掲載:2022年4月号
2本に仕立てて根も枝葉も2倍、草マルチして長期栽培で収量2倍
トマトのなかで最も育てやすくて多収、ビタミンやミネラルを特にたっぷり含むのがミニトマトです。ポイントはしっかりとした支柱に誘引し、2本に仕立てること。根と枝葉が2倍で光合成も2倍、収量は2倍以上になります。次々に収穫して夏から秋まで長く楽しみましょう。
1 日当たりよく、水はけのよい土を準備する
トマトの原産地は南米アンデス山脈の高地です。乾燥して日差しが強く昼夜の温度差が大きい気候を好みます。高温多湿の日本では、日当たりと水はけのよい畝(うね)を選びましょう。雨が降ると水たまりのできる畑では根腐れが起きやすく、病虫害が出やすいです。
やせ気味の畑で育ち、養分が多過ぎると樹ボケといって実が付きにくくなります。畑を始めたばかりの特にやせた畝では、定植の1カ月前にはもみ殻くん炭、完熟堆肥などを鋤き込み、畝立てしましょう。
2 揺れないように支柱を定植前にしっかり立てる
トマトは枝葉の受光量と収穫が比例します。大風でも負けないように、揺れない支柱が大切。植える前にしっかり支柱を立てて、トマトを常に誘引できるようにしましょう。定植後に立てると根を傷める場合があります。家庭菜園向きで風雨で揺れにくく、2本仕立てに最適なのは4本のティピー型です。
3 定植の3時間前から底面給水
根をしっかり張らせるコツは①根に勢いのある若苗を植える。②底面吸水で水を蓄えた苗を定植。③しっかりと鎮圧して周囲の土と根鉢をなじませる。定植は地温の上が る晴天の正午から午後3時にするとスムーズに根が伸びます。
4 Y字に2本仕立てで収量2倍
トマトの葉の付け根から出るわき芽は、最初の花が咲いたタイミングで花のすぐ下の1本を残し、そのほかはすべて欠き取ります。こうして花の真下の強いわき芽を伸ばし、Y字の2本に仕立てると、根がよく張り、株全体に日がよく当たり、病虫害に強くなります。わき芽を伸ばした放任では日当たりや風通しも悪くなりがち。実が小さく、なかなか赤くなりません。
5 穫れば穫るほど収穫アップ
赤く完熟した実は全部収穫します。ただし雨が降る前は、雨で実割れするので、色がさした実も全穫りしてください。週一家庭菜園では、早め早めの収穫をすると、どんどん赤く実が付き、収穫量がアップします。
6 補いは収穫期に2週おきのペースで
トマトの定植後、周囲の草が伸びてきたら刈って草マルチを重ねていきます。
収穫開始後は2週間おきに草マルチし、その上から米ぬかを撒いて補います。米ぬかは草マルチの発酵を促して土を豊かにし、善玉菌を増やしてトマトの病気を防ぎます。さらに米ぬか自身が微生物のエサになり、分解されると養分に変わります。こうして甘い実が長期収穫できるようになります。
監修/竹内孝功
たけうち・あつのり●1977年生まれ。長野県を拠点に菜園教室「自然菜園スクール」などを開催。著書に『自然菜園で育てる健康野菜ゼロから始める無農薬栽培』『完全版自給自足の自然菜園12カ月野菜・米・卵のある暮らしのつくり方』(宝島社)、『これならできる!自然菜園』(農文協)ほか多数。
WEBサイト「@自給自足Life」https://39zzlife.jimdofree.com/
自然菜園スクール http://www.shizensaien.net/
文・写真/新田穂高 イラスト/関上絵美・晴香
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