岡山県の県北エリアに位置する、奈義町(なぎちょう)にある「奈義町現代美術館」は、1994年に設立。最近は若い女性などを中心に、美術館巡りが旅行の定番スポットになっていますが、奈義町現代美術館も、作品がSNS映えすると話題を集めたり、一風変わった作品の楽しみ方から注目を浴びています。
奈義町現代美術館は、通称Nagi MOCA(ナギ・モカ)と呼ばれ、町立図書館と同時に開館しました。
奈義町現代美術館の特徴は、五感を使って作品を楽しむことができる体感型の美術館である点です。「太陽」「月」「大地」と名付けられた3つの展示室で構成されており、作品と建物が半永久的に一体化しています。
これは、公共施設として世界初のもの。最近では、地方などを中心に同様のコンセプトの美術館も増えてきているとのことですが、この施設はまさに、「体感型の美術館」の先駆け的存在。
今回は、岡山県主催のプレスツアーに参加し、実際に「鑑賞」ではなく作品を「体感」してきましたので、奈義町現代美術館の魅力を皆さんにご紹介します!
曲線を描くワイヤーと水面が幻想的な作品「うつろひ」がお出迎え
入館してすぐに現れるのは、展示室「大地」の宮脇愛子さんの作品「うつろひ」。
反射した水面にステンレスのワイヤーの弧が連なり、巨大なガラスを挟みコンクリート調の室内まで奥行きのある空間になっています。
晴れていれば地域のシンボルでもある那岐山頂を望め、頭上から鳥の鳴き声が聞こえるなど、入り口から静寂な異世界の雰囲気を感じることができます。
体感型美術館のシンボル 平衡感覚を失ってしまう「遍在の場・奈義の龍安寺・建築する身体」
© 1994 Reversible Destiny Foundation
続いては、奈義町現代美術館のシンボルともいえる展示室「太陽」。
筒状の建築物に展示されるのは荒川修作+マドリン・ギンズ「遍在の場・奈義の龍安寺・建築する身体」。
思わず平衡感覚を失ってしまうほど、視覚と身体感覚のズレを体感できる人気スポットです。陽が射して来る方向(写真中央の明るい部分)はちょうど真南を向いています。
圧巻の空間と幻想的な光で、どんなポーズをしてもカッコよく撮影することができます。
光に背を向けてシルエットだけで撮影するのがSNSを中心に話題に。これを撮るためにこの美術館を訪れる人もいるんだとか。
足をとめ、休息する。穏やかな気持ちを取り戻させてくれる。「HISASHI-補遺するもの」
展示室「月」の作品、岡崎和郎「HISASHI-補遺するもの」は、三日月のかたちの大きな部屋。飾られているオブジェは、金色の壁掛けと岡山産御影石で造られたベンチのみで、小声で話しただけで部屋全体に音が響く、耳と体で音を感じることができる空間です。
この部屋では、不定期で音楽イベントなども行われているそう。音がかなり反響するので、初めて体感する感覚になるそう。
県北エリアに さらに芸術の風が。2024年秋に行われる、「森の芸術祭 晴れの国・岡山」も必見
2024年秋には、岡山県北部12市町村(津山市、高梁市、新見市、真庭市、美作市、新庄村、鏡野町、勝央町、奈義町、⻄粟倉村、久米南町、美咲町)をエリアとするプロジェクト、「森の芸術祭 晴れの国・岡山」が開催(予定)。
アートディレクターには、金沢21世紀美術館 館長で東京藝術大学 名誉教授を務める、長谷川祐子氏を迎え、岡山県の県北エリアの豊かな自然とアートを融合する、アート好きの方のみならず岡山県旅行を検討している人には必見のイベントになっています。
新情報などは、今後も随時発表されるとのこと。詳しくは公式HPをチェックしてください。
「森の芸術祭 おかやま 晴れの国」オフィシャルHP
https://forestartfest-okayama.jp/
この記事の画像一覧
この記事のタグ
この記事を書いた人
田舎暮らしの本編集部
日本で唯一の田舎暮らし月刊誌『田舎暮らしの本』。新鮮な情報と長年培ったノウハウ、田舎で暮らす楽しさ、心豊かなスローライフに必要な価値あるものを厳選し、多角的にお届けしています!
Twitter:@inakagurashiweb
Instagram:@inakagurashinohon
Website:https://inakagurashiweb.com/
田舎暮らしの記事をシェアする