田舎でのお悩みを、田舎暮らしのベテランライターが回答。今回は、橋がないと渡れない家の進入路をどうしたらいいか、また急斜面の進入路についてお話します。
約1000坪で100万円の安い山林を購入。敷地は川の向こうにあり、鉄板を渡しただけの橋が架かっていました。4年後に訪れると鉄板がたわんでいて、車で渡るのが怖くなりました。改めて山の中を歩いたら思ったよりも急斜面。近くの業者に「土地代くらいで橋と進入路の工事ができないか」と聞いたら、冗談でしょと笑われてしまいました。
山形県在住 中野さん●29歳
橋を架けるときは、河川管理者の許可が必要
とりわけ安い土地は、傾斜がきつい、北斜面が多いなど、大きな欠点を抱えているものだ。中野さんが購入した、橋がないと渡れない土地もその1つ。橋があっても、木製は風化し、鉄板なら腐食する。そこを車で進入するのは危険だ。
川に橋を架けるには、知事や市町村長など河川管理者の許可が必要。窓口は地方によっても違うので、市町村の土木部や建設部などで確認しよう。自治体からは橋の設計について指導される。普通はコンクリート床板の構造を指定されるので、費用は小さな橋でも100方円くらい見ておいたほうがいい。
急斜面の進入路は迂回路のほうがベター
中野さんは橋で進入する土地を買ったが、川の向こうが急斜面で路線の決定に頭を抱えてしまった。傾斜地に進入路を設けるには、どこに注意したらいいのだろう(図参照)。
建設場所までの進入路は、直線にしたほうが距離が短く、土木費用は安いと考えるもの。しかし、急斜面ではしっかりした路面にしないと、車の進入に支障が出る。目安がほしいところだが、道路勾配は高低差を百分率で表す。例えば、10%勾配とは、10m進んで1m上がる勾配を指す。普通乗用車なら砂利道で10%勾配、舗装道路で20%勾配くらいまでに抑えたいところだ。
勾配の緩い迂回路は、距離は長いが、砂利道で大丈夫なら費用は安くすむ。このケースでは橋と合わせて、最低200方円は必要だろう。安い土地ほど、工事費は高くなるものだ。進入路の路線は、排水や日当たりの悪い場所を避けることも大切。なお、建築質材の運搬には4t車の乗り入れが必要なので、道路幅は3m以上を確保したい。
文・写真/山本一典 イラスト/関上絵美
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この記事を書いた人
山本一典
田舎暮らしライター/1959年、北海道北見市生まれ。神奈川大学外国語学部卒業。編集プロダクション勤務を経て、85年からフリーライター。『毎日グラフ』『月刊ミリオン』で連載を執筆。87年の『田舎暮らしの本』創刊から取材スタッフとして活動。2001年に一家で福島県田村市都路町に移住。著書に『田舎不動産の見方・買い方』(宝島社)、『失敗しない田舎暮らし入門』『夫婦いっしょに田舎暮らしを実現する本』『お金がなくても田舎暮らしを成功させる100カ条』『福島で生きる!』(いずれも洋泉社)など。
Website:https://miyakozi81.blog.fc2.com/
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