2023年の全日本クラブ野球選手権大会で優勝を飾ったのは、岡山県美作市(みまさかし)に本拠地を置くショウワコーポレーションのクラブチーム。そのチームを率いたのが、福岡ソフトバンクホークスや中日ドラゴンズで活躍した亀澤恭平氏。元プロ野球選手が、たった2年で岡山県のクラブチームを日本一へと導いた、その秘訣を伺いに、雲海で有名な岡山県美作市にあるショウワコーポレーションの専用グラウンドを訪ねました。
【亀澤恭平】
かめざわ きょうへい|1988年10月15日生まれ。岡山県津山市出身。身長:174cm、体重:78kg、投打:右投・左打、ポジション:二塁手、三塁手、遊撃手。作陽高等学校から環太平洋大学を経て、2011年にプロ野球独立リーグ・四国アイランドリーグplusに所属する香川オリーブガイナーズに入団。2012年のドラフト会議で福岡ソフトバンクホークスから育成2位で指名され、入団。2015年には中日ドラゴンズに移籍し、2019年まで活躍。その後、沖縄初のプロ野球チーム・琉球ブルーオーシャンズに入団。選手兼コーチなどの経験を積み、2021年9月にショウワコーポレーションの臨時コーチに就任、同年11月からは、監督として手腕を振るっている。2023年の全日本クラブ野球選手権ではチーム初となる優勝を達成した。
まずは、チームのプロモーション映像を御覧ください。
雲海球場こと、大芦高原野球場で、選手たちは日々練習に励んでいます。
取材日は、軽めの練習メニューでした。
練習が終わり、一息つく亀澤監督にお話を伺いました。
全日本クラブ野球選手権大会、日本一おめでとうございます。2年間の指導の賜物だと思いますが、心がけてきたことはありますか
亀澤監督(以下省略)「心がけてきたことは……、『練習と試合を分けるな』ということですね。常に練習のときに『ゲームを想定してやっていこう!』とチームのメンバーに伝えています。そこが一番重きを置いているポイントですね。
それと、誰よりも熱量が高いのは自分だと思っています。そのうえで、毎日選手を指導していますし、 やはりトップの人間が意識を低くしてしまったら、選手にもそれが伝播してしまうので、 “僕が一番勝ちたいという、強い思いを持って”選手と接するようにしています。そのため、勝ったときはしっかり『ありがとう』っていう言葉を伝えています。
僕はもうプレイヤーじゃないですが、チームとして常に勝つための努力をしています。そして、選手は監督の考えを理解して行動に移してくれます。それに対しての『ありがとう』なんです」
チーム全体が応えてくれているということですね
「現役のときは、自分自身の能力を上げるために毎日努力してきたものが、指導者になってからは、視野を全体に広げないといけない、 少しの環境変化にも気づかなきゃいけない、という思考に変わりました。そして、本当に親身になって、選手の立場で会話することに注力して、指導しています。それがうまく選手たちの努力と噛み合ったので、自ずといい方向に進んだのだと思います」
選手の守備練習を外野から見守る亀澤監督。
確かに、そうですね。今回取材をして気づいたのですが、グラウンドで選手を見守っている姿が長く見受けられました
「僕から話しかけることもあるんですが、 できるだけ自分で気づいてプレーに活かしてほしいと考えています。『自分の変化を自分で気づくために、何をしたらいいのか』っていうところを、多分選手たちは考えていると思います。先ほどもお話ししたように、やっぱり練習と試合が、どこまでの差があるのかっていうところも、まだまだ気づいていかないといけない部分です。その違いを普段の練習で見て、『いい時はこういうふうにやっていた』などと、身振りを加えてアドバイスをするようにしています。また、普段通りのプレーができていない選手に対しては、普段通りにプレーできるようなアドバイスを送る。そういったことが選手を育てる大事なポイントだと思っています。
ただ、僕もまだまだ新米監督です。日々試行錯誤です。わからない部分もたくさんあります。やっぱり野球にはないんですよ、正解は。僕もいろんな壁にぶち当たりながらやってますし、 いろんな失敗して、やっぱり学んでの繰り返しです。新しいことをどんどん取り入れながら、引き出しをなるべく多くしようとしている最中ですね」
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