田舎でのお悩みを、田舎暮らしのベテランライターが回答。今回は、取得した土地の地盤に対する不安。
5年前に500坪の原野を300万円で取得。そろそろ建築しようと地元の工務店を訪ねたら、「あそこは昔、沢が流れていて、ゴミが捨てられていたときもあった。不同沈下(ふどうちんか)しないかなあ」と言うのです。家を建てる前に地面の中の様子を知りたいのですが、重機で掘り返すほど手間やコストはかけたくありません。手軽に調べるには、どうしたらいいでしょうか。
岡山県在住 財前さん●56歳
軟弱地盤で起きやすい不同沈下という現象
軟弱な地盤に家を建てると建物が均一ではなく、不揃いに沈下することがある。それが不同沈下という現象で、基礎に亀裂が入ったり、窓が閉まりにくくなる。基礎と接地面では建物と地盤が力比べをしており、地盤が負けてしまうのだ。
財前さんは建築前に軟弱地盤の情報を得たからよかったが、もし建ててしまったら後の祭り。田舎暮らしを楽しむどころではなくなるので、地盤に不安がないかを建築士にアドバイスしてもらうことが大切だ。
簡単に調べられる地盤調査の方法あり
住宅の建築現場で、地盤を簡単に調べられる方法がある。それがスウェーデン式サウンディング試験。これは重りを付けたスクリューを地面に押し込みながら、地盤の硬さを数力所で測定するものだ。地盤調査の会社に依頼すると通常は数時間で終了し、費用も数万~10万円程度ですむ。
地盤調査が終了すれば、対策は自ずと決まってくる。地耐力(地盤が建物の荷重に耐えられる力)が1㎡当たり5t以上と診断されれば、普通の布基礎でOK。地耐力が3t以上5t未満のやや軟弱な地盤なら、ベース幅をもっと広げなければならない。
軟弱地盤とは、地耐カが3t未満のものを指す。その場合は、ベタ基礎を選択すべきだ。網の目に鉄筋が入っており、布基礎(ぬのぎそ)に比べて強い。ただし、土地が良好地盤と軟弱地盤の両方にまたがっていたり、地中に大きな岩が存在したりすると、テコの原理で傾くこともある。もし地下に硬い地盤があれば、そこまでマツかコンクリート製の杭を打ち込むのも1つの手。それで基盤を補強するのだ。ただし、硬い地盤が数mの浅いところにある場合に限られる。
文・写真/山本一典 イラスト/関上絵美
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この記事を書いた人
山本一典
田舎暮らしライター/1959年、北海道北見市生まれ。神奈川大学外国語学部卒業。編集プロダクション勤務を経て、85年からフリーライター。『毎日グラフ』『月刊ミリオン』で連載を執筆。87年の『田舎暮らしの本』創刊から取材スタッフとして活動。2001年に一家で福島県田村市都路町に移住。著書に『田舎不動産の見方・買い方』(宝島社)、『失敗しない田舎暮らし入門』『夫婦いっしょに田舎暮らしを実現する本』『お金がなくても田舎暮らしを成功させる100カ条』『福島で生きる!』(いずれも洋泉社)など。
Website:https://miyakozi81.blog.fc2.com/
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