掲載:2023 年2月号
2023年版 第11回「住みたい田舎ベストランキング」(人口5万人以上10万人未満のまち)で子育て世代部門、シニア部門で1位に輝いた大分県宇佐市。2014年から上位を維持する背景に、いち早く力を入れてきた移住・定住施策がある。09年から市政のかじ取りを担ってきた是永市長に、まちづくりへの思いを伺った。
移住の負担軽減とともに
定住満足度を向上させる
瀬戸内気候区に属する宇佐市は年間通じて温暖で、海と山に挟まれて平野が広がる日本の縮図のような自然環境です。歴史・文化も深く、神仏習合の発祥地とされる宇佐神宮はその象徴といえるでしょう。
平野部には大分県内最大の穀倉地帯が広がるほか、シャインマスカットなどの果樹栽培やワインづくりが行われている中山間地域、ネギを中心とした野菜の産地である海岸部など、農業が盛ん。遠浅の海では古くから漁業が営まれてきました。アクセス面では鉄道や高速道路が整っており、ほどよい田舎暮らしができる条件が揃っています。
市の支援制度を利用した移住者は、2020年度まで年間100人前後で推移していましたが、21年度は148人に増え、今年度は200人に達する勢いです。さらに強化した手厚い移住支援とともに、「定住満足度日本一、交流満足度日本一のまち」を目標に、子どもからシニアまで切れ目のない施策を展開してきた結果だと考えています。
例えば、近年は自動車部品メーカーが数多く立地。企業誘致実績は県内トップクラスで、若い方の雇用の場をしっかりと確保してきました。シニア向けでは「高齢者ふれあいサロン」を100カ所以上に展開しています。そのほか介護予防教室などの成果もあり、市内の介護認定率は、私の市長就任当初の約21%から約18%へと改善。高齢化率が約30%から約37%へと上昇していることを考えると、大きな効果が出ています。
まちの未来につながる
子育ての環境を整備
一貫して力を入れているのが子育て支援。5万円の祝い金は出産時(第3子以降7万円)、小・中学校入学時に加えて、21度から高校入学時も対象とし、医療費助成も高校生まで広げました。働きながらの子育てを応援するため、放課後児童クラブは小学校24校に対して現在25カ所を設置。地域の子どもは地域で育てるという哲学に基づき、私が市長になって以降、小学校の廃校は1校もなく、小規模校でもしっかりと教育が受けられるよう教員を配置しています。
施策のニーズを知るため、私が就任当初から続けている「市長おでかけトーク」など、市民の方と対話する機会も設けています。ときには「住みたい田舎ベストランキング」を参考に、上位のまちとの違いが何かを職員と精査し、県外から移住した子育て世帯向けの住宅取得費・改修費の補助金増額や、独自性を打ち出すためのマイカー取得補助金の新設につながりました。
まだまだ道半ばです。私が大分合同新聞社読者文芸コンクールで第一席を受賞した川柳「木鶏(もっけい)を目指し結実双葉山」は、宇佐市出身の大横綱である双葉山にちなむもの。私も木鶏(木彫のニワトリ)のように泰然自若とした姿勢で、今後も市政の課題に向き合ってまいります。
【大分県宇佐市】
国東半島の西側に接し、『古事記』『日本書紀』に登場するほど歴史が深い宇佐市。周防灘や県内一の穀倉地帯が広がる北部から、国指定名勝の耶馬渓に含まれる南部の山岳地帯まで変化に富んだ景観をなす。大分空港から車で約50分。
【宇佐市TOPICS】
地域おこし協力隊を募集中!
宇佐市では過疎化・高齢化が進む地域を中心に19カ所のまちづくり協議会を設置し、地域おこし協力隊と一緒に地域活性化に取り組んでいる。その活動にあたる隊員を若干名募集中。任期中に地域への愛着が深まり、そのまま残る定住率が72%余りと高いのも宇佐市の特徴だ。
最大100万円のマイカ-取得補助
2022年度から新たに始めた移住支援のうちユニークな取り組みが、子育て世帯を対象にした「移住促進マイカー取得補助金」。中学生以下の子どもがいる県外からの移住者に対し、市内での交通手段として不可欠なマイカー購入費の4分の1、最大100万円を補助する。
【宇佐市の移住支援窓口】
まちづくり推進課
大分県宇佐市大字上田1030-1
☎0978-27-8170
https://www.usacitylive.com/
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