掲載:2022年8月号
兵庫県丹波地域の里山の間伐材を用いたロッジ「KOBOhut」。約10年後に解体し、再び間伐材を使って新しいロッジに建て替えることで、里山の定期的な間伐を応援する循環型ロッジだ。アウトドアを楽しみながら里山を守る、という新しい防災の取り組みが今、注目されている。
防災会社が手がける、里山を守るロッジ
面積の約75%を森林が占め、「丹波(たんば)の森」と称される兵庫県の丹波地域。日本の美しい原風景が広がる丹波市青垣町(あおがきちょう)の里山に、循環型ロッジ「KOBOhut」がある。手がけるのは、神戸市で防災サービス事業を展開する㈱神防社(こうぼうしゃ)。丹波地域の森林整備を担う㈱森のわと協力し、「里山の保全」と「防災」を掛け合わせた取り組みとして、昨夏、ロッジの発売を開始した。
KOBOhutの大きな特徴は、約10年後の解体、建て替えが前提ということ。丹波地域の里山の間伐材でつくったロッジを、間伐の適切なサイクルである10〜15年に合わせて解体し、新たな間伐材を用いて建て替える。
間伐は、土砂災害や洪水被害を防ぐために重要な山の管理だが、山林所有者の費用負担が大きい。そこで、KOBOhutの収益の一部を山林所有者に支払い、定期的な間伐の実施を応援するのが、丹波の里山を保全する循環型の事業の仕組みだ。ロッジは10年間の定期借家契約で、購入代金には解体費用が含まれている。利用後に空き家問題が生じないのも気軽に購入できるポイントで、10年以上の継続利用の相談も可能だ。
二地域居住や備蓄小屋、福利厚生施設としても〇
約10㎡のロッジと広々としたデッキからなるKOBOhutは、トイレやシャワーも完備。ダブルタイプは標準仕様のロッジに、居室として使えるロッジ1棟が追加される。デッキに焚き火スペースがあるのもうれしい。アウトドア小屋として楽しむのはもちろん、二地域居住やワーケーション、備蓄小屋、避難先としての利用もオススメだ。自宅以外の拠点を確保することは、災害時のリスクの分散になる。また、SDGs(持続可能な開発目標)の「12番 つくる責任つかう責任」と「15番 陸の豊かさも守ろう」を取得しているため、福利厚生施設などとして、SDGsに取り組みたい企業にも向いている。
車で5〜10分ほどの距離にスーパーとコンビニ、道の駅があり便利。近くには紅葉で有名な高源寺をはじめ、イチゴ狩りやアマゴのつかみ取りなど、里山の四季を楽しめる施設も多い。現地見学の際は車がオススメだ。
シングルタイプ 10年間契約638万円(税込)
1~2人がゆったりと生活できる大きさのロッジ。トイレ、シャワー、ロフト付き。広いデッキには焚き火スペースや流し台があり、テントを張ったりビニールプールなども楽しめる。
オプション料金:焚き火台/20万6800円、ロフトはしご/6万6000円、内部照明器具/1万1000円、外部照明器具/2万3760円、木製の入り口網戸/12万6500円、6畳用エアコン /9万9000円
ダブルタイプ 10年間契約1210万円(税込)
シングルタイプ1棟に加え、居室スペースが広いロッジ1棟の2棟からなる。デッキの広さ、形はロッジの位置により異なる。
「2050年カーボンニュートラルの実現」の取り組み
KOBOhutは、2020年に国が宣言した、2050年までにカーボンニュートラル(温室効果ガスの排出量と吸収量を均衡させること)を実現させる取り組みにもなっている。間伐材は森林が吸収した炭素を貯蔵しており、建築物などに利用することで、「都市等における第2の森林づくり」として地球温暖化防止への貢献が期待されている。
※シングルタイプ1棟に使用される間伐材の炭素貯蔵量は約2.3t-co2(トンシーオーツーは温室効果ガスの量を二酸化炭素の重量に換算した単位。1t-co2は25mプール約1面分の体積、スギの木約71本が1年間に吸収する二酸化炭素量に相当)
見学は現地と神戸で可能
見学は、現地である「KOBOhut丹波」(兵庫県丹波市青垣町)と「KOBOhut神戸ショールーム」(兵庫県神戸市北区山田町)の2カ所でできる。詳細は予約時にご案内。電話予約は平日のみだが、オンライン予約はいつでも可能。見学は土・日・祝日も可能。
問い合わせ先:㈱神防社 ☎︎078-241-3505 https://kobohut.com
文/大久保春花
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