先人の教えや参考にしているものなどはありますか
「それはもうたくさんありすぎて、お話するにもキリがないほどです。やはり、プロとして迎え入れてくれた球団=ソフトバンクホークスが当時一番強かった頃のチーム状況で、監督からいただいた言葉であったりとか、コーチからの助言や箴言、そこから、中日ドラゴンズに移籍しても同様に、監督やコーチからいただいた数々の言葉は、プロ野球選手として非常に参考にさせていただきましたし、いろんな言葉をメモに残してきました。そういった自分がヒントを得た言葉を、基本的に選手にかけるようにしてます」
特に印象に残っている言葉とは
「プロ野球選手でなくなった今でも、人生の中で支えになっている言葉があります。
『素直な心を持つか、持たないか』
このフレーズは選手に結構言っていますね。やっぱり能力の上がる選手っていうのは、素直な人間が圧倒的に多いです。逆に、 伸び悩んでしまっている選手というのは、自分に素直になれない人や、他人の意見を聞けない人が少なくないと思っています。『素直な心』という言葉は、それはもう、ホークスのときに、口酸っぱく言われた言葉で、受け入れることは実は難しいんですが、 それを習得した瞬間に、僕は能力がガッと向上したような感覚を得ることができました。ドラゴンズ時代でも、同じような言葉を使って指導している方々を見てきました。どのプロチームでも言われるということは、 この場所(クラブチーム)でも、もっと大事にすべきことなんだと感じています。
同様に『気づく』ということも教わりました。
社会も野球も同じだと思うんですが、何かに『気づける』ということは、人として成長している証拠だと思っています。もちろん技術面もそうですが、精神面でもなるべく気づける人間になって、その『気づく力』を元に、さらなる高みを目指していく人物が一流選手に成長していきます。そこをしっかり理解してもらえるように、僕も指導していきたいと思っています」
地方のクラブチームだからこその、苦労や難しさがあると思います
「そうですね。やっぱり人がいない地域なので、地元の野球人を集結させるっていうのが重要です。地域の活性化に向け、一丸となるということが一番大きなところかなと思うんです。
クラブ=野球好きが集まるっていうカテゴリーではあるのですが、ショウワコーポレーションも、(亀澤氏が監督になる以前は)やはり野球好きが集まるだけのクラブだったんです。しかし、会社がクラブチームを運営するということは、勝ち負けにこだわっていかなければなりません。つまり、野球部は広告塔という立場なのです。勝って、会社の名前を売るということですね。その広報活動=試合で常に勝ってチームの存在を知ってもらうということが大事なんです。
以前のようなクラブのあり方を少し変えてみようという方針が出たのが最近です。
その方針転換のおかげで、『やっぱり、勝たないと! 何のためにやってるのか?』という考えがそれぞれの選手に芽生え、各人の行動が、チームや会社全体にじわじわと伝わってきて、チームの目標もどんどん高くなっていったそうです。
そういったタイミングで、僕が監督になるお誘いをいただき、さらに、代表取締役から『勝ってくれ』『優勝してくれ』というようなオファーがありました。僕も監督を引き受ける以上、やっぱり、勝ちにはこだわりたいですからね。
地方で、地元の人間を集めて勝つというのは、ほぼほぼ不可能に近いと思っていましたが、我々は2年連続で全国大会に行って、全国優勝までしています。これからどんどん知名度を上げていけば、 地元の高校球児が都会の大学に行って、そこから帰ってくるときのきっかけになれるのではないか?と思っています。うちのチームが受け皿になれる可能性としては、どんどん、どんどん広がってるような、感じがしますね。そういった意味で、地方創生も含めた基盤を作っていくというのがポイントなのかなと思っています」
地元のクラブチームが目指す地域創生のような行動に繋がってくるのですね
「そうですね。全国的に見ても、我々のようなクラブチーム(企業が運営する野球クラブ)は、数チームしかなくて、だからこそ、勝たないといけないっていう気持ちも、たくさん湧いてきますし、もちろん、(社会人野球の企業チームとして)社会人登録をして、じゃあ、やってくれっていうのは話が早いんですが、それをすると、やっぱり会社の負担というのが、2倍から3倍になってしまいます。今、現状でいうと、この立ち位置で、 どこまでこのチームが、この会社が、のし上がっていくかっていうところが重要なんです」
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