エダマメも
ネギ
効果
前後作として交互に植え替えると連作できる。
一緒に植えると病虫害を予防し、生長を促進、ネズミを除ける。
栽培のポイント
交互連作では収穫と同時に後作を植え付ける。
混植は1株おきに植え付け、ジャガイモと同時に土寄せする。
春作には根深ネギ、秋作には葉ネギが向く。
収穫のポイント
春作の混植ではジャガイモの収穫と同時に掘り取って植え替える。
秋作の混植ではジャガイモより先に、食べる分だけ収穫していく。
(↑夏のジャガイモ収穫後の植え替え用として、春に苗を仮植えしておくとよい。)
バジル
効果
ニジュウヤホシテントウを避ける。
生長促進。
栽培のポイント
ジャガイモの外縁にバジルの苗を植え付ける。
ジャガイモと同時に土寄せする。
収穫のポイント
花を咲かせないよう摘芯を繰り返しながら次々に収穫する。
(↑わき芽が伸びたら、その先を切り穫って利用する。)
つるなしインゲン
効果
お互いの生長促進。
栽培のポイント
ジャガイモとインゲンを1株おきに植え付ける。
収穫のポイント
サヤの中に種ができる前にどんどん収穫。
インゲンの収穫後にジャガイモを穫る。
(↑中に種ができると硬くなるので遅れずに獲る。)
監修/竹内孝功
たけうち・あつのり●1977年生まれ。長野県を拠点に菜園教室「自然菜園スクール」などを開催。著書に『とことん解説! タネから始める 無農薬「自然菜園」で育てる人気野菜 』( 洋泉社 ) 、『 完全版 自給自足の自然菜園12カ月 野菜・米・卵のある暮らしのつくり方』(宝島社)、『これならできる!自然菜園』(農文協)、『自然菜園で野菜づくり』(家の光協会)、『1 m²からはじめる自然菜園』(学研パブリッシング)など。
WEBサイト「@自給自足Life」https://39zzlife.jimdofree.com/
自然菜園スクール http://www.shizensaien.net/
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